冒険と探検と日常と ~のびのびTRPG~   作:混沌野郎

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 『守国護の宝玉』を取り戻した戦士さん、姫さま、羊飼いくんの3人。
 次は宝玉を王の都に持って行くことに。
 もうすぐ王の都、そんなときに「異変」が起こっていて。
 王の都に着くと決戦? の気配があって。
 戦士さんには重大な任務が……、そんなお話。

 第27話は、第1章第2章第3章、第4章、第5章第6章、の6回に分けて公開します。

 本作は今野隼史(辺境紳士社交場)・アークライトの『のびのびTRPGソード』の二次創作です。
 ソロプレイのルール「カードをもとに物語を書く」に従って記した二次創作です。

 『のびのびTRPGソード』のプレイヤーキャラクター等の「名前」を「キャラクターの名前」にしているので、
PC「戦士」→「戦士さん」
NPC「姫」→「姫さま」
等々となっています。

先に記しとく設定、
 戦士(主人公)と羊飼い、は男性、
 作中の「ダリル」は通貨単位、1ダリル=1円くらい、
 と言うことで。

使った(引いた)カード
キャラクター:戦士
イントロダクション:試練の迷宮へ
シーン1:エレベーターの行き先は?
カード1:光:姫(NPC)
シーン2:スクール・スニーキング
カード2:光:羊飼いの少年(NPC)
シーン3:癒やしの草を求めて
カード3:光:暗所恐怖症
シーン4:迷宮ショッピング
カード4:闇:100の
シーン5:荒れ果てた町の出会い
カード5:光:軍団
クライマックス:滅亡の名は星

クレジット
ゲーム名:のびのびTRPG
ゲームデザイン:今野隼史
発売元:株式会社アークライト
© 2021 FRONTIERPUB / Arclight, inc.


第27話 宝玉戦記 ~ふたつの宝玉~ (第4章) [4/6] (冒険回)

 一夜明けて。

 日の出に合わせて宿を出た。

 王の都に向かって歩く。

 もっと早くに出発したいけど魔物に出くわすリスクは夜の方がもちろん高い。

 だから進むのは日のあるうちだけ。

 疲れすぎないペースで歩いて、休憩を入れて、また歩いて。

 運が良かった。

 魔物に会わずに夕方の早い時間に目的の村に着いた。

 村の宿屋で1泊。

 

 翌朝。

 日が上がる前に出発の準備をして、日が出てすぐに出発した。

 今日も急ぎすぎないように歩く。

 午前中は何もなく済んだ。

 休憩、昼メシを食ってまた歩き始める。

 十分な午後になって村の廃墟が見えてきた。

 廃墟だけど特に何もなさそうだ。

 そのまま進もうとして。

「待ってください」

 姫さまの声。

「不穏な気配がします」

 姫さまは廃墟の先を見る。

 俺と羊飼いくんも目を凝らす。

 ……魔物の群れだ。

 それも小さいとは言えない、それなりに大きな群れ。

「どう……、しましょう」

 羊飼いくんが不安そうに言う。

 言ってる間にも群れは近づいてくる。

 魔物の群れがしっかり見える。

 群れ、ゴブリンが50匹かそれ以上。

 ゴブリン、下級の魔物、弱い部類の魔物だ。

 けどこの数。

 俺ひとりじゃ正直どうにもならない。

 それは姫さまも羊飼いくんも分かってるみたいだ。

 群れはさらに近づいてくる。

 俺は剣に手をやる。

「守国護の宝玉を使います。

 30秒、時間をください」

 姫さまの唐突な言葉。

 けど自信があるみたいだ。

「分かった」

 こくりとうなずいた。

 ゴブリンがこちらに気づいて突進してきた。

 姫さまが言ったこと、「30秒」。

 だから、30秒、どうにかする!

「やあーっ!」

 声をあげて剣を抜いてゴブリンの群れに突っ込む。

 目の前にいる1匹を切る。次に目の前にいる1匹を切る。

 50匹は絶対にいる。だから切る相手には困らない。

 8匹か9匹か切ったか。

 後ろ、姫さまと羊飼いくんがいる、で何かが光ったのを感じた。

 次の瞬間、俺の横をたくさんの光の糸が次々に伸びた。

 光の糸はゴブリンに刺さって貫いて、その後ろにいるゴブリンに刺さって貫いて。

 群れのゴブリン全部が光の糸に貫かれた。

 糸に貫かれたゴブリンは完全に動かなくなった。

 ピンッ!

