冒険と探検と日常と ~のびのびTRPG~   作:混沌野郎

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 休みの日にゲーセンに行って「何かが動き始めた」学生さん。
 今日こそ学校に行く! と決意してバスに乗って。
 バスから降りたのはどうしてだか思ってたのと違うバス停で。
 その先には意外な出会いがあって。
 学生さんはどうなるのか……、そんなお話。

 第25話は1日目2日目3日目4日目5日目、6日目、7日目8日目の8回に分けて公開します。
 また本作『友達ができた日(5日目)』は 第23話『仲間ができた日(6日目)』と「並行」しています。
 こちらもご一読いただければ幸い。

 本作は今野隼史(辺境紳士社交場)・アークライトの『のびのびTRPGスチームパンク』の二次創作です。
 ソロプレイのルール「カードをもとに物語を書く」に従って記した世界観を使って記した二次創作です。

 『のびのびTRPGスチームパンク』のプレイヤーキャラクターの「名前」を「キャラクターの名前」にしているので、
PC「機械屋」→「機械屋さん」
PC「少女」→「少女ちゃん」
等々となっています。

先に記しとく設定、
 学生(主人公)と先輩、は女性、
 店長、等々は男性、
 作中の「ダリル」は通貨単位、1ダリル=1円くらい、
 と言うことで。

クレジット
ゲーム名:のびのびTRPG
ゲームデザイン:今野隼史
発売元:株式会社アークライト
© 2021 FRONTIERPUB / Arclight, inc.


第25話 友達ができた日 (6日目) [6/8] (日常回)

 6日目:休み明け

 

 ピピッ、ピピッ、ピピッ、

 目覚まし時計の音で意識が浮かび上がります。

 んー、とお布団の中で体を丸めて、

 んー、とお布団の中で体を伸ばして、

 少し止まって、体を起こしました。

 目覚まし時計を止めてベッドから下ります。

 今日も一日が始まりました。

 今日こそ学校に……、行かなくても良いかな?

 じゃないです!

 学校に行きます!

 だから、制服を着て、かばんを持って、部屋を出ようとして、足が止まりました。

 机の上の文庫本、持って行こう。

 どうしてかそれが良いと思います。

 机の前に立って、文庫本を手にします。

 表紙がほんの少し、本当にほんの少しだけ痛んでるのに気がつきました。

 持って行くには……。

 ブックストアでもらったブックカバー、紙のブックカバーで本を包みました。

 かばんに入れて、部屋から出て、ダイニングへ。

 お母さんが作ってくれた朝ごはんを食べて、時計を見るとちょうど良い時間でした。

 お弁当をかばんに入れて玄関へ。

「行ってきまーす」

 お母さんの「行ってらっしゃい」に背中を押されて家を出ます。

 バス停まで歩いて、少し待ってバスが来ました。

 バスに乗って、今日も席が空いてます。だから座りました。

 心地良いバスの揺れを感じながら思います。

 今日は先輩さんとどんな話、できるかな。

 学校の近くのバス停で降りないで大公園まで行ってゲームセンター。

 うん、楽しみです。

 今日もバス停で止まるたびに制服姿が増えます。

 バスが走って次は学校のバス停。

 スピードが落ちて、止まりました。

 ドアが開くと制服姿が順番に降ります。

 席から立って私も続きます。

 バスから降りて。

 ?

 違和感があります。

 立ち止まります。

 ドアが閉まってバスが動き始めました。

 少し考えて。

 バスから……、降りた?

 これって、……どう言うこと?

 自分がどうなってるのか理解できません。

 とりあえず歩きながら考えます。

 学校へ向かう人の流れに乗って歩いて。

 適当なところでバス停に戻ることにしました。

 そう決めて歩いてると学校はすぐ前になってそのまま学校の門を通りました。

 ?

