・ユーオーク機長について
どんな時でも冷静沈着で、まさに飛ぶために生まれてきたようなユーオーク機長ですが、全てが終わった後に明かされた彼の行動と、それに至った苦しみには驚きました。
彼を窮地に陥れ、同時に破滅的な終わりから救い、けれども結末としてはこの事故がもう少し早く起きていれば、と思わせる火の鳥の行動には、例の鳥が出てくる某先生の漫画のような皮肉さを感じました。果たしてユーオーク機長は、本当にすべてを忘れていたのか、あるいは……

航空機事故は（こういう言い方はよろしくないとは思いますが）非常に興味深い題材です。世代の最新技術の塊であるハイテクマシンが、些細な機械的トラブル、整備ミスや、どうしようもなく下らないヒューマンエラーで容易に人の命を奪ってしまう。そして、飛んでいる間には誰からも観測されない密室であるがゆえに、その原因はしばしば闇の中へと隠れてしまいます。そこへ光を照らす事故調査というかがり火に火をくべる調査官、決死の状況で事態を好転させるべく奮闘するクルーたち……。文字通り血で贖った進歩と改善の上に、我々は安全な空を勝ち得ている事を実感させられます。
終わりに、このような作品を世に生み出した鈴本先生に感謝と、心からの敬意を。また次回お会いできる日を楽しみにお待ちしております。

P.S.この感想を書いている時に、以前拝読した王港の一族と同じ作者様である事に今更ながら気付きました。そちらにもその内感想を書きたく思います。それでは！

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本文の描写から察するに、ペネロピー号型っていうのは現代の地球の旅客機で主流のエンジンを主翼下に吊架しているタイプでしょうか？　D.B.クーパー事件については、昔なにかのバラエティ番組で見たことがあり（その番組では確か“ダン・クーパー”として紹介されていたと思いますが）、今回の事件との類似性にもすぐ気づきましたが、調べてみるとクーパーがB727を選んだのは『エンジンが高い位置にあるためジェット後流に巻き込まれづらいから』とする説もあるそうですね。それはそうと、自らを犠牲にせずに自爆テロ出来る翼人とか、ファンタジー種族や魔法が実在しなくてよかったと少し思います……。

しっかしジェットエンジンにゴーレムストライクかまして、エンジンを破壊して無事戻ってくるとか、ダークスターのスーパーゴーレムってとんでもない存在ですね。ところで今作の元ネタとなったエールフランスの事件では、機体はかなり損傷し経年機だったこともあってそのまま退役となったそうですが、この事件ではどうなったんでしょう。ゴーレムストライクをくらった右エンジンは少なくとも交換でしょうが、左エンジンや機体は大丈夫そうに思えますが。

事件そのものは優秀な人々がその場に居合わせた幸運もあってスッキリ終わってくれましたが、スッキリしないのはハイジャック犯を裏から援助していたという組織“デスフォッグ”。彼らとの戦いも気になりますね。
ところでベルナルディ氏が時おり受け取るというファンレター、例の白い女性からのものな気が……。

長文失礼しました。

-追記-

あら、魔剣に敗北した右エンジンも交換ですか。この作品での“魔剣”がどういう存在かイマイチつかみかねているのですが、やっぱりエンジンカウルにANAがあいたんでしょうか？
ベルナルディ氏の魔剣とジェットエンジンの戦い、現実にはない法則が働いてるのでややイメージしづらかったですが、燃焼によって生じた熱エネルギーを魔剣に奪われた結果、後から供給された燃料が活性化エネルギーを得ることができなくなって火が消えてしまった、といったところでしょうか。その後はスロットルが閉じられるまで燃焼室に燃料が垂れ流された、と。ファンタジーな語彙をでどのように置き換えられるかはわかりませんが。

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