英雄伝説・閃光の軌跡   作:雨の剣士

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学院生活

 士官学校に入学して数ヶ月程経った

 特に目立った事や困ったことが無く、普通に学生生活を満喫しています。

 寮の相方も運よく知り合いだったし、同じクラスにはトワもいるし、何だかんだ楽しんでいる。

 後、先生たちへの連絡も週一で行っている(最初は月一で良いかと思ってたから週一で手紙が届いたから)。

 ちなみに先生達への手紙だけど、母さんから託されたニケという小型の白い狼型の使い魔を使っている。

 まぁお祖母ちゃんにばれたら怒られそうな気がするけど。

 

 

 そんな日々を過ごす中、士官学校を忙しく走り回っているトワに昼食を誘われたので、食堂で持参したお弁当を持って待機中です。

 近頃はあの女…サラ教官に色々と頼まれて忙しそうにしている。

 一緒の部屋のクロウも何かに巻き込まれているようで定期的にげっそりとしている。

 それを言うならトワもそうだろうか。

 入学式の時にサラに何かを頼まれて以降は何もなかったけど、近頃は各地に遠征に行ったり、生徒会長に推挙されていたりと何かと多忙な様子。

 まぁ俺も仕事で忙しいので人の事は言えないけど、折角お昼ご飯に誘われたわけだし情報交換をしたい所だ。

 

 そんなわけで暫く待っていると、駆け足でトワがやってきた。

 

 

「遅くなってごめんねノア君。待った?」

 

「大丈夫。待って…無いけど…(うわぁ…めっちゃ疲れてる……)」

 

 

 元気よく来たトワだけど、とても疲れていることに気配で直ぐに気づく。

 あんまり無茶して欲しくないんだよね。

 俺も昔は結構無茶して熱出したし、後々体に響くんだよこれが。

 

 

「大丈夫トワ?疲れてるみたいだけど」

 

「大丈夫だよ。ちょっと頼まれごとがあっただけで。今も試験運用の件で生徒会に行ってただけだから」

 

「……ならいいけど」

 

 

 試験運用というのは、RF社で開発中のARCUSと呼ばれる戦術オーブメントの事。

 そのメンバーにトワは選ばれていて、他には同室のクロウと隣のクラスのジョルジュ、貴族クラスのアンゼリカが担当しているらしい。

 

 

「所でノア君。お昼決めた?」

 

「俺は基本自炊です。というわけで」

 

 

 足元に置いてあったランチボックスを二つテーブルに置く。

 ちなみに、学院に通っている生徒は基本的に学食か街の宿で食事をしている。

 俺の様に毎日自炊している学生なんていないだろう。

 

 

「えっと良いのノア君?」

 

「勿論。トワに誘われて嬉しかったから気合入れて作りました。サンドイッチとフィッシュ&ポテトです」

 

 

 ランチボックスを開けると中にはサンドイッチと大きめの魚のフライ。

 それと芋を細切りにして油で揚げたもの。

 これが意外と美味しいんだよね、先生やデュバリィ達も絶賛してたし。

 

 

「ではどうぞ」

 

「ありがとうございます。では」

 

 

 揃って『いただきます』と言ってから食べ始める。

 サンドイッチは辛子マヨネーズが効いてていい感じで、フライドフィッシュとポテトも油っこくなくて食べやすい。

 トワもにっこにこで食べている所を見ると、美味しくできたようだ。

 

 

 

「とても美味しい。何処かで教わったの?」

 

「ま、色んな所に行ってたからね。それとちょっと話が変わるけどトワ。試験運用もそうだけど、手伝えることはない?」

 

「え?手伝えること?いいよノア君。アンちゃんやジョルジュ君も時々手伝ってくれてるし」

 

「いやいや。どう見てもオーバーワーク気味。せめて生徒会の仕事ぐらい手伝わせてよ。自由行動日とか暇だし。こうみえて母さんの仕事手伝ってるから色々出来るけど?」

 

「そう言えば少し前のテスト先でサラ教官がノア君の事を言っていたような…。うーん、手伝ってくれるのは嬉しいけど……」

 

 

 どうやら悩んでいる様子。

 手伝うことを申し訳ないと思っているのか、あるいは他の理由があるのか。 

 嬉しいと言っているのを聞くと、手伝う事は問題なさそうだが。

 

 

「あら?ノアにトワじゃない。なになに?昼食デート?」

 

「ふぇ!?デートじゃありませんよ」

 

「普通にお昼を食べてるだけですよサラ教官」

 

 

 端から見たらそういう光景に見えるかもしれないけど、残念ながらデートではごさいません。

 まぁ結構一緒に居るから一部ではそういう話も上がっているみたいだけと。

 

 んで、声をかけてきたのはサラ教官。

 例の試験運用を担当している元遊撃で、俺とは表も裏の顔も知っている仲である。

 

 

「もしかして予定を立ててる最中とか?結構噂になってるわよ二人。いつも一緒に居るから付き合ってるのかなーって」

 

「付き合っていません!ノア君は大切な幼馴染みです!」

 

「その割には顔真っ赤よトワ」

 

「ううっ…」

 

(おーおー。林檎のように真っ赤。というか…)

 

 

 人の事を言えないだろうと、サラへの突っ込みは置いておき。

 顔真っ赤なトワを見ていると、子供の頃の事を思い出す。

 あの時は一緒に寝たり風呂も入ったっけ。

 今考えたら羞恥物なんだけど。

 

