ドヴェルグス視点スタートです。文字量の割には中身薄めの次話への繋ぎに近いです。
―鉄の王ドヴェルグス―
「......何だ、これは」
思わず、といった呟きがこぼれる。つい先程まで、モンスターのいなかった小娘のフィールド。通常召喚権は吐かれ、その後すぐ起点となるであろうカードは破壊した。自身の盤面はより強固に、高火力のモンスターで固めた。
磐石の構え、その筈―――そのハズだったのだ。
「ワカ―U4のP効果。デッキから『超重僧兵ビッグベン―K』をPゾーンに置き、ワカ―U4を特殊召喚。ビッグベン―KのP効果を発動。デッキから『超重武者装留ガイア・ブースター』を手札へ。ワカ―U4にガイア・ブースターの効果で、装備カード扱いで装備。更に装備状態のガイア・ブースターを効果発動、特殊召喚。2体のレベル4機械族でオーバーレイ。エクシーズ召喚、『ギアギガントX』。オーバーレイユニットを1つ取り除き効果発動、デッキから『音響戦士ギータス』を手札に、そのままPスケールにセッティング。P効果発動、手札1枚を切ってデッキから『音響戦士マイクス』を特殊召喚。効果により、通常召喚権を追加」
「続いてギアギガントXとマイクスをリンクマーカーにセットリンク召喚プラチナ・ガジェット効果で手札のレッドガジェットを特殊召喚効果でイエローサーチペンデュラムスケールは1から7、よってレベル2から6を同時特殊召喚可能ペンデュラム召喚リンク先にマイクス、手札からイエロー。イエロー効果でグリーンサーチイエローとレッドでオーバーレイギアギガント2体目効果でオーバーレイユニットを使用しデッキから古代の機械箱サーチサーチ時効果で守備力500の機械地サーチデッキから無限起動トレンチャーサーチギアギガント2をリリースしトレンチャー特殊召喚トレンチャーとマイクスでオーバーレイ無限起動リヴァーストーム効果でオーバーレイユニット使用デッキからハーヴェスター墓地へリンク召喚無限起動ゴライアス墓地のトレンチャー効果で除外し墓地のハーヴェスター蘇生ハーヴェスター効果でデッキから無限起動キャンサークレーンサーチキャンサークレーン効果でハーヴェスターリリース特殊召喚効果で墓地のハーヴェスター除外で超接地展開をサーチそのまま発動墓地のリヴァーストーム効果でプラチナガジェットリリース特殊召喚マイクスで増やした召喚権でブリキンギョ効果使用グリーン特殊レッドサーチエクシーズギアギガント3効果で素材はいてレベル4以下マシンナーズアンクラスペアサーチサーチ時効果でアンクラスペア特殊成功時マシンナーズモンスターでルインフォース墓地へ」
「アンクラスペアとギアギガント3でリンク召喚クリフォートゲニウスゲニウス効果でゴライアスと相手のクロックワークナイト対象、ターン終了時まで効果を無効化。ゲニウスゴライアスリンクマーカーセットリンク召喚幻獣機アウローラドンゴライアス効果でリヴァーストームの素材へ。アウローラドン効果で幻獣機トークン3体特殊召喚効果でトークン2体をリリースデッキから幻獣機オライオン特殊召喚オライオンとトークンでシンクロ召喚アクセルシンクロンオライオン効果でトークン生成アクセルシンクロン効果デッキからジェット・シンクロン墓地送りレベルを1上げるトークン2体とアクセルシンクロンでシンクロレベル12騎士皇レガーティア特殊召喚時効果で1枚ドローと火力が1番高いマシンナーズ・カーネルを破壊。墓地のアンクラスペアとレッドガジェットイエローガジェットを除外しマシンナーズ・ルインフォースを特殊召喚。超接地展開の効果起動場のリヴァーストームをランクアップエクシーズチェンジランク7クシャトリラ・アライズハート場に残ってた超重機回送効果でアライズハートの素材へこのカードを追加」
「......ごめんミスった、あんまり上手く展開出来なかったよ。バトルフェイズ」
「いやいやいやいやいやいや!?!?待て待て待て待て待てぇぇぇぇぇぇぇぇい!?!?!?」
何だ今の!?呪文か!?轟のがよく唱えておった詠唱か!?それか死のが漏らしていた呪詛か!?なんにせよ無理無理追いつけておらん!!
息継ぎしてる間にも普通に展開するの怖!?
盤面何が起きた!?儂のフィールドのカーネルは消えるし、クロックワークナイトも効果が無効化され周囲の歯車が軋みをあげておる!しかも奴のフィールドには4体の大型モンスターだと!?巫山戯るのも大概にしろ!
