冒険と探検と日常と ~のびのびTRPG~   作:混沌野郎

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 ゲームセンターに行きたい気持ちに気づいた学生さん。
 店長さんに先輩さんのことを教えてもらって。
 先輩さんにおすすめしたラノベの感想にどきどきして。
 「本歴」の話をして。
 ちょっとばかりだけど重要なカミングアウトをして……、そんなお話。

 第25話は1日目2日目3日目、4日目、5日目6日目7日目8日目の8回に分けて公開します。
 また本作『友達ができた日(4日目)』は 第23話『仲間ができた日(4日目)』と「並行」しています。
 こちらもご一読いただければ幸い。

 本作は今野隼史(辺境紳士社交場)・アークライトの『のびのびTRPGスチームパンク』の二次創作です。
 ソロプレイのルール「カードをもとに物語を書く」に従って記した世界観を使って記した二次創作です。

 『のびのびTRPGスチームパンク』のプレイヤーキャラクターの「名前」を「キャラクターの名前」にしているので、
PC「機械屋」→「機械屋さん」
PC「少女」→「少女ちゃん」
等々となっています。

先に記しとく設定、
 学生(主人公)・先輩、は女性、
 店長、等々は男性、
 作中の「ダリル」は通貨単位、1ダリル=1円くらい、
 と言うことで。

クレジット
ゲーム名:のびのびTRPG
ゲームデザイン:今野隼史
発売元:株式会社アークライト
© 2021 FRONTIERPUB / Arclight, inc.


第25話 友達ができた日 (4日目) [4/8] (日常回)

 4日目

 

 眠りが浅くなってきて、自然に目が覚めました。

 目覚まし時計はまだ鳴ってません。

 お布団の中から手を伸ばして枕元の目覚まし時計を探ります。

 少し手を動かして、ありました。

 時計を見るといつもより30分くらい早い時間です。

 あと30分……。

 少し考えて、起きる、に決めました。

 お布団から出て、全力で伸びをして、体と心をしっかり目覚めさせます。

 パジャマから制服に着替えて、かばんを持って、ダイニングへ。

「お母さん、おはよう!」

 キッチンで朝ごはんの用意をしてるお母さんに朝の挨拶。

「あら、おはよう、

 今日は早いのね」

「うん、何か起きちゃった」

 お母さんに言葉を返します。

 朝ごはんの用意、手伝っても良いよね、そう思いました。

「私も作るね」

 お母さんの横に立って私も朝ごはんの準備。

 なんてことのない話をしながら料理をして、朝ごはんができました。

 それに私のお弁当、自分で詰めるんだから……。

 好きなおかずだけ入れました。

 いつもより早い朝ごはんを食べて。

「行ってきまーす」

 いつもより早く家を出ました。

 バスの時間までは十分あります。

 だからのんびりと歩きます。

 でもバス停にはいつもより早く着きました。

 バスを待って、すぐに来たバス。

 いつもよりひとつ前のバスに乗りました。

 ひとつ前のバスだけど中の景色はいつもと一緒で席がいくつか空いていて、だから座りました。

 バス停で止まるたびに、これもいつもと一緒、制服姿が増えます。

 走ってるバスに揺られながら疑問が浮かんできました。

 私は……、ゲームセンターに行く?

 じゃないはずです。

 制服を着て、かばんを持って、学校に行く姿です。

 そうです、今日こそ学校に行きます!

 自分に言い聞かせます。

 そんな間にもバスは走って、学校のバス停のひとつ前のバス停から走り始めました。

 次です。

 バスを降りて学校に行く。

 もしダメだったら……、ゲームセンターに行く。

 降りたくないな……。

 学校、行きたくないな……。

 そんな気持ちに気づきました。

 バスのスピードが落ち始めて、ゆっくりになって、止まりました。

 ドアが開いて制服姿の全員が降りました。

 私は降りませんでした。

 ドアが閉まって、バスが走り始めて、嬉しくなりました。

 降りなくて良かった。

 これでゲームセンターに行ける。

 はっきりと感じました。

 終点の大公園に着いてバスから降りて、今日も公園を歩きます。

 ゲームセンター。

 一昨日は少し早くて、昨日は少し遅くて。

 今日はその間を狙います。

 だから時間を見ながら歩きます。

 いくらか歩いてそろそろの時間、ゲームセンターを目指します。

 

