ここだけマダラがイザナギに失敗死亡して未来転生、アスマと大親友になった世界(完) 作:EKAWARI
今回のは第四次忍界大戦終結後の後日談となっております。
元々本スレのほうで第四次忍界大戦終わった後の話も見たいって言われてたんですけど、思いつかなかったので特に何も考えてなかったんですが、なんか一昨日後日談ネタが脳内に唐突に降りてきたので、元々希望があったことだし書いてみました。
というわけで本編終了後のおまけ話です。
「イタチ、もう一度聞いて良いか?」
第四次忍界大戦が終わってから、色々と後始末に奔走される日々を送り、漸く迎えた忍界大戦後初の非番の日、オレの元を訪ねてきた弟分に当たる従甥は、出した茶菓子のうちは煎餅ザラメ味をポリポリ頬張りつつ、まるで何事もないかのような平常運転でこんな言葉を告げた。
「オレが六代目火影に内定しました」
……マジか。
あんまりにもいつも通りの調子で言われるので、却ってちょっと反応に困りながらも弟分の話の続きをとりあえず聞くこととする。
「……とりあえず、最初から話してくれるか?」
そういうとふむ、とイタチは自分の言葉不足を悟ってか、淡々とした調子で語り聞かせる。
「本当は最初はカカシさんが戦後火影にどうかって話だったんですが、カカシさんが「オレ、火影とか向いてないのよね。サポートはするから、イタチヨロシク~」と」
それでオレに御鉢が回ってきたんです、とズズッと緑茶を啜りながらイタチは言う。
「ああ~……」
それに、確かにあいつなら言いかねえな、と納得する。
大体カカシが火影にどうかって言われたのはこれが初めてじゃない。どうかと言われながら向いてないとのらりくらりと躱してきたのはオレも知っている。そしてカカシが辞退したんなら、次に誰が適任かと言われれば、確かにイタチだろうなと分析する。
今のところ功績最大級なのはあのうずまきナルト、次いでサスケだがあまりにも若すぎて火影として立つにはまだまだ足りないものが多すぎるし、後者は火影なんて柄でもない。
そしてイタチだが、人格面にも問題がなければ、影として立つに相応しい実力もあり、火影として推薦されるには十分な功績も挙げている。
四代目の命とはいえ、同族のクーデター未遂事件を自分の手を汚してでも阻止し、大罪人の汚名を被りながらも長いことS級犯罪者で構成された危険組織である暁への潜入任務もこなして、必要な情報を全て里にもたらしたこともそうだが、ペインによる木ノ葉襲撃事件の際に病身ながらも須佐能乎を展開し、ペインを一体封印した上で、自分の命を惜しまず弟を含め多くの里人を守ってのけたこともでかい。
そしてペイン事件の時の事については目撃者も多く、うずまきナルトが里を救った大英雄なのだとしても、イタチも十分に英雄と言われるだけの功績がある。
今回の第四次忍界大戦でもそうだ。
弟と2人で術者の元に向かい、穢土転生軍団を止めた、これは黒幕をサスケと2人で封印してのけたナルトに比べれば一段劣って見えるかもしれないが、十分に英雄的な行動だし、あの場で穢土転生と戦った忍びで、それを見事止めてのけたイタチとサスケ兄弟に感謝していない連合軍の人間はいないだろう。
それでもイタチには病身と片目失明という不安材料があったが、前者についてはほぼ病は完治したといえるし、後者についてもシスイの眼を移植することによって解決した。
今のイタチは片目だけ永遠の万華鏡写輪眼状態であり、両目がそうであるわけではない以上、負担がないわけではないが……それでも以前に比べると随分とリスクも軽くなったことだろう。……こう考えると隙がないな。
ともかくも、ナルトとサスケが世界を救った大英雄なら、イタチもまた2人ほどでなくとも木ノ葉の英雄だ。年齢は21と若いながらも、年に似合わぬ落ち着きもあるし、実力も十分。それにこいつほど里を想っている奴もそうはいない。いつだってイタチは里の為、弟の為に全てを賭けてきた。