「な、何が起きた......!?そのモンスター共は!?」
「?じゃあ説明するか。まず、『幻獣機アウローラドン』。効果とかはもう使い切ったから、ただの火力だな」
そう言って小娘が指さしたのは、黒い戦闘機のようなモンスター。特に何も思っていないかのように滞空するその姿は確かに展開途中まで投影していたデコイのようなものは無く頼りなさげだ。......いや、それでも儂自身より攻撃力高いな?
「んで、騎士皇(センチュリオン)レガーティア、こっちはレベル12のシンクロだな」
続いて名指しされ前に進み出てきたのは騎士のような見た目のシンクロモンスター。先程のリンクモンスターよりは意識のようなものがはっきりしているようで、その瞳はやる気に満ち溢れている。......いや、あれどちらかと言うと殺る気じゃないか?
「んで、こっちは『クシャトリラ・アライズハート』。生きてるマクロコスモスで、フリチェ裏側除外をします。あと、素材と場のカードの関係で対象に取られず効果で破壊されません」
続いて紹介されたのは赤い鎧武者のような姿をしたエクシーズモンスター。心做しか容赦がない雰囲気をまとっており、棒立ちで挨拶していた他とは違いなんか既に腰が低いし飛び掛ろうとしておる。......なんかエグい耐性つけとると言うとらんかったか今?
「そしてこっちはマシンナーズ・ルインフォース。バトルフェイズに効果を使ったらお前のライフ半分にして無効にした上で殴るから。ちなみに火力が一番高い」
純粋な暴力じゃないか。というかなんでこっちのライフを半分にするんじゃ?殺意の塊か?
「と、言うわけでバトルフェイズ」
「待て、本当に待て」
「......?」
「何だその「どうして?」みたいな首傾げは!どう考えてもおかしいじゃろうが!」
ダメじゃ、コイツマジでイカれとる!未だに整理のつかん脳内じゃがこれがピンチであり異常事態であることはわかるぞ!何だこの布陣は、なんだそのカード達は!?
「召喚権を使い切り、手札からの1枚のカードで一体何が起きたらこうなる!?こうはならんじゃろう!?」
「なっとるやろがい」
「だから何故じゃと聞いておる!」
頭を抱えながらこの場をどうすれば切り抜けられるか考えていると、小娘はどこか困った様な様子で溜息をつき腰に手を当てる。
「そんな事言われても、このレベルが俺の戦ってきたデュエルだから何とも言えん」
「有り得ん......この世界のデュエルとは、ここまで進化しておるのか......!?」
「ん、ああ違う違う」
戦慄する儂に、小娘は困ったような笑みを浮かべつつ手を横に振る。ますます分からん、違うとは一体......?
「説明出来るほど今の自分のことわかってる訳じゃないから、今はちょっと話せないがな。こっちにも色々事情ってものがあるんだよ......んで、デュエルどうする?続ける?」
「むぅ......」
言われて、直ぐに継続すると言えなかった事に驚きと悔しさを感じる。先程の儂の展開は、妨害こそあれど自身のデッキのほぼ最高の回り方をした。妨害も行った。しかし、それで待ち構えてなおこのザマだ。
何が起きたかは全く分かr......無い事はなかった!少ーしだけ難解なところがあったが!それでもわかることは、ここからの逆転がほぼ不可能であると言うことだ。
墓地へ送られたカーネルは、機械族・地属性モンスターが戦闘・効果で破壊されると墓地から特殊召喚できる効果を持つ。壁としてなら、問題なく展開できるじゃろう。しかし、先程の説明の中で、あの鎧武者が裏側除外を行えるという発言があった。除外、しかも裏側での除外。それはデュエルモンスターズにおいて、ほぼ回収も利用も不可能な除去じゃ。
それをされてしまえば、手札も枯渇しとる儂はただ無為に延命しただけで終わってしまうじゃろう......詰みであるな。
「っふ、ふはは、はっはっは!」
「?」
「あぁいや、少しな。ここまで来ると最早、笑うしかないじゃろうて」
悔しいとは思う。だがそれと同時に、凄いとも感じてしまった。人間の、それも小娘に対して。
(こやつになら、負けを認めるのも悪くなかろうて。あの卑怯者めよりは、よっぽどマシな心持ちじゃ)
悔いはある、しかしここまでつきぬけた敗北ならば。そう思い、未だフィールドにいるが故に少し小娘の近くまで寄ってどっかりと座る。
「完敗じゃ!ここからの逆転の手は無い。降参!サレンダーじゃ!」
そう言って槌を下ろし両手を上げる。敗北など死んでも御免じゃと思うていたのに、晴れやかな気持ちすらある。
そんな儂を見て、小娘は少しだけ微笑みをうかべる。思わず儂も笑みを浮かべ、周囲に和やかですらある空気が生まれ、今ここに王と人とのデュエルが決着したのだ―――――――――
「じゃ、もう1回やろうか」
「......は?」
おい、今なんつったこのバカ小娘。
「いやだって、現実に戻ったらこのデッキまた使えなくなるじゃん!だからさぁ、もうあとひゃく......10戦だけやろう!」
「いやもう決着は付いたんじゃからそんなことする必要...待て今オヌシ百っつったか!?何しれっと百戦もやらせようとしとる、イカれておるんか!?」
「だ、だから10戦に変えたじゃん。そんなことよりほら、あれなら俺一緒になってお前のデッキの改善案考えてやるから。改善したら試運転出来るじゃん」
「じゃん、じゃないわ!もう帰れ、マジで帰れ!決闘の契約に基づいて貴様に儂の持っていた王の地位は譲渡されておる!それだけ受け取って現実へ戻れ!」
「い、いやだ、俺はここにずっと居るんだ、ここでずっとデュエルしてデッキ創造して生きるんだ...!」
「怖っ!?」
ええい、なんじゃこの小娘は!ここまで病的なデュエル狂いなぞ初めてみる! …………ん? これは。た、助かった!