 光の糸に小さな波がひとつ流れた。

 波がゴブリンを貫通して、波に貫かれたゴブリンは光になった。

 ゴブリンだった光が弾けた。次々に弾ける。

 光の全てが弾けて俺のまわりは切り捨てたゴブリンだけになった。

 もう一度背中に光を感じた。

 いくらかの光の糸が伸びてゴブリンの死骸を貫いた。

 ゴブリンの死骸も光になって弾けた。

 これで終わりか。

「戦士さん、ありがとうございます」

 こちらに来ながら姫さまが言う。

 姫さまと一緒に来た羊飼いくんが尋ねる。

「今のが宝玉の力ですか?」

「はい、そうです」

 姫さまが答える。

 剣に聖水を振りかけながら、

「こんなに強力なのか……、

 大したもんだ」

 正直に言う。

 姫さまの答えは、

「宝玉の力のかけら、にもなりません。

 かけらのかけら、よりもずっと小さな力です」

 じゃあ全力だったらどうなるんだ?

 ぞっとする。

 とは言え国全部を守るんだ。それくらいは要るだろう。

 俺たちのまわり、ゴブリンの痕跡はきれいさっぱり消えてなくなった。

「それじゃ急ごう」

 俺が言って、

「はい」

「はいっ!」

 姫さまと羊飼いくんが答えてくれた。

 また歩く。

 今日も日が暮れる前に目指してた村に着いた。

 

 夜。

 明日の話をした。

 昼頃に王の都に着く。

 宝玉は王宮に持っていかないといけない。

 その宝玉は姫さまが持ってる。

 王の都についてすぐに王宮に行くか、と考えた。

 けどいきなり王宮に行っても話を聞いてもらえるとは思えない。

 だからまず冒険者ギルドに行く、と決めた。

 

 王の都までの最後の夜。

 明日も今日みたいに魔物に出会うかもしれない。

 体の調子を万全にしておく。

 夜の早い時間に眠りについた。

 

 夜が明けて。

 やっぱり日の出に合わせて宿を出て王の都を目指す。

 王の都は海に面してる。

 もういくらか歩いた先で海沿いの道に出る。

 そこで王の都までの半分。

 後は海に沿って歩けば王の都だ。

 3人で少し早足で歩いてもうすぐ海沿いの道。

 そろそろ海が見えてくるはず……、なんだけど海の「青」が見えない。

「そろそろ海のはずだよな?」

 姫さまに尋ねる。

「はい、そうです」

 少しの不安を含む答え。

 さらに歩いて海沿いの道に出た。

 海沿いの道だ。すぐに海があるはずなのに……、海がなかった。

 海岸線はある。砂浜もある。けど水がない。

 どう言うことだ?

「何が起こってるんですか?」

 羊飼いくんの声は少し震えてる。

「分かりません。

 ですが……、王の都に急ぎましょう」

 姫さまの声が合図。

 王の都への道を早足で歩き始めた。

 3人で何も話さずにひたすら急ぐ。

 王の都が見えてきた。

 昼頃に着く予定だったけど昼前に着けた。ありがたい。

 少しでも早い方が良い。

 王の都を囲む城壁が見えてきて城壁の門、城門に着いた。

 警備をしてる兵士に俺は冒険者で姫さまと羊飼いくんは仲間だと説明した。

 すぐに門を通してもらえた。

 城壁の中、王の都に入る。

 王の都は人でいっぱいだった。

 いっぱいなのは明らかに冒険者だ。

 どうしてこんなにたくさん?

 何があるんだ?