 ゲームセンターに着くと十分に開いていて腕時計を見るとそんなに遅くはなくって。

 店に入ります。

 カウンターの向こうに店長さんがいました。

「おはようございます」

 私の言葉に店長さんが気づいてくれました。

「おう、おはよう」

 店長さんが挨拶を返してくれて、店の中には……。

 私と店長さんだけみたいです。

「先輩ちゃんか?」

 その通りです。

 答えて尋ねます。

「はい、まだ……、ですか?」

「だな、

 このところの感じだともう来てるくらいなんだけどな」

 そう言ってくれました。

 その後の少し、言葉が途切れました。

 私は思い切って前から気になってたことを尋ねました。

「あの、先輩さんってどう言う人なんですか?」

 店長さんは答えてくれました。

「学生ちゃんが見てる通りだ。

 明るくて、楽しくて、仲間作るのが上手くて、いつもにこにこしてる」

 なるほど、私が見てる通りです。

「でもな、

 本当のところは隠してる」

「隠してる、ですか?」

 隠すって、何を隠すのか分かりません。

「ああ、本当にたまにだけど、表情が違う。

 冷たい顔つき、目つきも冷たい。

 けど、こっちに気がつくと元に戻る。

 何も言わないけど何か重たいもの背負ってるんだろうな」

 店長さんの話、驚きです。想像できません。

 何も言えない私に店長さんの言葉が続きます。

「まあ気にすることはない。

 学生ちゃんは学生ちゃんらしく先輩ちゃんを見れば良い」

「そう、……ですね」

 私が見ていない先輩さんには何かあるみたいです。

 でもそれは私が気にすることじゃない。

 だから気にしなくて良い。

 そう考えて自分を納得させました。

 

 また少しして。

「あー、良かった……、

 学生ちゃん、店長、おはよ」

 先輩さんがあわてた様子で店に入ってきました。

「おはようございます」

 挨拶を返します。

「おう、おはよう。

 今日はどうしたんだ?」

 店長さんの言葉に先輩さんが答えます。

「寝坊しちゃった。

 昨日、本読むのに熱中しちゃって」

 先輩さんの声に反応します。

「本、ってもしかして……」

 今度は先輩さんが反応してくれました。

「うん、学生ちゃんに教えてもらった本、

 のめり込んじゃった」

 のめり込むって、もしかしたら……。

 先輩さんに尋ねます。

「じゃあ、1冊読み終わり、ですか?」

 言葉が返ってきます。

「んっと、じゃなくて、2冊ね」

「えっ!?