「おい、現実の方でちゃいむとやらが鳴っておる。早う出ねばならんだろう、ほら行け!」
「えぇ、アキさんが出てくれ...あ、今日居ないんだった。リョウさんもまだ帰ってきてないっぽいし......くそぅ」
心底悔しそうな表情を浮かべた小娘は、最後まで儂の背後に積み上がったカードの山を名残惜しそうに見つめつつ光となり、現実へと戻っていくのだった。
「......やれやれ、アレが儂の所有者という事になるとは。儂が選んだ結果とはいえ、見誤った感がすごいのぅ」
誰に言うともなく儂はそう独りごち、小娘が居なくなったことでまた真っ白で無機質な場所へと変わった空間で、生成され放置されることとなったカードを手に静かに目を閉じるのだった―――――――――――――――
「鉄の王、敗北致しました。勝者は例の、鉄の王が見初めていた少女でございます」
「......はい、かしこまりました。それでは、改めて『王の決闘』へとご招待致します」
―才羽リョウ―
「もしもし」
休業日の為人一人居ないショップの中、レジ横にもたれかかりながら携帯を耳に当て静かに返事を待つ。少しの間何かが当たるようなガサガサ音がした後に、目的の人物が電話に出る。
『もしも〜し、どなたですかねぃ?』
電話先の人物の、変わらない間延びした口調に少しだけ懐かしさを感じ苦笑する。全く、コイツまだこんな喋り方してんのかよ。
「リョウだ。ちょいと頼み事があってな」
『リョウ〜〜〜?......!リョーちゃん!?』
「......あぁ『リョーちゃ〜〜〜ん!お久じゃーん!元気してた〜!?』うわうっせぇ!少し落ち着け!」
ったく、思わず耳から携帯を離して頭を抱える。あーくそ、テンションの振り幅がやべーとこまで変わりなしかよ全く......!
『んでんでどーしたのん?珍しいというか、チョー久しぶりじゃん電話!何か頼み事とか言ってたけど』
っと、そうだ本題。
「ああ、少し調べて欲しい事があってな。直近で会えねーか?」
『んー......おっけ!じゃあ明後日にウチ来なよ!私ちゃんその日なら居るからさ!』
「お、そうか。頼むぞ」
『ほいほーい☆楽しみにしてるよん!』
ツーツー、と通話が切れた音を確かめ携帯をしまう。これで、どうにかなるはずだ。性格はともかくとして、アイツの腕は信頼出来る。
「......あとは、アイツだな」
脳裏に浮かぶのは、少女の白髪。アイツに頼りっぱなしってのは性にあわない、しかし自分のデッキを未だ取り返す算段がつかない以上そうするしか道がない。
そこで更に脳裏によぎるのは、クソ野郎の笑い声と忌まわしい過去の失敗。
「......っ、くそ」
そのまま考えているともっとネガティブな方向に思考が行ってしまうかもしれない。気分転換に剛の喫茶店にでも寄ろう、そう思いショップの出入り口に手をかけたその時だった。
「「リョウさん!」」
「てんちょ...!」
「んぁ?何だどーしたお前ら」
商店街の向こうから走ってきた2人の人物に声をかけられる。見ればそこには機械万歳と、遊笑・遊鮮が息を切らして立っていた。......遊香がいない?
「リョウさん、助けて!遊香が、変なやつに襲われてる!」
「......何だって?」
―遊香―
「......っ、この人、手強い......!」
「ははははは!さぁ、その身を神に捧げるが良い!
「シグナーの小娘ぇ!」
最初は普通に丁寧に描写するか、とか合間になんかモンスターの反応とかを突っ込もうか、と思ったけどソリティアすぎるし文章も長くなって読み辛ぇなってことで描写は無しにしました。
そこで逆に読む事を一切想定して無いサイバー流展開積み込み術を使用しました。読まなくて良いよ!()
次回、存在しない原作視点。機械万歳もリョウさんも出る。