桐原静矢になったけどとりあえず最強目指す   作:田中

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修行編とかいうテコ入れを作者が描写するわけがない。


学園が襲撃されてました。

修行はやはり疲れるし辛い。身体ズタボロだし血塗れだし。現在進行形で死にかけ。でも保有魔力量は大幅に上がった実感がある。覚醒チャレンジ大成功である。こんな状態で誰かと戦えば死ねるね。間違いない。誰だよこんな修行企画して実行したやつ。訴えるぞこの野郎!

 

「…って企画も実行も俺じゃん」

 

バカなことを言っていれば魔力がある程度回復したため、能力で自然治癒力を極限まで上げる。その効果は絶大で、傷口が全て煙を上げて完治する。それだけでなく折れた骨も、砕けた骨もすべて治る。自然を操る能力強すぎないですかね。ただ、疲れは残る。今の魔力残量的にここまでが限界だった。

 

「歩きやすくなっただけまだマシか。いや、今回の修行は中々ハードだったからほんと効果でかかった。ただ、体の一部が木になった時は本気で焦ったなぁ…」

 

今回の修行を思い返しながら帰っていればようやく学園が見えた。だが、その姿は見るも無残な姿だった。校舎は燃えており、校庭の木々もついでに焼かれている。なんだこれ!?と思って急いで現場に向かう。

 

学園内に入れば生徒や教師が地面に寝そべっていた。血が出ていないところを見れば幻想形態で潰されたのだろう。考えていれば着信が入った。というか先程まで圏外だったからいっぱい着信が来ていた。クラスメイトや理事長からだ。メールに残されたクラスメイトからの『助けて』という文字を見て、俺の中の何かが切れた。

 

一度落ち着いて理事長に電話をかける。かければワンコールで出てくれた。流石である。

 

「理事長。今どこですか?」

 

『ヒュルルルルこそヒュルルルルにいる!?』

 

風切り音がうるさくて聞こえない。どうやら理事長は全力で移動しているようだ。どうせ聞こえないならこちらから一方的に言うだけ言おう。

 

「今、破軍学園にいます。生徒や教師が倒れていて、血が出ていないところを見れば幻想形態でやられたのでしょう。だから生きてます。しかし、これからこの場にいる……目の前にいる襲撃者に状況聞いてみますね」

 

いつのまにか目の前に6人と1匹が集まっていた。ピエロとライオンに目がいって仕方がない。なんでその格好なんだ。ふざけているようで無性に苛立つ。しかもそれが『傀儡王』の端末の一つという事実が最も腹立つ。

 

「君たちが襲撃者でいいよね。状況説明してくれる?」

 

「ボク達は『暁学園』です。名高き桐原静矢さんにお会いできて感激です」

 

「御託はいい。何をしてるのかを聞いてるんだ塵芥共」

 

知り合いを傷つけられて怒らないほど温厚ではない。

 

「貴方達『破軍』を踏み台に『暁』が七星剣舞武祭に出場する為襲撃させていただきました」

 

「らしいですよ理事長。では『俺』は自由にやりますんで切ります」

 

一方的に話して通話を切る。残り魔力は半分以下。それでも十分だ。塵芥共の掃除など、多少の魔力さえあれば楽に行える。

 

「一応名乗っておこう。2年Aクラス桐原静矢。名前だけでも覚えて消えてくれ」

 

言うと同時に襲撃者が消えた。なんてことはない。ただ襲撃者のいた空間を削り取っただけだ。偽物共には用はない。本物は消えている。しかも風を使って光の屈折を起こして姿を消している。この能力を使う人を俺は1人しか知らない。そいつは俺の真似事をしているだけだ。

 

「【朧月】」

 

霊装を取り出し矢を射出する。同じステルス使いなんだ。攻略法はわかる。特に、風を操って姿だけを隠すタイプなんて簡単だ。風の出所が敵の居場所だ。

 

「流石だな。桐原静矢」

 

出てきたのは7人と1匹。先ほどの襲撃者プラス1人、黒鉄王馬が出てきた。

俺の放った矢は7本。その全てが王馬くんに叩き落とされていた。

 

「第2ラウンドといきましょうか」

 

ピエロが腕を広げて楽しそうに言う。最初の一撃はこいつに当たることを決めた。

 

「黙れ。ピエロ如きが喋るな」

 

瞬間、叩き落とされていた7本の矢が全て矛先をピエロに向け、飛んでいきピエロに刺さる。幻想形態ではない矢はピエロを貫き、絶命させる。

 

「1人目」

 