 2冊ともですか!?」

 驚きです。驚くしかないです。

「読み出したら止まらなくって、最後まで、って感じかな」

「先輩さん、すごいです……」

 上手な言い方が出てこなくて、でも何とか言葉にしました。

「でさ、感想」

 先輩さんの声に心が引き締まります。

 本は読んでもらえました。

 でも……。

 面白かったって言ってもらえるか、……もらえないか。

 とっても不安になります。

「どう……、でしたか……?」

 どうにかして出した私の言葉。

 その後に先輩さんが話し始めました。

「初めに人気の本、読んでね、

 読みやすくておもしろかった」

 おもしろいって言ってもらえました。

 もう声を出せなくて、こくこくとうなずきます。

「でね、おすすめの本は、正直、私には難しかった」

 そんな言葉、覚悟はしてました。

 でもやっぱりつらいです。

「です……、よね……」

 心が沈み始めます。

 先輩さんは話を続けます。

「でも、おすすめの読んだら人気のは物足りない、って思った。

 だから、学生ちゃんが夢中になるの、よーく分かった」

 そう言ってもらってどう反応すれば良いか分からなくて。

 でも先輩さんは「よーく分かった」って言ってくれて……。

「あの……、

 ありがとうございます」

 何とか声にしました。

 沈み始めてた心が浮かび上がって素直に嬉しいです。

「でもやっぱり難しかった。

 最後、めでたしめでたし、で終わるけど何か引っかかる感じ、って言うのかな、

 納得できなくて、3回目でやっと分かった」

 先輩さん、とってもすごいことさらっと言いました。

「それって……、3回読んだ、ってことですか?」

 また驚きです。驚きながら確認します。

「うん、だって気になること気になってるままで終わらせたくないからね」

 確かに先輩さんの言う通りです。

 先輩さんは言葉を続けます。

「相方が主人公裏切るシーン、あれって本気で裏切ったんじゃなくて裏切ったふりで、

 でも主人公は裏切ったふりだって知ってて裏切られたふりしてる、で良いんだよね?」

 先輩さんが言ったこと、もちろん大正解です。

 だから何も言えなくて。

「えと、それは……」

 こくこくとうなずいて何とか声を出します。

「……先輩さん、やっぱりすごいです。 

 初めて読んで気づくって……」

「何てのかな、そう考えたらクライマックスで上手くつながるな、って」

 本当にすごすぎです。先輩さんの言葉に心が震えます。

 先輩さんの感想が終わって、今度は私が感想を話しました。

 私の話、先輩さんは笑顔で聞いてくれました。

 きっと私も笑顔です。

 だから私の『本歴』を話しました。

 小さいときから本が好きだったこと。

 いつからかラノベを読むようになったこと。

 ありきたりなラノベじゃ物足りなくなってBLを読むようになったこと。

 BLはぜんぜん知らなかった世界で、だから夢中になったこと。

 そんなことを話してお昼前になりました。

 適当なところで話をやめて、私は大公園に行って、先輩さんはそろそろ帰る、となりました。

 店長さんに挨拶をして店を出ます。

 店を出たところで先輩さんが言ってくれました。

「明日は休み。

 昼すぎに常連が集まるからもし良かったら来て」

 絶対に来ます!

 だから、

「はいっ!」

 全力で返事しました。

 

 先輩さんと別れて、大公園でお弁当を食べて、昼からは図書館で勉強。

 家に帰って、机に向かって勉強の続き。

 日が暮れて夜になって、お父さんが帰ってきて、晩ごはん。

 家族でテーブルをかこみます。

 ごはんを食べながらお父さんが言いました。

「このところいつもにこにこしてるな」

 えっ!? って思います。

「そう、かな?」

「そうね、いつも楽しそう」

 お母さんも言います。

「何か良いことあったのか?」

 お父さんに尋ねられます。

 もちろん良いことがいっぱいで。

 でもお父さんに答えるにはゲームセンターのことも言わないとダメな訳で……。

 少し考えて決めました。

「あの、ここ何日かゲームセンターに行ってて……」

「ゲームセンター?」

 お父さんの言葉です。

「学校行かないでゲームセンターってダメだよね」

 声が小さくなります。

「いや、

 それで笑顔になれるなら良いことだ」

「ゲーム、楽しいの?」

 お父さんは認めてくれて、お母さんに聞かれます。

「ゲームが楽しいんじゃなくて、

 先輩さん、って人に会って」

 私の声にお父さんの声が返ってきます。

「先輩さん?

 友達ができたのか?」

「友達……、じゃないかな。

 先生……、でもないし、師匠……、でもないし、

 でもお話してるととっても楽しくて、

 それに、勉強になる人、かな」

 上手く言えません。

 でもお父さんが言ってくれました。

「いい人に出会えたんだな」

 その通りです。

 お父さんの言葉に、

「うん!」

 力いっぱいで返事しました。

 

 お風呂を済ませて、少し夜更かしをして、布団に入って。

 明日が気になります。

 ゲームセンターに常連さんが集まります。

 先輩さんは分かります。

 店長さんも分かります。

 でも……、常連さんってどんな人たちなんだろ。

 気になります。

 明日は絶対楽しい日になります。

 間違いありません。

 そんな考えがぐるぐる回って、なかなか眠れなくて、でもいつの間にか眠ってました。

 




 先輩さんは人を否定しない人だと思ってます。
 ですが「否定しないための嘘」は言いません。
 なので、学生ちゃんおすすめのラノベの感想は心底思っての言葉です。
 明日は休みの日、ゲーセンに常連が集まります。
 学生ちゃんはどうなるのか? 次回の話です。

 最後に、本作『友達ができた日(4日目)』は 第23話『仲間ができた日(4日目)』と「並行」しています。
 こちらもご一読いただければ幸いです。

 次回は『友達ができた日 (5日目)』です。
 では、今後ともご贔屓のほどよろしくお願い致します。
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