その献身は行動で既に示されている。
イタチが木ノ葉を裏切る事などまず有り得ないだろう。
(イタチが火影か……)
今まで考えた事はないが、結構似合ってそうだな、と火影装束姿のイタチを脳裏に思い描いてちょっと笑った。
そんなオレを横目で見ながら、次の煎餅に手を伸ばしつつイタチは言う。
「それに、オレが火影となる事には政治的な理由もありますから」
「嗚呼……」
その言葉にも納得する。
第四次忍界大戦、この大騒動はうちはマダラの名前で起こされたものだ。
しかし、実際の犯人はマダラの肉体を操っていた黒ゼツという存在で、奴が六道仙人の母親である大筒木カグヤの封印を解き、無限月読で世界中の人間を白ゼツに変え、兵隊に変えてしまう、それが本当の目的だった。
それが五影達の口から各里に周知された真実だ。
つまり、戦争を始めたのはマダラを騙る黒ゼツであり、本当はうちはマダラじゃなかったわけで、うちはとしては無実を主張したいところだ。実際に無実だし、戦える一族のものは皆ペイン襲撃の時も第四次忍界大戦の時も懸命に戦ったのだ。
だが、問題はそう簡単でもないのが、うちはオビトの存在である。
四代目は九尾襲撃事件を「うちは」ではないと語り、その為に上層部によるうちはへの対応を非難し、我が子と親子として暮らす未来を捨ててでも、うちはを庇った。しかし、皮肉にも、実際に九尾事件をおこしたのは元四代目の弟子の1人だったうちはオビトだったのだ。
つまり、上層部のうちはへの疑いは半分は正しかったと言える。
しかし、そのオビトは第四次忍界大戦の最中にナルトの説得によって改心し、何度かナルト達を助け、最期はナルトを庇ってカグヤに……真の黒幕によって殺された顛末を迎えている。
オビトがいなければ、ナルト達が勝ち世界を救うこともなかっただろう。
そういう意味ではオビトには功罪両方があるといえる。
それに九尾事件を引き起こしたのは確かに黒ゼツによって誘導されたオビトではあるが、心臓に呪印札を仕込まれていたことなど、結局奴自身道化の操り人形でしかなかった点など同情の余地もある。
故に、あの時戦争を引き起こしたのは、あくまでも黒幕の一味だったトビという男であり、うちはオビトは神無毘橋破壊任務で里の英雄として殉職し、13歳で死んだのだ。
あの場にはオビトなどいなかった、そういう事になった。
だから今も石碑にはオビトの名は刻まれたままだ。
そうして里からのうちはへの疑惑問題はこれで解決した。
……あくまでも、里からは、の話だ。
うちはから里は別の話である。
先にも言ったようにうちは一族全体としては、皆ペイン襲撃の時も第四次忍界大戦でも懸命に戦った。
九尾事件の時に上層部に危険視され、隔離されそうになった時も四代目の対応を見て、四代目を信じようと一族の大半は不満などを一端飲み込む選択をしたが……けれど、それは我慢している、というだけの話である。
不満はあった。
やはり一族から里の中枢に入るものが未だに出ていなかったこともそうだが、一番はイタチの取り扱いだ。
あの時、イタチが里抜けした時殺されたのは一族内でもタカ派と見なされていた奴らであることは、うちは一族で会合に参加していた人間なら皆知っている事実である。
だからこそ、察した。
イタチが里抜けしたのはそういう任務なんだろうと言われずとも、一族の人間は皆察していたのだ。だからこそ不満だった。イタチはフガクの……族長の長男だ。それに、同族を手にかけさせ汚名を浴びせたのかと、身内愛に強いものが多いうちはだからこそ、不満と不快感を里に覚える一族のものがそれなりに出た。それを押さえていたのも、その父親であるフガクその人だったが。