一瞬で1人を殺されたというのに、6人は少しも恐怖せず、俺に襲いかかってきた。最初にライオンが腕を振り上げその豪腕が俺にせまる。だが、その一撃をライオンの腕を切り落とすことで避け、そのまま上に乗っている少女を殺そうと剣を突き出せば黒鉄王馬に弾かれた。

その後俺によく似た人形が背後から現れ、横薙ぎを加えてきた。弾かれたせいで剣を振ることはできない。だからその一撃を手を蹴って木刀を落とさせようとした。だが、それを人形に見抜かれて剣を離し、落ちた先に待機していた左手が木刀を掴み、俺を切りつける。これは避けられない。魔力の出し惜しみをしていればこの一撃で倒されることは明白。だから魔力を解放する。

解放された魔力の圧に俺の周りにいた人は全て吹き飛ばされる。

 

「王馬くんが連携してくるとは微塵も思わなかったし、俺の動きを模倣する人形を生み出せるとは思わなかった。だけど簡単には獲られない」

 

「すごいな。シズヤ君は本当に思い通りにならない。全く干渉されないんだね」

 

「お前のことは知っている。【凶運】紫乃宮天音。望んだものがなんでも叶う能力を持つある意味最強の男。俺が最も警戒し、対策した男だ」

 

「すごいな。僕のことをよく知っている。もしかしてストーカー?」

 

「ある意味そうだな」

 

「気持ち悪い。死んじゃえ」

 

紫乃宮天音がそう言えばなぜか建物の上から剣が落ちてきていた。俺に干渉できないから他に干渉してきたのだ。避けようとすればいつのまにか前からも剣が迫ってきていた。運がいい。それも行き過ぎれば気持ち悪さがある。

 

「気持ち悪いのはお前だ」

 

一瞬で紫乃宮天音に肉薄し、殺意を持って上段から斬りつける。紫乃宮天音はそれを避けようともしなかった。なのに突然強風が吹き、紫乃宮天音自身をを吹き飛ばした。吹き飛ばされたおかげで俺の一撃は外れた。それだけでなく俺に隙を生んだ。その隙を見逃す黒鉄王馬、俺のコピーではない。

 

「【月輪割り断つ天龍の大爪】!」

 

俺に向かって暴風が飛んでくる。それだけではない。俺のコピーが何も言わずに【崩月】と思われる技を飛ばしてくる。容赦のない一撃を今の残存魔力では受け切れない。だから離脱する。

 

離脱しようと足に力を入れると地盤が砕かれうまく力が入らなかった。ここでも【凶運】の力が働いていた。それだけではない。

 

「【王者の威圧】!」

 

ライオンから放たれる威圧に体が重くなり、確実に避けられなくなった。

絶望的状況。魔力が一割もない状況でなければ余裕を持って対処できただろう。こんな極限状態でいつも主人公は戦っているんだ。なら俺は慢心を捨て、主人公と同じことをしてやる。

 

「『俺の最強を以ってお前達の最強を打ち破る』ってね」

 

【一刀修羅】もどきを発動。これではまだ受け切れないことを瞬時に理解した。それなら【一刀羅刹】もどきを発動するまでだ。残りの魔力全てくれてやる。後のことなど考えない。1秒間で…否、コンマ1秒で窮地を抜け出し、全員を斬り伏せる。

 

0.01秒…初めて自然から…俺の血液を元手に鉄の刀を生成。

 

0.02秒…模造品の【崩月】を【雷切】で打ち破る。代償に刀が粉々になったがもう一度作り出す。

 

0.03秒…黒鉄王馬の【月輪割り断つ天龍の大爪】を【秘剣・燕返し】で霧散させる。

 

0.04秒…身体能力強化を生かして模造品と黒鉄王馬の間に移動する。

 

0.05秒…反応してきた模造品の木刀と刀を打ち合わせ共に粉々にし、懐にいつも入れているナイフで模造品を【十七分割】する。

 

0.06秒…模造品に遅れて反応した黒鉄王馬にナイフを突き刺す。が、薄皮一枚分しか突き刺さらない。そんなことは分かっていた。

 

0.07秒…ナイフの柄を思い切り蹴り、しっかりと突き刺さったのを確認してそのまま蹴り飛ばす。黒鉄王馬は血を出しながら飛んで行った。

 

0.08秒…全く反応できていないライオンと眼帯少女とメイドを相手に魔力が足りず実体化させるに至らなかったため、幻想形態の【朧月】の矢で貫く。

 

0.09秒…チェーンソーを持つ少女に接近。そのまま【閃走・六兎】で瞬時に同じ箇所へ蹴りを6回叩き込み、飛ばす。

 

