ジョジョの奇妙な教室   作:空条Q太郎

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一応アニメ見てポイントは確かめましたが、詳細はご容赦を。


それぞれの結果

 それぞれの結果

 

 無人島試験最終日。

 

 最終点呼を10分後に控えた午前7時50分。各クラスは点呼時に確認される各クラスのリーダーについて情報をもとに予想を立てたり、全く気にせずに最後の朝を過ごしたりしていた。

 

「よぉ、奇遇だな」

 

 レッドカーペットに近い紅の床が船首から船尾まで続く豪華客船の乗り込み口。

 

 そんな豪華絢爛な設備には場違いとしか言えない身なりの汚い男が呼びかけた。

 

 しかし、その呼びかけに応える者は居ない。

 

「おいおい、無視かよ。冷てえじゃねえか空条承太郎。ククク、お前が他の雑魚とは違ったことが証明されて嬉しくてちょっとばかりテンション上がってんだぜこっちは」

 

 予定通り直前でリタイアし、他の生徒にリーダー権を移行した承太郎と龍園は船に戻ってきていたのであった。

 

「何のことだ。俺は見ての通り体調が優れねえんだ。部屋に戻らせてもらうぜ」

 

「おっと、そうだったな。俺も体調が良くねえんだった。つい忘れてたぜ」

 

 自分と同じ行動を取っている龍園に対して警戒レベルを引き上げた承太郎だが、わざわざ話す事は何もなかった。

 

 龍園の余裕に満ちた笑みが気掛かりとは思いつつ、確かめて何かを悟らせるような真似はしない。

 

「結果発表、一緒にみるか?」

 

「断る」

 

「つれねぇなあ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 船上での邂逅など知る由もないBクラスの面々は最後の点呼のため洞窟前に集まっていた。

 

「あれ、空条君いなくない?」

 

 環境の変化こそあれ、心穏やかに過ごした面々の表情は明るい。

 

 そんな中で、今回の試験の立役者たる承太郎が見当たらない事で軽井沢が心配の声をあげた。

 

 ほんとうだと、ざわざわした雰囲気が広がる中平田が全員に呼びかけた。

 

「みんな、点呼が終わったら少し話を聞いてほしい」

 

 平田は最終点呼の跡、敵クラスのリーダーは全て白紙で提出し、事前に承太郎に託されていた作戦内容を開示した。

 

 スポット占有ポイントを確実に得るために承太郎がリタイアしたことを伝えた。

 

 初めて聞く情報に驚きを隠せない一同だが、確実な勝利のために必要だという点において納得しない者は居なかった。

 

 なによりも承太郎の案という点で盲目的な生徒すらいる。

 

 具体的な数字や新リーダーは開示していないがそれはどこに耳があるかわからないからと試験終了後に話すことを確かめ、Bクラスは撤退の準備を始めた。

 

 そして来たる試験終了の時。

 

 灼熱のビーチに再び集合した生徒たちは正午になっても現れない教師を今か今かと待ちながら互いの苦労を労っていた。

 

『ただいま試験結果の集計をしております。しばらくお待ちください。すでに試験は終了しているため、各自飲み物やお手洗いを希望される場合は休憩所をご利用下さい』

 

 そんなアナウンスが流れると生徒たちは一斉に甘美な飲み物を求め休憩所に集まった。

 

「てか、マジでDクラス全員リタイアしてんのな」

 

 池はジュースを飲みながらビーチを見渡す。

 

 確かにDクラスの生徒は1人もいない。

 

「なんかしらないけどライバル減るんだし、いいんじゃね? な、綾小路」

 

 山内は軽口叩きながら綾小路の首に腕を回す。

 

「ところでよ、綾小路。俺は男としてお前に言っておかねばならないことがある……」

 

 首に回された腕の軌道が締めに掛かってくることを予見しながらも綾小路はその流れに抗わなかった。

 

「何で俺が狙ってる佐倉ちゃんとお前がいい感じになってんだよ!」

 

 ヘッドロックをかました山内が怒鳴る。

 

「痛いぞ……第一オレは行動班が同じことが多かっただけで特に何もしていないが……」

 

「うっせ、お前綾小路、あのおっぱいは俺のだからな⁉︎指一本触れるんじゃねぇぞ」

 

「春樹、お前がモテねぇのそゆとこじゃねえか?」

 