不満があるからとクーデターに走れば、それこそイタチが報われないし、益々立場が悪くなると思っていたのだろう、フガクは出来るだけ感情的にならないよう理論で説いて一族の不満を度々宥めていた。
だが、このまま進めばいつか、クーデターを画策したのであろうタカ派の二の舞になりかねないのも確かだ、うちは一族にはそういう危うさがある。故にここらでうちは一族に報いるべきなのだ、里も。
それを考えるとイタチが火影になるというのは、成程妙手だ。
イタチはフガクの……うちは族長の長男だ、それが火影になっておいてうちはは報われていないなんて言い出す奴はいないだろう。一族もまたうちは出身の火影を輩出したとなるとメンツが立つ。
元々木ノ葉隠れの里はうちはと千手が手を組んだことにより生まれた里だ。その後族長だったうちはマダラが里抜けし九尾と共に里に襲撃をかけたからこそ、うちはの立場が悪くなったものの、うちはから火影が出たとなると、その問題は解消しましたと里の内外に知らせるにも実に都合が良い。
それでいて、イタチの性格だ。
あいつが火影になったとしても、里より一族を優先するとは思えない。イタチの里への献身は上層部とてよく知っているだろうし、他の一族の人間を不信に思ってはいたとしても、同族のタカ派をも自らの手で始末した上で犯罪組織への長年の潜入任務まで熟したイタチならば、里を裏切る事はないだろうと判断してもおかしくはない。それだけの積み重ねをイタチはしてきた。
「お前はどう思ってるんだ?」
オレは腕の中ですやすや眠る赤子を撫でながら、イタチ自身はそれらの思惑の上で六代目に推薦された現状についてどう思うのかを訪ねる。
それにイタチはポリポリと煎餅をかじってた手を止めて答える。
「正直、オレが選ばれるとは思っていなかったので戸惑いはあります。オレはおそらくナルトが育つまでの繋ぎでしょう。ですが選ばれたからには全力で応えたいし、とても光栄に思っています」
そうしてイタチは本当に誇らしそうに。
「オレは嬉しいんだ。たとえこの里がどんなに闇や矛盾を抱えていようと、オレは木ノ葉のうちはイタチだ。だからこそ、この里を堂々と守る立場を与えられたことには感謝している」
フワリと眩しいほどに慈愛に満ちた顔で微笑った。
「オレは木ノ葉を愛しているから」
そう、これこそが火影だと思わせるような微笑みだった。
「……変わったな。いや、元に戻ったのか」
懐かしく思い起す。
思えば、昔のイタチは度々こういう顔をしていた。
第三次忍界大戦が終わった里で、野花が咲き、子供の笑い声を聞いたり、平和を実感する度にまるで火影のような顔をして笑っていたんだ。
そう考えればこいつは元々火影の素養はあったのかもしれない。年に似合わず聡明で、過去を僅かに残された遺跡の痕跡などから読み取り、世界や里の行く末を憂いていたそんな子供らしからぬ子供だった。
そんな感傷に浸っていると、イタチはマイペースに煎餅を食うのを再開させながら、何気ない様子で首を傾げつつ尋ねた。
「ところでゴガク兄さん、いつ結婚したんですか?」
目線の先はオレの腕の中でおくるみにくるまってスヤスヤと眠っている赤子だ。
「違ーよ! オレは独身だ! こりゃこの前生まれたアスマの子だ!!」
それを聞いてイタチはさっきと逆方向に首を傾げる。
「……アスマさんとゴガク兄さんの子供?」
「紅とアスマの娘だよ!! つぅかおいコラ、イタチ! お前分かっててわざと言ってんだろォ!?」
そうオレが半目で睨め付けながら言うも、しれっとこの火影に内定した弟分は怯むこともなくいつもと変わらぬ調子で言葉を返す。
「冗談ですよ。小声で啖呵切るとか器用な事しますねゴガク兄さんは。それでそのアスマさんは?」
この隠れ天然ボケ! お前の冗談はわかりにくいだよォ!!