0.1秒…紫乃宮天音に再度肉薄し、首を掴み投げようとする。

 

だが、腕が首に負け、変な方向に曲がっていた。時間切れだ。思ったより早かった。これも【凶運】……いや、見誤っただけか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だけど、これで『破軍学園選手団』の勝ちだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「これは!?」

 

合宿に行っていた破軍学園選手団が戻ってきた第一声は刀華だった。辺りに倒れている生徒、教師を見る。他にもライオンや眼帯をつけた少女、謎のメイド。チェーンソーを持った少女も倒れていた。そして体にナイフが刺さりながらも立ち上がる王馬と、普通に立っている紫乃宮天音とサラ・ブラッドリリーに目を向ける。

 

そして、信じられないことに血まみれで倒れている静矢を捉えた。

 

「あーあ、半壊で『破軍学園選手団』が来ちゃった。予定通り弱った状態でシズヤ君が来てくれたのに、弱っていてもこれだけやるなんて上を行かれたな。気に入らない」

 

『暁学園』側は余裕を持って立っているのはサラ・ブラッドリリーと紫乃宮天音だけ。黒鉄王馬は目に見えて負傷している。対して選手団は全員万全の状態であり、数が多い。どちらが有利かなど誰の目を見ても明らか。

 

「死んじゃえ」

 

だから天音は手に持つアズールで静矢の体を貫いた。計画をめちゃくちゃにした静矢に致命傷を与えた。

 

「な!?」

 

目の前の選手団より優先して静矢を狙ったことに驚愕する。選手団の全員はこの襲撃の目的をアリスから話されている。だから代表選手複数より、再起不能なまでにボロボロな1人を狙ったことに驚いた。

 

「時間稼ぎは終わりだ」

 

天音がそう言えばサラは絵を描き上げていた。そして生まれてくるのは静矢が3人。一人一人が本物に劣らない実力を持つそれは容赦なく選手団を襲う。

 

「桐原君が3人!?」

 

一輝が驚けば瞬時に3人とも選手団の目の前に移動し、各々木刀を振っていた。並の伐刀者であれば反応できないそれに反応したのは6人。

 

桐原静矢Aの一撃を静矢に決勝で負けた黒木櫂が受け止める。そして去年の七星剣武祭で静矢に負けた東堂刀華が【雷切】で斬る。だがその一撃は通らない。桐原静矢Bが受け止めた。その隙に桐原静矢Cが他を襲うがそちらも一輝が受け止め、珠雫が水で拘束する。そして珠雫の後ろからステラが炎でCを焼く。だがこの程度で桐原静矢が倒れるわけがない。そのまま拘束を魔力放出で消しとばし、一輝を斬ろうとする。

 

「【影縫い】」

 

アリスが桐原静矢ABC全員の影にナイフを突き刺す。影を刺されることで桐原静矢ABCは動けなくなった。

 

「やっぱり裏切るのですね。保険をかけて最高でしたね」

 

天音が笑うと選手団の背後から殺気を感じた。振り返った時には既に手遅れ。桐原静矢Dがアリスを斬っていた。アリスがやられることで3人も動けるようになり襲撃が再開。3人の対処に追われているうちにDがアリスを抱えて戦線を離脱していく。

 

「待て!」

 

一輝がアリスを抱えて立ち去るDを追おうとするがそこに黒鉄王馬が立ちはだかる。

 

「王馬兄さん!?」

 

ナイフで抉られた傷口から血を流しながらも一輝に向けて刀を振る。

 

「散れ」

 

その一撃をステラが受け止めた。

 

「行ってイッキ!シズクがアリスを追って行ったわ!こいつらシズクを素通りさせた!行った先に罠があるんだわ!いいえ、罠がなかったとしてもシズヤ先輩と同じくらい強い偽物がいる。シズク1人じゃ危険よ!行って!」

 

「わかった!ここは任せた!」

 

アリスと珠雫を追って一輝は走っていく。背後の3人の静矢と王馬に目もやらず立ち去った。

 

「ええ、手負いのオウマ・クロガネなんてすぐ倒して追いかけるわ」

 

手負いとは言え、同じAランクであるため余裕はなかった。だからステラは最初から全力。今自分が放てる一番の技を繰り出す。

 

「フッ、俺はもう負けられない。手負いであっても負けない!【月輪割り断つ天龍の大爪】!!!」

 

「【天壤焼き焦がす竜王の焰】!!!」

 

風と炎。2つの技がお互いにぶつかり合う。王馬は一度静矢相手に打ち、さらに負傷している。だから威力は静矢に放った一撃より威力は劣る。

 