 うん、変です。

 でも思うままにしてみよう、今度はそう決めました。

 校舎に入って、階段を上がって、教室に入ります。

 教室にいた何人かが私を見ましたがそれも特別なことじゃなくて。

 だから教室の後ろのロッカーにかばんを入れて、1コマ目の教科書とノートそれにペン入れを持って自分の席につきました。

 いくらかの時間がすぎてチャイムが鳴りました。

 先生が入ってきてホームルームです。

 先生はすぐに私に気づきました。

 でもやっぱり特別なことじゃなくて。

 ホームルームが終わって少しして1コマ目の授業が始まりました。

 授業。

 図書館で勉強してたちょうどそのあたりでした。

 先生の話を聞きながら、ノートに書きながら考えます。

 学校に来るのが苦しかったとき、学校に来るのがつまらなかったとき、その前の、学校が楽しかったとき。

 今の私は「学校が楽しかったとき」と同じです。

 やっぱり自分が分かりません。

 でも、もう少し思うままにすることに決めました。

 1コマ目が終わって、次のコマが始まって……。

 午前中最後の休み時間になりました。

 次の授業が午前中の最後です。

 今終わった授業の教科書とノートを持って教室の後ろ、ロッカーの前に立ちます。

 ロッカーを開けて教科書とノートを入れて、次の授業の教科書とノートを取り出して。

 少しの休み時間でも、そう思って文庫本も取り出しました。

 ロッカーを閉めて振り返って歩き始めたところで、とんっ、と男の子とぶつかってしまいました。

 男の子の「ごめんっ」を聞きながらバランスが崩れました。

 バランスが崩れて、教室のいちばん後ろの席、座っていた女の子に、どんっ、とぶつかりました。

 はずみで教科書とノートと本が床に落ちて、本はブックカバーが外れます。

 私はあわてて、

「ごめんなさい」

 と言って教科書、ノート、それに本を拾います。

 ノートを拾い上げたところで女の子がこっちを見て、ブックカバーが外れた本、表紙を見られました。

 BLだからって見られてもあわてる必要はないですし隠す必要もありません。

 でも私はあわてて隠そうとします。

 女の子は本を見て、私を見て、言いました。

「ちょっと待ってね」

 拾い上げた教科書とかを持って女の子の横に立ちます。

 女の子の手には文庫本、しっかりしたブックカバーに入れた文庫本、があります。

 ブックカバーを外して、本の表紙を見せてくれました。

 驚きです!

