冒険と探検と日常と ~のびのびTRPG~   作:混沌野郎

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 今日は休みの日でゲーセンに常連の連中が集まる日。
 先輩さんに誘われた学生さんはもちろんゲーセンに。
 ゲーセンに着くと何だか分からないけど盛り上がっていて。
 先輩さんと一緒に店に入ると常連の連中が居て。
 学生ちゃんに何が起こるのか……、そんなお話。

 第25話は1日目2日目3日目4日目、5日目、6日目7日目8日目の8回に分けて公開します。
 また本作『友達ができた日(5日目)』は 第23話『仲間ができた日(5日目)』と「並行」しています。
 こちらもご一読いただければ幸い。

 本作は今野隼史(辺境紳士社交場)・アークライトの『のびのびTRPGスチームパンク』の二次創作です。
 ソロプレイのルール「カードをもとに物語を書く」に従って記した世界観を使って記した二次創作です。

 『のびのびTRPGスチームパンク』のプレイヤーキャラクターの「名前」を「キャラクターの名前」にしているので、
PC「機械屋」→「機械屋さん」
PC「少女」→「少女ちゃん」
等々となっています。

先に記しとく設定、
 学生(主人公)と先輩、は女性、
 店長、等々は男性、
 作中の「ダリル」は通貨単位、1ダリル=1円くらい、
 と言うことで。

クレジット
ゲーム名:のびのびTRPG
ゲームデザイン:今野隼史
発売元:株式会社アークライト
© 2021 FRONTIERPUB / Arclight, inc.


第25話 友達ができた日 (5日目) [5/8] (日常回)

 5日目:休みの日

 

 ぐっすりと眠ってたはずですが……。

 ぱちっ、と目が覚めました。

 一瞬のできごとです。

 目が覚めてすぐ、眠気はぜんぜんなくって。

 体を起こして時計を見ます。

 休みの日の『いつも』よりずっと早い時間でした。

 しっかり目が覚めていて、もう少し寝よう、とかはぜんぜん思わなくって。

 頭の中はもちろん『ゲームセンター』です。

 クローゼットから普段着を出して、パジャマから着替えてダイニングへ。

 お母さんもお父さんもまだ寝てるみたいで、だからダイニングは静かです。

 キッチン。

 お母さんは朝ごはんに何か作るつもりみたいで、いくらかの準備がありました。

 朝ごはん。

 お母さんにおねがいすれば良いけど、でも自分でどうにかすると良いと思います。

 だから自分で朝ごはんです。

 キッチンのあっちこっちからすぐに食べられるものを出して、テーブルにならべて。

 いただきます。

 食べ始めて。

 しっかり味わって。

 ごちそうさま。

 食器をキッチンに移して後片付け。

 時計を見るとまだ早い時間です。

 まだ時間は十分すぎます。

 テレビを見ることにしました。

 リビングに移動してテレビ。

 休みの日の朝の番組、いつもはぜんぜん見ないので新鮮です。

 いくらかの時間、テレビを見ているとわずかに足音。

 お母さんが来ました。

「おはよう、今日も早いのね」

「おはよう」

 まず「おはよう」を返します。

「今日はゲームセンターに行くから、かな」

 理由を言います。

「ゲームセンター?」

 お母さんに言ってませんでした。

「今日の昼すぎに常連の人が集まるから来たら良いよ、って先輩さんが言ってくれたの」

「そうなの、楽しみね」

 お母さんの言葉は続いて。

「本当に良い笑顔よ」

 そう言って微笑みました。

 朝ごはんを食べたことを言って、またテレビを見ます。

 そのうちにお父さんも起きてきて。

「お父さん、おはよう」

「おはよう」

 挨拶が返ってきます。

 お父さんはお母さんとも朝の挨拶をして。

 少ししてふたりで朝ごはんになってました。

 私はテレビにあきてきたので自分の部屋に戻りました。

 時計を見ると、やっと十分すぎる朝になってました。

 でももちろん昼すぎまではまだずっと時間があります。

 何かすること……。

 本、読もうかな?