 気になるけどまずは冒険者ギルドへ向かう。

 ギルドは王の都の十分な中にある。

 だから城門から少し歩く。

 ギルドに着いて中に入る。

 ギルドには人はそれほどいなかった。

 建物に入ってすぐ、受付で事情、守国護の宝玉のこと、を話した。

 けど、すぐには信じてもらえなかった。

 取り戻してきた、と嘘を言うやつがそれなりの数いたらしい。

 受付の横から事務室に入れてもらった。表からは見えない場所だ。

 受付のスタッフは元の場所に戻って、別のスタッフに宝玉を見てもらうことになった。

 ここからは姫さまの出番だ。

 姫さまが胸の前に両手をやって呪文を唱える。

 胸の前に光が現れて、光は大きくなって、姫さまの前に守国護の宝玉が姿を現した。

 ギルドのスタッフは驚いて何も言えなくなって、少しして言葉が戻った。

「今すぐ王宮に行こう!」

 そうなるだろう。

 姫さまが呪文を唱えて宝玉を納めた。

 俺たち3人はスタッフに連れられて王宮に向かった。

 街の中を歩いて王宮の正門に着いた。

 王宮の正門、警備してる兵士にスタッフが話しかける。

 兵士がスタッフを確認して、別の兵士の後に続いて王宮に入った。

 王宮の軍の施設、宝玉の件の対策本部、とでも言う部屋に案内された。

 部屋、広い部屋に入る。

 俺たちを連れてきてくれた兵士が部屋の中の兵士に引き継いでくれた。

 引き継いだ兵士が俺たち4人を部屋の奥に案内してくれた。

 部屋のいちばん奥、立派な軍服を着た男が何人かとその部下らしいのが10人くらいいた。

 兵士がひとこと言って、ギルドのスタッフが俺たちのことを話してくれた。

 立派な軍服を着てる男の中で特に立派な服の男、後で軍のトップ、将軍だと教えてもらった、は俺たちを見てまず姫さまに驚いた。

「殿下、今までどこにいらっしゃったのですか?

 魔術学院で行方不明になったと聞いておりますが」

 姫さまが落ち着いた声で言う。

「命を狙われておりました。

 そこを助けてもらって宝玉を取り戻してまいりました」

「では、この冒険者に……?」

 男の声には困惑があって、

「その通りです」

 姫さまはやっぱり落ち着いた声。

 言葉が続く。

「それよりも今は宝玉が先です」

「それは……、そうです」

 男は答えて続けて言う。

「ではまいりましょう」

 男が歩き出して姫さまがその後を歩いて、俺と羊飼いくんとギルドのスタッフが続いた。

「どこに行くんだ?」

 姫さまに尋ねた。

「護国の塔、宝玉があるべき場所です」

 とのことだ。

 部屋から出て王宮の中を歩く。

 どこに向かってるのか分からないけど姫さまに続いて歩いた。

 歩いた先に階段があった。

 らせん階段。

 なるほど、塔に上るらしい。姫さまが言ってた護国の塔だろう。

 階段を上る。

 階段は長く続く。

 長く上った先、塔の頂上に着いた。

 塔の頂上、屋根はあるけど四方はしっかり見渡せる。

 床の真ん中が1段高くなっていた。

「殿下、おねがい致します」

「はい」

 男の声に答えて姫さまは胸の前に手をやる。

 胸の前に光が現れて、大きくなって、1段高いところに移動。

 塔の頂上の真ん中に光が落ち着いた。

 光が少しずつ弱まって替わりに守国護の宝玉が現れた。

 塔の中心に宝玉が据えられた。

 これで一件落着だ。ほっとした。

 心に余裕ができた。

 だからまわりの景色を見まわして、海の方を見て、海がなくなってるのを思い出した。

「そうだ! 海がなくなってるんだ!

 何が起こってるんだ!?」

「まず見ていただいて、戻ってから説明しましょう」

 俺の問いに男が答えてくれた。

「海があるべき方を見てください」

 男にうながされて改めて海があるはずの方を見る。

 あるはずの水がなくなって海底が見えてる。

 視線を水平線があるべき地平線に移す。

 何だ?

 空が赤黒いように見える。

 本当に何なんだ?

 俺の横、姫さまと羊飼いくんも見てる。

 隣、姫さまを見て、姫さまは真っ青になってた。

「これは……」

 言おうとした羊飼いくんも姫さまの表情に気づいた。

「……こんな、……ことが」

 姫さまがつぶやいた。

 とんでもないことになってるんだ。間違いない。

「何が起こってるんだ?