 私が先輩さんに薦めた流行の本です。

 女の子は私を向いて、

「あとでお話、しよっ」

 笑顔で言いました。

 私は、

「はい……」

 としか言えませんでした。

 午前中の最後の授業が始まって、終わりました。

 昼休み、お昼ごはんの時間です。

 ロッカーからお弁当を出して自分の席に戻ります。

 私の席のすぐそばに女の子がいました。

「おべんと、一緒で良いかな?」

「……はい」

 良い答えが浮かばなくて、そう答えました。

 私の言葉を確認して、私の前の席の男の子、少し離れたところにいました、に声をかけます。

「ここ、良いかな?」

 男の子から「良いよ」って返ってきて、女の子は私の前の席に座りました。

 だから私も座りました。

「いやー、まさかこんなところで同志に会えるなんて、

 嬉しいね」

 お弁当を広げながら女の子は笑顔で言います。

 私もお弁当を広げながら、

「えっと、同志って?」

 尋ねます。

 女の子の反応。

「だってさ、その本」

 女の子が指した私の本。

「私と同じだから、

 同志だね」

「あ、そっか」

 『同志』の意味が分かりました。

「うん、仲良くしたいね。

 ……って、自己紹介、まだだね」

 女の子はやっぱり笑顔です。

「私は『お仲間』、よろしくね」

 名前を聞いて。

「『お仲間』さん?」

 すぐに言葉が返ってきました。

「お仲間『さん』は硬いかな。

 お仲間『ちゃん』でおねがい」

「はい」

 確認して私の番。

「私は『学生』です」

「『学生ちゃん』で良いよね?」

 女の子、お仲間ちゃんに尋ねられます。

 『学生ちゃん』はもちろん良くって、

「はい、おねがいします」

 だから言ったんだけど、

「んー、学生ちゃん、硬いね。

 もうちょっとラフに行こう」

 そう返ってきて、

「じゃあ、私もおねがいっ」

 私もお仲間ちゃんも自然と笑顔になりました。

 お弁当を食べながら話します。

「分かってくれる人がいなくて孤独だったね、うん」

「私もかな、なかなかいないね」

 お互いに似た環境だったみたいで、でも、

「ここにきて同志に会えたって嬉しいよ」

 お仲間ちゃんの笑顔の言葉。

「うん、同じ話題で盛り上がれる」

 そんな話のうちにお弁当を食べ終わってもうすぐ午後の授業。

 お仲間ちゃんと一緒にロッカーに行ってお弁当箱をロッカーに入れて、教科書とノートを出してそれぞれの席に戻りました。

 午後の授業が始まって、先生の話を聞きつつノートに書き込みつつ、が続きました。

 今日の授業が全部終わってロッカーからかばんを取り出して帰り支度。

「学生ちゃん、また明日ね!」

 お仲間ちゃんの声。

 見るとやっぱり笑顔。

 だから私も、

「うん、また明日!」

 笑顔を返します。

 手を小さく振ってバイバイをしてお仲間ちゃんは教室を出ていきました。

 私もかばんを持って、教室を後にして、校舎を後にして、学校を後にしました。

 帰りのバスの中、今日を振り返ります。

 どうしてだか学校に行って、

 学校が楽しくて、

 お仲間ちゃんと出会って、

 良い一日でした。

 でもひとつ気になります。

 先輩さん……、

 ……今日は会えませんでした。

 

 帰宅。

「ただいまー」

 言いながら玄関に入ります。

「お帰りなさい」

 キッチンからお母さんの声が聞こえました。

 私は一旦、自分の部屋へ。

 服を着替えてキッチンに移動。

「手伝うね」

「うん、おねがい」

 お母さんとならんで晩ごはんの準備です。

「今日も良いことあったの?

 声が違うわ」

「とっても良いこと、かな。

 学校、行ってきた」

 言葉を返して。

 お母さんは「えっ!?」って感じです。

「学校、行きたくなったの?」

 そう尋ねられました。

「行きたくなった……、じゃなくて、

 良く分からないけど行っちゃった、って感じかな」

 私の正直な気持ちです。

「でも、無理しちゃだめよ」

「大丈夫、

 うん、大丈夫って自信ある」

 お母さんの言葉にやっぱり正直に言いました。

 

 晩ごはんの準備が終わって、後は仕上げだけになりました。

 リビングでテレビを見ながらお父さんの帰りを待ちます。

 日が暮れて夜の初めにお父さんが帰ってきました。

 晩ごはんの仕上げをしてテーブルにならべます。

 3人でテーブルについて晩ごはん。

 食べ始めたところで、今日学校に行ったこと、お父さんにも言いました。

 お父さんも驚いて、少し考えてから、

「あまり無理はするんじゃない、休み休み行けば良い」

 と言ってくれました。

 でも今の私には学校に行くのは『無理』じゃなくて。

「もう絶対に大丈夫!」

 お父さんに笑顔を向けました。

 

 お布団の中で考えます。

 明日のこと。

 ゲームセンター、先輩さんに会いたい。

 学校、お仲間ちゃんとお話したい。

 どちらもだいじです。

 でも明日は……。

 明日決めることにしました。

 




 学生さんの中で何かが変わった、と言うよりも、何かが戻った、と考えたいところです。
 学校に行く行かない、が良い悪いではなく、加えて学生さんが願ったようにはなってないかもしれません。
 しかしながら、動いた先でお仲間ちゃんと出会って、結果的には良かったようです。
 お仲間ちゃんが加わった先でどうなるのか? 次回の話です。

 最後に、本作『友達ができた日(6日目)』は 第23話『仲間ができた日(6日目)』と「並行」しています。
 こちらもご一読いただければ幸いです。

 次回は『友達ができた日 (7日目)』です。
 では、今後ともご贔屓のほどよろしくお願い致します。
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