 須藤の的確すぎる指摘に締めが緩み、綾小路はするりと抜け出す。

 

 居た堪れなくなった山内は標的を次に移した。

 

「か、寛治は篠原となんかいい感じだったよな」

 

「は? べ、別にアイツとは何もねえし。俺の狙いは桔梗ちゃん一筋だからなっ!」

 

「私がどうかしたかな?」

 

「き、桔梗ちゃん⁉︎な、何もないよ? あ、コレ美味しかったから桔梗ちゃんの分も取ってくるよ!」

 

 全く取り繕えてはいない池だったが天が味方したのかキィンという音が鳴り、拡声器を手にした真嶋先生が姿を見せた。

 

 慌てて列を形成しようとする一年生だったが、それを真嶋先生が手で制止させた。

 

「そのままリラックスしていて構わない。既に試験は終了している。今は夏休みの一部のようなものだ、つかの間ではあるが自由にしていて構わない」

 

 そうは言われても、当然生徒たちには緊張が走り、雑談は瞬時に消え失せる。

 

「この一週間、我々教員はじっくりと君たちの特別試験への取り組みを見させてもらった。真正面から試験に挑んだ者。 工夫し試験に挑んだ者様々だったが、総じて素晴らしい試験結果だったと思っている。ご苦労だった」

 

 真嶋先生からの、迷いのない褒め言葉を受け生徒たちから安堵が漏れる。

 

「ではこれより、端的にではあるが特別試験の結果を発表したいと思う。なお結果に関する質問は一切受け付けていない。自分たちで結果を受け止め、分析し次へと活かしてもらいたい」

 

 真嶋先生が次の言葉を発しようとした瞬間、森の木々を掻き分け1人の男が現れた。

 

「どうして石崎がここに⁉︎」

 

 現れたDクラスの生徒を目にして、他クラスに動揺が広がるが、それを気にすることなく真嶋先生は続けた。

 

「では、これより特別試験の順位を発表する。最下位は——Cクラス90ポイント」

 

 堅実に取り組んだはずの一之瀬率いるCクラスの結果に当のCクラスが一番唖然としていた。

 

 まさに、状況の理解が及ばないといった様子だ。

 

 ショックを受けた面々をよそに、真嶋先生は淡々と続ける。

 

「続いて3位、Dクラスの126ポイント。2位はAクラス、170ポイント」

 

「は⁉︎Dクラスが126ポイント⁉︎」

 

「リタイアしてたんじゃないの⁉︎」

 

 誰も想定していなかった順位、ポイントにビーチがどよめいた。

 

 2位という結果を残したAクラスも、想定していたポイントではないらしく、渋い面をしている。

 

「そしてBクラスは…………」

 

 真嶋先生は結果を目にし、息を呑んだ。

 

「……355ポイントで1位となった。以上で結果発表を終わる」

 

「どういう事だよ葛城!」

 

 一部、事情を知る平田などの生徒を除き、Bクラスの面々もあまりの結果に困惑する中、逆サイドでは怒声が張り上げられていた。

 

 試験結果の責任を追及する生徒たちが葛城を取り囲んでいた。

 

「うおおおおおお! やったぜ‼︎」

 

 須藤の雄叫びを皮切りに歓喜の叫びを上げる、Bクラス。

 

 ひとしきり叫び終えると、嬉しい困惑の中Bクラスは平田の元に集った。

 

「と、とりあえず船に戻ってから説明させてもらうよ」

 

 試験は終了となり、解散となる。出発は2時間後のようで、それまでは島に残るも、豪華客船で過ごすも自由とのことだった。

 

 しかし、島に残る者は1人もおらず皆、平田について乗船していく。一同がデッキに着くとドリンク片手に高円寺が迎え入れた。

 

「やあ諸君。1週間の無人島生活はどうだったかな?」

 

「てめえ、高円寺! お前のせいで30ポイント失ったんだからな! わかってんのか!」

 

「フハハ、池ボーイ、あまり強い言葉は使わない方が良い。どうやら未だ承太郎はクラスメイツに充分な説明をしていなかったようだねえ。今回の結果は私の功績が殆どを占めているということを忘れてもらっては困るのだよ」

 

「な、何言ってんだよ」

 

「君たちが20ポイントの節約がどうとか話している間に私が抑えたスポットの数は実に16。それをキープしきっていれば300以上のポイントを獲得することが出来たわけだ。他に何か私の輝かしい活躍について聞きたい事はあるかね?」

