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魔王BOCCHIと愉快な仲間たちが送る未来の物語


https://syosetu.org/novel/305235/
上記を書いてたら何故かできた番外編(不思議だ)

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推しの子にやられたので投稿します。
投稿前に見直しはしましたが下書き状態です。
ふと思いついて書き殴った作品なので、元となった当方の二次作品【BOCCHI THE ROCK!】とは文体などが異なると思います。
普段は下書きの後に肉付けや表現の変更をしてるので……。
まあこれはこれでイイよね!












魔王と一番星の約束

 早足に駆け抜けた十年間────。

 虹夏の訴え続けた仮称「結束バンド」は、今や日本国内において知らぬ者なきメジャーバンドへと成長を遂げていた。

 明るく元気に大胆でいてリズムは絶対に外さない大天使、個性を極めに極めたバンドメンバーを唯一仕切る事のできる絶対のリーダー虹夏。世界屈指の卓越したベースの技巧と、それ以上に頭のおかしな言動や行動で「変人」の名を欲しいがままにする現代の怪人リョウ。アイドルやモデルが裸足で逃げ出す美貌を併せ持つ、日本一華やかな「ギターボーカル」にして「同性重婚」を声高らかに叫ぶ残念美人教祖の郁代。

 

 そして、

 

 全世界に「魔王」の名を轟かせた女傑にして音楽の鬼才、

 歴史上最も偉大なギタリストに名を連ねたギターの鬼神、

 天上天下唯我独尊、

 傲岸不遜勇往邁進、

 音楽の魔王「BOCCHI」こと、後藤ひとり────。

 

 彼女たちはネットにテレビに雑誌に広告に、メンバー全員が顔も名前も素性すらも売れに売れ尽くしてしまっていた。

 結果。

 休日の外出もままならない上に、終には熱狂的なファンが各人の自宅まで特定し追いかけ回してくるまでに至った。

 

 

 朝は過ぎたものの、昼には遠い時刻。ベースの旋律をBGMに、奇妙奇天烈な物品と幾十数本のベースやギターで溢れかえるリビングが、女声の姦しい談笑で華やいでいた。

 

「あはは、いやぁ~あの時はホントに参ったよね!」

「ファンって言うよりストーカーでしたもんね。あれ」

 

 過去の自宅包囲網事件を思い出したらしい家主の虹夏の言葉に、郁代が同意を、同居人のリョウがベースを手に頷く。

 彼女たちが自宅を自称「ファン」に襲撃されてからおよそ一年半。事態を重く見た結束バンドのメンバーは、互いに助け合う意味も込めて全員が同じマンションへ越していた。

 其処は芸能人や富裕層の者などが多く住まう、セキュリティに力を注いだ有名人御用達のマンションである。

 

「ひとりちゃんがいなかったらと思うと今でも怖いよ」

「あの時の囲まれたひとりさん、凄かったですよねっ! こう、ギロッ! からの「邪魔」って! きゃー!」

 

 紅茶を片手に頬を赤らめた郁代が悶えつつ叫んだ。

 当時の彼女も、似たような反応をファンと共にしている。

 おそらくはその時の光景を思い出したであろう虹夏は、胡乱な瞳で過去に思いを馳せては身悶える郁代を眺めていた。

 

「そのひとりは?」

 

 不意に、買ったばかりのベースを、ソファーを独占して心のままに弾いていたリョウが虹夏へ視線のみ向けて問う。

 四人掛けのダイニングテーブルへ腰掛けていた虹夏は、一瞬だけリョウと視線を絡めた後に壁の時計を視やった。

 

「んーっとぉー、確かひとりちゃん、昨日は深夜のラジオ放送で即興の生演奏するって話だったんだけど……」

 

 顎に人差し指を添えた虹夏は、次に郁代を見やる。

 彼女の目の前に座り尚も悶え続ける郁代もまた、昨日はひとりと共に深夜のラジオ放送に出演していたはずなのだ。

 

「喜多ちゃん、喜多ちゃん」

「たった一言で人垣が割れるって、ひとりさん凄すぎないですか!? あ! でもでもでもっ! リョウ先輩の「ベースの染みになりたいの?」からの、ベース上段振り下ろしによるベース破壊も捨て難いですよね! いやーん迷うー!」

 

 まさに、郁代の心、此処にあらず────。

 終には両の頬をそれぞれの手で抑え込み、「いやんいやん」とくねり始めた郁代を目に虹夏の瞳は死んだ。

 

「あー……、うん。ダメだこりゃ。てか迷うってなに」

「郁代の「三人と結婚するのは私よ!」発言も良かったよ」

「そう言えば喜多ちゃんのあの発言でさ、一時期わたしたちに変な噂が立ったんだよね……。いや今も結構収録現場とかで言われるんだけどさ。てかリョウもノラな────」

 

