共産主義者か? それとも民主主義者か? 今となってはどちらが先に撃ったのかは分からない。
 210年の時が過ぎ去っても確かなことは、核兵器を生み落としたマンハッタン計画と同じ名前をもつこの都市へと、1発の戦略核兵器(ICBM)が落とされたことだけだった。
 かつてアメリカ合衆国と呼ばれた地を荒野(ウェストランド)と名づけ直させたほどのの破滅的な核戦争は、摩天楼そびえ立つこの都市をもまた焼き払った。
 800万人ものこの都市に住まう市民達は、何が起きたのか知ることすらできずビルの中で塵となるか、熱放射によってアスファルトの路面へ人影となって刻印されて、死んでいった。
 空高く伸びいていくそのたびに繁栄の象徴として語られてきた摩天楼は、今では溶け落ちたコンクリートと焼け焦げで黒く塗装され、溶け落ちかけた鉄骨が剥き出しとなっていた。それは死の町の新たなランドマークとして墓石(トゥームストーン)になぞらえ人々に語られていた。
 シティ・オブ・トゥームストーン。
 それが核による破壊と死に晒されながらも生き延びた人々が、自分たちが住まう街へと付けた新しい名前だった。
 僅かな食料と僅かな水。そしてもはや製造方法が失われたハイテク機器(ロストテクノロジー)をめぐって、3つの派閥がこの街で血を流し、争っていた。
 一つはセカンド・フリート。
 自由と民主主義をウェストランドに取り戻さんと()()する、朽ち果てた戦艦を拠点としたアドミラル・ショーン率いるロボットとレイダーの軍団。
 もう一つはブラザーフッド・オブ・スティール(B.O.S)。 
 より良い未来のためにテクノロジーの独占を目論み、そのためには武力闘争を恐れない、飛行船に乗ってこの街へと現れた少数精鋭の軍事コミュニティ。
 そして、核によるカタストロフィから人類を守る役目を果たした核シェルター――Vault 66の中に住まう地下世界の住人たち。民主主義と共産主義の対立によって地下へと追いやられた彼らは、アメリカ合衆国と呼ばれた地にあってしてもっとも皮肉な形で生き延びていた。
 レッドVault。
 そうシティ・オブ・トゥームストーンで呼ばれる彼らは、共産主義こそが人々を救うただ一つの思想であると信じて、地上への侵攻を始めていた。
 戦火によって廃墟と化した摩天楼の下で、人は、過ちを繰り返す・・・・・・。

  【Prologue ゛10.23゛】()
  【ChapterⅠ ゛RED Vault゛】2016年04月29日(金) 10:06()
  【Intermedio゛Vault 66゛】()
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