 

「ま、まじで……?」

 

 三馬鹿をはじめとして高円寺の話が信じられないといった様子で顔を見合わせる。

 

 そこに少し遅れて承太郎が合流し、全員が自然と集まった。

 

「概ね高円寺の言う通りだ。平田から聞いていると思うが、そのポイントを守るために俺もリタイアさせて貰ったぜ」

 

 作戦全容を全体共有していなかったことを詫びつつ、あらましを説明したBクラスは改めて結果を喜び解散した。

 

「それにしても承太郎。私の想定より随分と獲得ポイントが低いのは一体どういう展開だったのかな?」

 

「健康状態に配慮したまでだ。誰もがお前の様に環境適応能力が高いわけじゃあねえ事ぐらいは理解しているだろう」

 

「まぁ良いさ、私は契約を履行した。重要なのはその一点のみだよ。フハハ、卒業後を楽しみにさせて貰うとしよう。ハハハハハ、ハーッハハハハハ」

 

 人差し指と中指を揃えて弾くと高円寺は高笑いと共に去っていった。

 

「そんなことよりみんな! 打ち上げしようぜ、打ち上げ!」

 

 結果発表で疲れが吹き飛んだ池が音頭をとるが、他の面々は流石に1週間の疲れは積もりに積もり今すぐにでもベッドに倒れたいというのが本音だ。

 

 例え2ヶ月近く旅行し続けても体調一つ崩さない男たちも若干2名いるがそれはまた別の話。

 

「いいね。でも、今日は一旦体を休めて、また明日以降に是非やろう」

 

「サンセー」

 

「お風呂いこお風呂ー」

 

 平田の案に賛成した生徒たちは自室や大浴場へと散って行った。

 

 承太郎も例に漏れることなく自室へと足を運ぶ。

 

 長い廊下の曲がり角に近づくとぱちぱちぱちと乾いた拍手が聞こえて来る。

 

「特別試験一位、素晴らしい結果ですね。おめでとうございます」

 

 曲がり角から姿を表したのはAクラスの坂柳有栖と神室真澄だ。

 

「ダブルスコアに近い大差、私が指揮をとっていたとしても話を聞く限りでは結果は変わらなかったかも知れません」

 

「用件はそれだけか?」

 

「ふふ、そんなに凄まないでください。体格の大きい方にその様な姿勢を取られては怖いではないですか」

 

 余裕の笑みのまま坂柳は続ける。

 

「よろしければこの後試験のことについてお話を伺えればと思い声をかけさせていただきました。どうですか? チェスでも指しながら」

 

 承太郎は少し考えた素振りを見せたが承諾すると、坂柳たちが店へと先導した。

 

 落ち着いた雰囲気の完全個室に通されるとそれぞれドリンクを注文する。

 

「この船にはチェスをはじめ、様々なボードゲームやカードのレンタルを行なっているそうです」

 

 神室が手にしていたケースからチェス盤を取り出すと駒を配置していく。

 

「空条さんはチェスはどの程度おやりになられるのですか?」

 

「素人だが気にする必要はねえぜ」

 

「そうでしたか、では先行をどうぞ」

 

 予定調和、坂柳の中で先行を譲ることは決まっていた様で神室は会話が行われる前から承太郎の側に白を配置していた。

 

 超一流の人間の対局において、チェスは先行が有利であるという統計が出されている。

 

 坂柳は煽られた承太郎の反応をこまめに観察し、楽しんでいた。現段階では無反応だが、試験の結果から改めて承太郎の存在を強く認識した坂柳にとっては、その反応の全てに興味があった。

 

「しかし、随分と耳が早いな。たしか試験には不参加だったんじゃあねえのか?」

 

「試験終了後直ぐに、真澄さんが詳細を報告して下さいましたので」

 

 承太郎がポーンをひとつ前進させると、坂柳はふたつ進ませる。

 

 心地よい音を奏でながら承太郎はひたすらにポーンを働かせ、坂柳は様々な駒を動員していく。

 

「高速旋回する船の意図を理解した上で、クラス内をまとめ最短ルートで洞窟を占拠した手腕は認めざるを得ません。よろしければ、至るまでの経緯など教えてくださいませんか?」

 

 結果はともかくとして、経緯に誤解を孕んでいるがわざわざ訂正してやることはない。

 