と突っ込みたい気持ちをため息で吐き出して飲み込んで、それからオレは淡々とした調子で言葉を返す。
「このご時世だからな、アスマと紅は籍だけ入れて式はしてなかったんだが、慶事も必要ってことでな、結婚式の代わりに今度同期で集まってお披露目回することになったんだよ。それで打ち合わせとか赤子連れだと何かと大変だろうし、オレが二時間ほど預かるから2人で行ってこいって送り出したんだ」
だからあと30分くらいで帰ってくるぞ、そう告げると「ふむ」とイタチも煎餅をポリポリ食うのを再開しつつ、「それまでオレもいて大丈夫ですか?」と質問してきたので、「問題ねェよ、なんならお前の口からも祝ってやれ。喜ぶぞ」と返すと、それはよかったとイタチは再び微笑んだ。
「ふぇ……ふぎゃあ、ぴゃああ」
と、先ほどまでよく眠っていたアスマの娘は、むずがるような顔をしてから唐突に泣き出す。
「……ああ、おしっこだな」
泣き方からそう判断し、オレは用意していたおしめを取り出すとテキパキと取り替える。
「よしよし、今綺麗にしてやるからそんなに泣くな」
そうお尻を拭きながら赤子に言うと、イタチは「慣れてますね」と興味深そうな声で言う。
「ああ……ガキの頃は妹のおしめも替えてやった事あるしな」
因みに前世マダラの時も、幼い弟のおしめを替えてやっていたのはここだけの話である。
そうして綺麗にしてやり、再びおくるみに包んでポンポンと抱きながらあやしてやると、今度はキャッキャとアスマの娘は笑った。全くよく表情の変わる奴だ。それを見て、「フフッ」とイタチも笑いを零す。
微笑ましそうに、懐かしそうに眼を細めながら従甥は、「オレも昔、サスケのおしめを替えたりもしたな……」と弟との思い出に浸っていたようなのでオレはニヤリと笑って、「因みにオレはお前のおしめも変えたことがあるぞ」と宣言すると、そう返されるとは思っていなかったのか、イタチは珍しくも両手で顔を覆いながら「やめてください……」と蚊の鳴くような声で言葉を零した。
その耳は赤くてどうやら羞恥心で悶えているようだと知れて、オレは笑った。
「それにしてもよく懐いていますね」
「まァな。それにアスマの子供なら、こいつはオレにとっても子供みたいなもんだ。奴にとっての玉だが、オレにとっても宝物だ」
そう言って笑いながら赤子の頭を、壊れ物を扱うように撫でる。
柔らかい肌とフワフワした産毛のような髪に温かい体温。
小さく脆い命。
だが、ここで懸命に生きている。
「戦争を知らない世代だ」
そのオレの台詞に、イタチは感傷混じりに「……サスケが生まれたとき、オレも同じ事を思いました」そうポツリと言葉を落とし、それからそろりと手を伸ばして、赤子の額に指をトンと軽く置いて「今度こそこの平和を守って見せます」オレは火影になるから、とイタチはそう言った。
きっとこんな時マダラなら、前世のオレならこんなものはまやかしの平和だ、協力など静かな争いに過ぎないと、そう吐き捨てたかもしれない。
だが、マダラであってマダラではない、うちはゴガクとしてのオレは「……そうだな、お前なら、お前達なら出来るさ」と答えて静かに笑った。
赤子は何を言われているのかよくわからないからだろう、きょとんとしていたけれど、イタチが微笑みかけると釣られるように「あー、あー」とふにゃふにゃと笑う。
「それで、この子の名前は?」
「ミライだ。猿飛ミライ」
そこに懸けられた想いと願いを読み取って、次代の火影が言う。
「良い名ですね」
「だろ? オレもそう思う」
猿飛ミライ。
今は何物でも無い、ただの赤子。
それでもきっとこの子が新しい時代を連れてきてくれるのだろう。
時代は変わる。
それでも変わらぬものもある。
時は流れ、それでも脈々とこの先も火の意思は受け継がれ続けることだろう。
その名と存在に木ノ葉の、世界の未来を思ってオレは微笑んだ。
了
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