 教えてくれ」

 男に言う。

「では戻って説明しましょう」

 俺たちは男の後ろを歩いて本部に戻った。

 広い部屋、本部に戻って、部屋のいちばん奥に向かう。

 いちばん奥にはやっぱり立派な軍服の男がひとりいた。

 まず、まだしてなかった自己紹介をした。

 初めに俺、次に羊飼いくん、姫さまはしなくても大丈夫、ギルドのスタッフも大丈夫。

 男は将軍で、待っていた男は参謀、とのことだった。

 参謀が説明してくれた。

 海の異変はやっぱり守国護の宝玉が原因だった。

 宝玉がなくなって、宝玉の力がなくなって、海の底深くに押さえてた魔物があふれ出たとのこと。

 その影響で海が消えたらしい。

 塔からわずかに見えた赤黒い空は魔物の邪気が空を支配してるからだと説明してくれた。

 空にまで魔物が影響してる、ってのはとんでもないことで、つまり、どのくらいの数の魔物がいるのか全く分からない、とのことだった。

 ふと思った。

 ゴブリンの群れ、宝玉の力で簡単に消え去った。

 だから、

「宝玉の力で何とかならないのか?」

 そう尋ねた。

 姫さまが答えてくれた。

「できます。

 ですが宝玉の力を大きく使ってしまいます。

 ですので魔物を浄化してもその後国を守れません」

「なので王国軍が全力をあげて、そこに冒険者を集めて魔物を殲滅する。

 それが最善の策です」

 姫さまの言葉を継いで将軍が教えてくれた。

 なるほど、それで冒険者がいっぱいいたのか。

 将軍の声が続く。

「さて、この後はそれぞれで、と言うことでよろしいでしょうか?」

 この後どうすれば良いかなんて俺には分からない。

 だから「頼む」と答えた。

 羊飼いくんはギルドのスタッフと一緒にギルドに戻ることになった。

 姫さまは王宮の国王さまや王妃さまのところに戻ることになった。

 俺はこの部屋に残って今後のことを話すことになった。

 羊飼いくん、ギルドのスタッフ、それに護衛の兵士を従えた姫さまが部屋から出ていった。

 俺と将軍と参謀の3人になって、将軍が話し始めて驚くしかなかった。

「戦士くんが全軍を率いてくれ」

 そう言われた。

 もちろん俺が軍の指揮なんかできる訳がない。

 けど参謀に説明してもらって納得できた。

 良くも悪くも俺は飾り物。

 だけど守国護の宝玉を取り戻した冒険者が全軍のトップにいれば軍の士気が上がる。

 もちろん実際の指揮は将軍と参謀がしてくれる。

 とのことで、確かにそうだし、だったら俺にでもできる。

 だから将軍が言ったこと、全軍を率いる、俺はすることにした。

 次に戦いの段取りを説明してもらった。

 現れた魔物の軍勢は少しずつこちらに近づいてる。

 けど、そのままこちらには来ない。

 ある程度のところで止まって、空を十分に支配して、おそらくは明日の日の出と同時に攻めてくるだろう。

 だからこちらも日の出に合わせて動く。

 だそうだ。

 大まかなところを説明してもらって、俺はすぐに王の都の海辺のはずの場所に向かった。

 俺が向かったところには前線の指揮所があって、俺はここで指揮をすることになってる。

 もう夕方になってた。

 俺はなるべく勇敢に見えるようにふるまった。

 俺を見た連中が戦いに自信を持てるよう気をつけた。

 俺が指揮される側だったらやっぱり勇敢なやつの下で戦いたい。

 だからそうした。

 指揮所に入って、前線の指揮官から改めて今の状況と明日のことを教えてもらった。

 魔物は相当数、正確な数はまだ分かってない。

 明日、明るくなってきたら分かる、とのこと。

 対してこちらは王国軍と騎士団の全部、加えてたくさんの冒険者。

 勝てるかどうかは戦いが始まらないと分からない。

 そう説明してもらった。

 

 夜の遅くに少しの仮眠をして、まだ未明の時刻に目を覚ました。

 考える。

 この戦い、俺にできるのは士気を高めることだけ。

 ほかに何かできることは……、ない。

 だから俺は俺の役目、できるだけのことをすると決めた。

 




 『宝玉戦記 ~ふたつの宝玉~ (第4章)』、これにて終幕です。

 と言う訳で、王の都に到着です。
 『守国護の宝玉』を取り戻したものの王の都はとてつもない危機です。
 戦士さんは……、無茶振りされました。
 夜が明けると決戦が始まります。
 決戦の行方は……。
 「ありがち」な展開ですがそこが「斬新」だと言っていただけると幸いです。

 次回は『宝玉戦記 ~ふたつの宝玉~ (第5章)』です。
 では、今後ともご贔屓のほどよろしくお願い致します。
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