「敵のてめえにそれを語って何のメリットがある? 例えるなら、マジシャンが次の公演に来る客にタネを明かすようなものじゃあねえか」

 

「然りです。では、占有スポットの数と指名した他クラスのリーダー、ポイントの使用方法について互いに開示するというのはどうでしょうか」

 

「ダメだね。Bクラスは俺の所属クラスではあるが、俺のクラスじゃあねえ」

 

「ふふふ、可笑しな事を仰いますね。では、今朝方リタイアされ、乗船後龍園くんと戯れていらしたのはクラスメイトに説明されてのことなのでしょうか」

 

 今現在のBクラスが——他クラスもそうであるが——ワンマン体制に近い事を知らない坂柳ではない。

 

 承太郎はドリンクを少し口に運び、前のめりにテーブルに肘をついて坂柳を指差した。

 

「いいだろう。だがこちらからもひとつ条件を出すぜ。Aクラスの購入していた備品の概算と結果のポイントにズレがあった。そこんとこの説明をしてもらう」

 

 神室は鉄仮面のまま表情ひとつ動かさず見守っていたが、ここにきて口を挟む。

 

「ちょっとそれ——「真澄さんは黙っていてください」」

 

 睨みつけられた神室は黙り込んで定位置に戻った。

 

「真澄さんが反応してしまっては何かあると疑われてしまうではありませんか。やはり、退席していただいた方がよかったでしょうか」

 

 冷淡な声色は冗談ではなく、強く、深く釘を刺している事に他ならない。

 

「取り込んでいるところ悪いが、応じるのか応じないのか、はっきりしてもらおうじゃあねえか」

 

「仕方ありません。のみましょう」

 

 チェスを指しながら承太郎は語った。スポットの占有数、リーダー無指名であること、ポイントの使い道。

 

 余計なことはなにひとつ言わずに、端的に事実だけを述べた。

 

「スポット占有16か所ですか……学校側もいささか理不尽とも言える配置をしていた様ですね」

 

 洞窟を見つけられる様に手筈を整えているにしてもあからさまな気もしないでもない。

 

「しかし、なるほど。Bクラスが攻めに転じなかった理由は理解しました」

 

 承太郎や龍園のリタイアを認知している坂柳も当然、リーダーのすげ替えや自分ならどうしたかと短時間で脳内シュミレートしている。

 

 戦術から承太郎のマインドを探っている坂柳は堅実というジャッチを下しそうになるが、本人にも形容し難い何かが引っ掛かり判決は下さない。

 

「Aクラスの方は先に結論から申しますと、Dクラスから毎月のプライベートポイントの支払いの見返りに特別試験での購入品を譲渡されていた様です」

 

「ほう」

 

 Dクラスの早期リタイアに合点がいく。と同時にDクラスの最終スコアが気掛かりになる。

 

 クラス単位でのリタイアはポイントを使い切った事を意味する。

 

 その中で100以上のポイントと端数を残すには、ふたクラスのリーダー当てとスポット占有が必要になる。

 

 ネタが割れればそれだけの話だが、実現させるのはかなりの難易度だ。

 

 ほぼリスク無くリーダー指名をできる強みとは裏腹に、契約を反故された時の莫大なリスクがつきまとう。

 

 実際、契約が履行され続けるとすれば今回の勝者はBクラスなのかDクラスなのか考えるまでもない。

 

「龍園くんもなかなかユニークな方の様で」

 

 坂柳はその他神室から得た情報を吐露していった。

 

 ひとしきり情報交換を終えた頃、詰みの一手が指される。

 

「どうやら今回は私の勝ちの様です。チェックですね」

 

「少し楽しくなってきたところだ。もう一局どうだ?」

 

「失礼ですが、空条さんはチェスの経験は如何程に?」

 

「さっき話したと思うが、ど素人だぜ。対局は今のが初めてだ」

 

 初めてで勝負に挑んでいたという事実に神室は思わず顔を顰めた。

 

「なるほど、なるほど。空条さん、こう言っては何ですが私はそれなりにチェスに覚えがあります。初心者が何度挑もうとも結果は覆りはしないと考えるのですが」

 

 含みはありつつも柔和な姿勢を見せ続けていた坂柳の声に棘がつき始めた。

 

「さっきの試合で駒の動かし方は覚えた。問題ないぜ」

 