だが、それでもステラの【天壤焼き焦がす竜王の焰】は押されていた。負傷している王馬相手に自分が力負けしていることに驚愕する。今まで真っ向から挑み、それを押し返した人など誰1人いない。押し返される。それも手負いの同ランク相手にだ。その事実がステラを追い込む。

そしてついには剣が折れた。剣が折れれば後は王馬の放つ暴風に飲み込まれるのみ。死を覚悟した。だが暴風に飲み込まれる前に刀華が割込み、ステラを抱えて離脱した。

 

ステラは王馬の放った暴風の爪痕を確認して愕然とする。もし刀華が助けに入っていなければ自分は死んでいた。今回は運が良かっただけだと理解した。

 

「ありがとう。助かったわトーカーーーーづっ!?」

 

助かったと安心すれば首筋に電撃を加えられ、ステラは意識が遠のいていく。

 

「どう…して……」

 

「ごめんなさい。ステラさん、私相手にギリギリ勝てる。その程度では彼には勝てない。少なくとも黒木さんに引き分けるくらいでないと傷すらつけられない。そんな貴女をこれ以上戦わせるわけにはいかない」

 

遠のいていく意識の中ステラは悔しそうに語る刀華の声を後に意識が飛んだ。

 

「牡丹さん!桔梗さん!彼女を連れて逃げてください!できるだけ遠くへ!」

 

刀華はステラを葉暮姉妹へ投げ、叫ぶ。この場の最善手を模索した結果からしか出てこなかった。珠雫と一輝がおらず、静矢が戦闘不能。この状況で静矢の人形3人と黒鉄王馬を相手に勝てるなんて妄想はできない。全滅が見えている。

 

「今ここで貴方達七星剣武祭代表者は絶対に負けてはいけません!」

 

葉暮姉妹はステラを抱えて離脱する。

 

「逃すと思うか?」

 

3人の静矢人形が葉暮姉妹を狙って矢放つ。

 

「【暗黒雲】」

 

矢は闇に飲まれ消えた。破軍学園の反撃はそれだけではない。3人ならまだ追うことのできる範囲内であるため追撃をする。

 

「【マッハグリード】!」

 

「【クレッシェンドアックス】!」

 

「【星屑の剣】!」

 

生徒会3人が静矢人形に葉暮姉妹を追うことができなくなるまで足止めをする。

 

「追わせると思いますか?」

 

「捨てがまりで代表生を逃すか。冷静な判断だ。だが、桐原静矢が敗れた時点でお前達は詰みだ」

 

「そうですね。【七星剣王】が敗れた時点で終わりかもしれません。しかし、これ以上の成果を与える理由にはなりません」

 

【七星剣王】…それも歴代最強と言わせた桐原静矢が敗れた時点で『暁』の出場はほぼ決まったようなものだろう。だが、もしかしたらの小さな可能性のために代表者を守る為に戦う。それが今の最善。

 

「やられっぱなしでは破軍学園生徒会の名折れです。この借りは倍にして返しますよ!」

 

「僕は生徒会と違うんですけどね生徒会長」

 

緊張している生徒会の面々の緊張を解す為に唯一生徒会ではない櫂が茶々を入れる。

 

「こういうのは雰囲気が大事なんですよ。黒木君、力を貸してください」

 

全員の緊張が良い感じに解れたのを確認して櫂が得物を持つ手に力を入れる。

 

「生徒や教師がやられているのを見て黙っているやつはただのクズだ。僕はそんなクズではない。倍返しじゃ収まりがつかない。十倍返しだ!」

 

「「「「「おうっ!」」」」」

 

『破軍学園生徒会+α』と『暁』の戦いが始まった。

 

 

 

 

 

 




合宿も修行も描写をしない。合宿はそんなに原作と変わらないだろうし修行は成果を何にするか考えてるだけで内容はあまり考えていないから仕方ない。

手練れを相手に1割以下の魔力で挑んだら負けるのは当たり前。万全の状態にしてたら「格の違いを知れ」とか言わせて無双していたに違いない。
尚、合宿に行ってた場合は南郷さんと試合から死合に変わって死にかけて一足遅れて到着するという筋書きでしたがこっちの方がいいやと思って変更しました。

致命傷の静矢を放置してアリスを助けに行く珠雫ちゃん。何故だろうね。

何気に七夜の体術使わせました。どう思うかは知りません。0.01秒とかで移動されたら流石の多々良ちゃんも【完全反射】できないよね。

1日に2つ投稿は疲れたんで暫く隠居します。多分
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