 匙を投げた虹夏の代わりに。あるいは常の悪ノリをしたであろうリョウが、わざわざ演奏を止めてまで郁代へ言う。

 そんなリョウの言葉でいよいよ表情筋までもが死に始めた虹夏の言葉はしかし、最後まで続くことはなかった。

 

「え、リョウ先輩わたしと結婚シてくれるんですか!?」

「聞こえてるんかーい」

「一生養ってくれるならいいよ」

「リョウ」

「一生を捧げます!」

「喜多ちゃーん」

「じゃあよろしく」

「はい! 任せてください! きゃー! リョウ先輩と結婚しちゃった!」

「アー紅茶オイシイナー」

 

 二人のやり取りに、虹夏は放置を選択したらしい。

 ソーサーを手にした彼女は、力ない表情で呟く。

 次いで、スンと鼻を鳴らす虹夏のカップは空であった。

 

「で、ひとりは? 午前中の内に新曲の擦り合わせ終わらせておきたい。午後はアイのライブだし」

 

 何食わぬ顔でリョウは演奏を再開しつつ口零す。

 彼女の言葉で再びトリップし始めていた郁代は、先程以上に動きが不気味であった。

 そんな二人の様子を目にした、巷で「大天使」や「聖女様」と名高い虹夏のこめかみに青筋が浮かび上がってゆく。

 

「知らないよ! てゆうか又隣なんだからリョウが自分でひとりちゃんの部屋行けばいいじゃん! 機材も設備も揃ってるんだし向こうで試奏してくれば!? 鍵もあるでしょ!」

 

 そうして、虹夏は吠え。

 郁代は妖怪くねくねに変貌して。

 

「うん。そうする。じゃ」

 

 リョウはベースを肩に、虹夏の部屋を後にした。

 こうして結束バンドの休日は過ぎてゆく────。

 

「虹夏様も私と結婚しましょう!? ね! ねっ!?」

「やっぱり待ってリョウ! 喜多ちゃんと二人にしないでっ! なんか最近よく身の危険を感じるんだった!」

「がんば」

「虹夏様ぁ~はぁ、はぁ、ちょっとだけ! ちょっとだけですから! ね!? 痛くしませんから!」

「や、ちょっ、迫って来ないで!? その手はなに!? こっちに来るなぁぁぁぁぁぁ────────!」

「虹夏、必死じゃん。おもし────」

 

 

 ひとりの前に、花束を抱える見知らぬ男がいた。

 目深く被った黒のパーカーフードに、黒のパンツルック。細身で一般的な成人男性程度の身長をした男だ。

 その光景を目に、ひとりが抱いたのは疑念であった。

 彼女は隣人を知っている。

 今をトキメク現役スーパーアイドル。瞳に星を宿した一番星。初対面の折に、ひとりと結束バンドの「大ファン」を公言してメンバーを魅せてくれた少女、星野アイだ────。

 ひとりの頭を過ぎった可能性は、十二分にあった。

 

「…………、(これって、うん。間違いない)」

 

 凪いだ氷海の瞳で、ひとりはジッと男を視る(、、)

 男の手は、幽かに震えていた。

 また、小声で頻りに何事かを呟いてもいる。

 そして、ひとりは男の放つ音色(、、)を確かに色聴(もくし)した。

 

「…………、(私たちの時と同じ、真っ黒な音色(、、、、、、)だ)」

 

 一年半前────。

 ひとりは目の前の男と同種の、悪質な気配(、、、、、)を漂わせた自称「ファン」の発する嫌な音色を視覚で捉えていた(、、、、、、、、、、、、、、、、)

 忘れることなぞできようはずもないのだ。

 ひとりの無二にして、ギターと同等に欠かせぬ絶対。それを傷つけた身勝手な人間の音色。世界を音の色(、、、)として認識できる彼女が、それを見紛う事なぞあり得はしなかった。

 ゆえに見逃す選択肢は存在し得ないが、しかし────。

 

「…………、(でも、どうしよう。たぶん武器持ってる)」

 

 視界の中、ひとりはより黒い音を発する花束を、否。男の花束に隠された手元を睨みつけた。

 彼女は今、武器となり得る物を持ち合わせていない。

 それどころか、ひとりの装いはキャミソールに短パンにサンダルという、身を守ることもままならぬ軽装であった。

 さりとてそれも寝起きに朝食を求め、虹夏の部屋へ向かう途中であれば仕方のないことであろう。

 

「きみが悪いんだ」

 

 そうこうしている間に、男がインターホンを押した。

 集中しきっているのか。あるいは緊張からなのか。男は未だに隣の部屋から出てきたひとりに気づいていない様子だ。

 

「…………っ、(あ、ど、どうしよう!? 大声で危険を知らせる!? 誰かに助けを求める!? どうすれば!?)」

 