 

「で?なんの話してたのよ?」

 

「えっと実は…」

 

 

 トワが一通り説明すると、サラは少し考えてから顔を近づけてくる。

 嫌な予感がしながらも耳を傾ける事に。

 

 

「例の工房が興味を持ってるのかしら?」

 

「博士に話したけど興味なし。というかレンを追いかけるのに夢中みたい。カルバートまで追いかけたみたいだから、ちょっと連れに連絡しておいた」

 

「…そっちも色々あるのね。まぁでもいいわよトワ。貴女が不在時の生徒会とか、他にも色々と間に誰かいた方がいいでしょ」

 

「それは確かに…。でもノア君もNGOのお仕事あるよね?少し前も一週間ぐらい休んでたし」

 

「大丈夫。基本的には事務処理ばかりだし、時々手に負えない魔獣の討伐とかあるけど、その手は自由行動日に回してもらってるから。

 

 

 NGOの仕事と言っても色々ある。 

 各地の支援や調停役、情報収集や様々な組織との連携。 

 各地に点在している支部によって変わってくる。

 まぁ基本的にやっていることは同じなんだけど。

 ちなみに俺は各地の支援と集められた情報のまとめ、後は魔獣討伐がメインである。

 

 

「というわけだからトワ。遠慮なく頼ってよ」

 

「そういう事なら遠慮なく頼ろうかな。じゃあ早速だけど放課後生徒会室に来てくれる?」

 

「了解です。生徒会室とは言わずどこでも向かいますとも」

 

「どこでもって…ちょっと誤解を招くような気がするけど…(アンちゃん辺りが聞いたら大変な事になりそう)」

 

 

 ひとまず色々と手伝えることは多そうだ。

 酒豪教官が担当している時点で相当な無茶ぶりが多いだろうし、ちょっとでもトワの助けになれたら嬉しい。

 色々と悩んでいるみたいだしね。

 

 

「あ、そういえばノア君。今度の夏至祭って時間あったりする?」

 

「うん。三日とも予定ないけど。どうかした?」

 

「夏至祭の最終日に帰省するんだけど、ノア君の事をマーサ叔母さん達に話したら良かったら連れておいでって」

 

「成程…。でも行っても迷惑じゃない?かれこれ10年近く会ってないわけだし」

 

「迷惑じゃないよ全然。むしろ来てくれた方が喜ぶんじゃないかなぁ」

 

「そっか……(さてさて…おばさん達には子供の頃面倒を見てくれたので行きたい所だけど…)」

 

 

 正直気まずいので顔を合わせたくない所。

 両親の事だって聞いてきそうだし、結構押しが強い人たちなんだよね。

 あぁでも断るのも辛いし…。

 

 と、少し悩んでいると、トワが何か気づいたような顔を浮かべながら聞いて来た。

 

 

「もしかしておじさん達帰ってくるとか?それなら無理強いしないけど…」

 

「帰ってこれないよ。結構忙しくしているみたいで。職業上仕方ないね」

 

「そっか。でも寂しくない?暫く会ってないって言ってたから」

 

「……大丈夫だよ。寂しくないから。折角だし行かせてもらおうかな。実家にも顔を出しておきたいし。整理整頓しておかないと」

 

 

 先日デュバリィにも言われていた事だし、トワの家に行ったついでに実家に顔を出しておこう。

 一応定期的に掃除とかはしているけど、暫くは帝国に滞在するし、本格的に手入れしておかないといけないかな。

 

 

「うん。じゃあ叔母さん達に伝えておくね。それと、私もノア君の家に行ってもいいかな?一人だと大変だと思うし」

 

「それは助かる。じゃあ予定立てよっか。折角だし一日休み取ってデートでもする?エスコートするけど」

 

「デっ……ノア君?」

 

「す、すんません」

 

 

 トワのジト目と圧に押し負けてしまう。

 デートの件は割と本気で誘ったんだけど、さすがに学院休むのはまずかったか。

 まぁでも、ちょっとトワの調子が戻ってきたらヨシとしよう。

 

 そんなわけで予定を立てながら楽しく昼食を食べ終え、トワは技術室に用があるとかで分かれることに。

 俺は特にやることが無いので教室に戻ろうしたけど、向かいにサラが座る。

 どうやら逃がしてくれなさそうだ。

 

 

「アンタも大変ね。大切な幼馴染に嘘をつかないといけないから」

 

「……言えると思う?おじいさんと同じぐらい俺の両親に懐いてた。そんな彼女に残酷な事を言えるかっての」

 

「でも、言わない方が後から辛いわよ。アンタだって…」

 

 

 サラの言いたいことも良くわかる。

 嘘ついて、黙っていても良くないこと、嘘をつく側も辛くて苦しいことぐらい。

 それでも知ってほしくないし、知られて傷ついて欲しくないから。

 

 

「難しいけど今のままが一番。その時が来ない事を祈るだけ」

 

「アンタがいいならいいけど…あんまり悲しませるような事はしないようね。言っておくけど私はトワの味方するから」

 

「それでいいさ。で?本題は?」

 

「ちょっとお願いあるからトワの件が終わったら来て頂戴」

 

「……職務怠慢でベアトリス先生に言おうかなぁ……」

 

 

 

 割と本気でそう考えてしまうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

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