 瞬間、神室の肩がびくりと跳ねた。坂柳が机に拳を叩きつけたのだ。

 

「……覚えた? 今、駒の動かし方を覚えたと言いましたか? 私はつまらない冗談は嫌いなのですよ」

 

 思い返せば確かに承太郎はポーン以外のコマは坂柳が動かしてからしか動かしていなかった。

 

 確かに初心者の指し方ではあったが、それだけであれば問題なかった。

 

 しかし、目の前の男が自分の領域内に土足で上がり込み踏み荒らした事に坂柳は怒りを隠すことができなかった。

 

「逃げるのか? プライドがあると、挑戦を受けやしねえのか?」

 

「はじめてですよ……この私をここまでコケにした人は……」

 

 わなわなと震える坂柳だったがひとつ息を吐き、冷静さを取り戻す。

 

「いいでしょう。受けて差し上げます。ですが私にも矜持というものがあります。ポーンを1つ落とし、先行2手を譲ります。そして、一手当たりの持ち時間を私は10秒、空条さんは2分のハンディキャップマッチとします。異論は受け付けません」

 

「将棋で言うところの飛車角落ちってやつか。だが、負けても喚くんじゃあねえぜ」

 

「当然です。空条さん、貴方には敗北の後誠心誠意謝罪していただきます」

 

「いいだろう。負ければな」

 

 神室は自分ですら見たことのない恐ろしく冷ややかな目で承太郎を睨みつけている坂柳から、タイムキーパーを任されてしまう。

 

 先手2手、承太郎がまず2手指してから坂柳の反撃が始まる。

 

 承太郎は当然オープニングと呼ばれる様なチェスの常識は知らない。

 

 にも関わらず、超人的な思考力を働かせて変則的な展開を作っていき、坂柳は5秒もかからずに全てを指し返していく。

 

 高度なハイスピードバトルに神室は訳もわからず息を呑みながらタイマーを止めては付けてを繰り返す。

 

 坂柳は承太郎の別人の様な指し方に内心驚きつつも強気な返しを繰り返す。

 

 一般的にサクリファイスと呼ばれる駒を犠牲にしての罠を巡らせるが承太郎も盤面全体を把握し思考しているため簡単には乗ってこない。

 

 そして中盤、坂柳の即座指し返しが鳴りを潜め、5秒以上使う様になり始める。

 

 チェスにはある程度のパターンが存在している。これはコンピュータがチェスに置いて加速的に成長していった要因でもあるが、坂柳の脳内には承太郎を遥かに凌ぐデータ量が存在する。

 

 その中から最適解を指し続ける坂柳だが、想像以上のフォークや釘付けといった将棋にも通じる戦略を打ち出してくる承太郎を前に段々と時間が迫る。

 

 冷静さと盤面的優位を欠いた坂柳はあろうことか苦戦し始めていた。

 

 そしてその事が本人の焦りを煽る。少しずつ堆積していったそれは誤手となって顕現する。

 

「しまっ——「チェックメイト」……ルークのディスカバー……」

 

 王の逃げ道を塞がれた坂柳は歯を食いしばり承太郎を睨んだ。

 

 そんな事は眼中にない承太郎は席を立つと帰路に就くが直ぐに立ち止まる。

 

「坂柳、そういえばつまらない冗談が嫌いとか言っていたな。俺にも嫌いなものがあるぜ、吐き気のする悪ってやつだ」

 

 承太郎が振り返ると目尻に涙を溜めた坂柳が依然として睨みつけていていた。

「悪とはてめー自身のためだけに弱者を利用し貶め、ふみつけるやつのことだ。ましてや仲間であるクラスメイトを……てめぇがやったのはそれだ」

 

 坂柳は黙り込んでいた。

 神室はあまりの迫力に怯えている。

 

「Aクラスのリーダーが誰であるかなんざどうだっていい事だぜ。だがな、つまらねえ真似は二度とするんじゃあないぜ」

 

 

 

 

 

 

 

 

←To Be Continued

 




書きたかったところがそろそろ書けそうで最高にハイッ

承太郎の主人公補正は今更だと思うので許してください

1番脚がグンバツの女子生徒は?※承太郎と何かあるわけではない

  • 堀北
  • 櫛田
  • 軽井沢
  • 佐倉
  • 一之瀬
  • 坂柳
  • 神室
  • 伊吹
  • 茶柱
  • 真鍋
  • 西野
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