 もはや残された時間は皆無であった。

 それはひとり自身がよくわかっている。

 普段は何があろうとも表情の動かぬ彼女の顔にも、十数年ぶりの本気の焦りが浮かびあがってしまうほどだ。

 

「はぁーい」

 

 扉が僅かに開く。

 その奥からは間延びした少女の愛らしい声が聴こえる。

 瞬間、ひとりの脳裏にアイの楽しげな顔が過ぎった。

 

『ひとりさん! 見て見て! じゃじゃーん!』

『……? なに』

『この度、ドーム公演が決まりましたぁ!』

『…………、そう。おめでとう』

『てな訳で! はい! まだ発売も告知もされてない一番最初のプレミアムチケットですよ!』

『…………、くれるの?』

『もちろん! いつもライブに招待してくれるお礼と、普段子供たちがお世話になってる感謝の気持ちです! 結束バンドの皆さんでぜひ観に来てくださいね! 絶対ですよー?』

『ん……、ありがとう。必ずみんなで行く』

『あはっ! はい、約束ですよ!』

『うん────』

 

 時間は、ない。

 しかしひとりには躊躇う理由も、有りはしなかった。

 刹那、

 

「ドーム公演おめで」

「────約束だ」

 

 一迅の桜が吹雪いた────。

 

「とがァッ!?」

「え」

 

 扉の開き切る直前。耳馴染んだアイの素っ頓狂な声を耳に、ひとりは全身全霊の飛び蹴りを男の左頬へ捩じ込んだ。

 サンダルであったことが災いし、素足での一撃と相成った彼女の人生において初めての殺意を込めた攻撃。そんな危機的でいて非日常的な状況にもかかわらず、ひとりは足の裏に男の顎の骨を蹴り砕く感触を確かに覚えていた。

 

アイ! 扉を締めて鍵を掛けろ! 絶対に出てくるな!

 

 吹き飛ぶ男を視界へ捉えつつ、転がるような着地と同時にこれまたひとりは人生初となる喉が裂けんばかりの大声で叫んだ。同時に────。

 

「に来るなぁぁぁぁぁぁ────────!」

「虹夏、必死じゃん。おもし────」

 

 男の転がっていった方向。ひとりの目的地であった虹夏の部屋の扉が開けば、愉快げなリョウが顔を覗かせた。

 

「────っ!? ひとり!? アイ!? どうし、ああ」

 

 リョウとひとりは高校時代からの付き合いだ。

 馬が合うのか二人で出かけることも少なくはない。

 ゆえにこそ、初めて聴く耳を劈くひとりの怒声にリョウは異常事態を瞬時に察することができたのであろう。

 リョウの目の前には、顔を抑えて蹲る黒尽くめの男。彼の周囲には花が散乱し、少し離れた場所にはナイフが在った。

 次いでリョウとひとりの視線が絡み合う。

 リョウもまた、一年半前の自宅包囲網経験者である。

 状況証拠から察するに余り在る経験を経ているのだ。

 動いたのは、ほぼ同時であった。

 

リョウ!

「ん! 厄介オタクは私が────」

 

 それはまさに阿吽の呼吸であった。

 ひとりの叫びに、リョウは肩に下げていたベースのネックを両手で握り締めて大きく振りかぶった。

 そうして、

 

「ひっひぁ!? や、やめ、たすけ」

「────(ポム)るッ!

 

 涙ながらに懇願し始めた男の顔を目掛けて、リョウは躊躇なく買ったばかりと浮かれていたベースを叩き込んだ。

 

「ぎゃああああああ────────!?」

 

終わり














リョースケくん生きてます。
たぶんこの後なんやかんやあって芋づる式に黒幕が釣れるのでしょう。
アイが住所教えたの一人しかいないらしいので。
そして星野ファミリーは幸せに暮らすのです。

山田は事後、ベースが血塗れでショゲます。
けどたぶんアイ曰く佐藤社長が御礼代わりに買ってくれると思う。

そしてアイドル卒業後、アイは女優兼歌手になるといいな。
BOCCHI様が楽曲提供したりしてね!
妄想が膨らむネ!











星野アイ=結束バンドのファンひとり推し、番組で共演
星野アクア=結束バンドのファン、ひとりと山田に大感謝
星野ルビー=結束バンドのファン郁代推し、山田に懐く
佐藤社長=知らぬ間に大物と仲良くなっていてビビった人
斎藤夫人=郁代の美容学に傾倒中

BOCCHI=世界の魔王、世界一のギタリスト、多分28歳位
山田=世界の怪人、世界屈指のベーシスト、多分30歳前
虹夏=大天使、聖女様、世界有数の苦労人、多分30歳前
喜多=結束バンドの教祖、世界最強の百合、多分28歳位

結束バンド=もはや伝説の変人集団、実力は確か

続かない

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