 本棚を向いて文庫本の1冊を取ります。

 いちばんのお気に入りの小説です。

 もう何回も何回も読んでいて、ストーリーは完全に覚えていて、セリフもいくらかは暗唱できます。

 でも何回読んでも新鮮で、どきどきして楽しいです。

 机に向かって、表紙をめくって初めのページ、読み始めます。

 読んでる間はストーリーに集中してほかのことは考えません。

 だから読み終わるとしっかりと時間がすぎてました。

 とは言えまだ昼までは時間があります。

 次はマンガかな。

 私は小説はいっぱい持ってますがマンガは少しだけです。

 その中から選んで1巻から読みます。

 また読むのに集中です。

 1巻を読み終えて2巻、2巻を読み終えて3巻。

 読んでいきます。

 きりの良いところで読むのをやめて、お昼前の、そろそろお母さんがお昼ごはんを作り始める時間になってました。

 マンガはここで終わり。

 お母さんの手伝いかなって思って、そうすることにしました。

 キッチンに移動。

「お母さん、手伝って良いかな?」

 私の言葉にお母さんからの言葉。

「ええ、おねがい」

 お母さんとならんでお昼ごはんの準備。

 なんだか楽しいなって思います。

 お昼ごはんができあがって。

 お父さんとお母さんと私、テーブルをかこみます。

 ごはんを食べ始めて。

「今日もにこにこしてるな」

 お父さんに言われました。

「昼からゲームセンターに行くから……、

 お父さんに言ってなかったね」

「ゲームセンター、か?」

 お父さんの言葉に答えます。

「常連の人が集まるから、って先輩さんが誘ってくれたの」

 今度は私のことばにお父さんの声。

「そうか、

 それじゃ、しっかり楽しんでこないとな」

「うん、楽しんでくる」

 その後も話をしながらごはんを食べて。

 食べ終わって、お母さんと一緒に後片付けをしました。

 後片付けが終わるとちょうど良い時間でした。

 自分の部屋に戻って出かける準備をします。

 完璧に準備をして、部屋を出て、リビングにいたお父さんとお母さんに「行ってきます」を言って家を出ました。

 今日はゲームセンターが目的地です。

 だからいつもとは違うバスに乗ります。

 いつもは学校を通って大公園行きです。

 でも今日は大公園の野外ステージの近くを通るバスです。

 バス停。

 少し待ってバスが来ました。

 バスに乗ると休みの日のお昼だからか、がらがらに空いてます。

 空いてる席のひとつに座って、バスが走り始めました。

 バス停に止まったり、通過したり、そんなのを繰り返して野外ステージの近くのバス停に着きました。

 バスから降りて、少し歩いて、ゲームセンターに到着です。

 ゲームセンター、

 店に入ろうとしたのですが中からは楽しそうな話し声とか笑い声とか。

 盛り上がってるみたいです。

 入って良いのか、入らない方が良いのか、悩みます。

 店の前に立っていて、男の人がひとり店に入っていきました。

 少し立っていて、中はやっぱり盛り上がってます。

 もう少し立っていて、

「こんちゃー」

 先輩さんの声がしました。

 声の方を見るともちろん先輩さんです。

 こっちに歩いてきます。

「あ、先輩さん、

 こんにちは」

 助かりました。

 先輩さんがいればきっとどうにかなります。

「どったの?」

 先輩さんに答えます。

「その……、

 盛り上がってるみたいなので入りにくい、と言うか……」

 私の表情と声で先輩さんは分かってくれたみたいです。

「じゃあ、一緒に入ろ」

「はいっ」

 先輩さんの声に安心できました。

 加えて、店に入れるって少し嬉しくなりました。

 ふたりで中に入ります。

「こんちはー」

「こんにちは」

 中には店長さんがいて、ほかに男の人が……、6人いました。

「あ、先輩さん、

 こんちは」

「こんちゃー」

「まいどっす」

「久しぶりっすね」

 挨拶をしてくれて、皆さんが常連の方のようです。

 その中のひとりの方が私を見て言います。

「あれっ、きみ店の前にいた子だよね?」

 その声に答えます。

「えと、

 盛り上がってるみたいなので入りにくい感じがして……」

「ああ、そう言うことか」

 納得してもらえました。

 続いて私の言葉がもちろん届いていた店長さんが言います。

「ったく、入りにくいって、

 客が来ねぇのはやっぱりお前らが原因か。

 最低ラインひとり1,000ダリル使え、ノルマだ」

「いやー、厳しいなー」

「店長、クールに行きましょう」

 常連さんの声が返ります。

 店長さんの言葉が少し気になりました。

「あの、大丈夫ですか……?

 ノルマって」

 小さい声で先輩さんに尋ねます。

「大丈夫、大丈夫、

 2,000ダリルとか3,000ダリルとか、さらっと使っちゃう連中だから」

 先輩さんが小さい声で答えてくれました。

 常連さんのひとりが言います。

「先輩さん、もしかしてその子が……」

 先輩さんが答えます。

「あ、もう知ってるんだ」

「店長から聞きました」

 常連さんから言葉が返ります。

「んー、そっか、

 じゃあ紹介するね」

 先輩さんが私を見ました。

 視線が合います。

 私はもちろん大丈夫です。

「学生ちゃん、

 『カグヤ』ノーダメージの子ね」

 先輩さんに続いて言います。

「『学生』です。

 よろしくお願いします」

 ぺこりとおじぎをしました。

「こっちこそよろしく」

「期待してるよ」

「これ、楽しみだな」

 皆さんが私に言葉をくれます。

 そんな声が落ち着いたところで、

「それじゃ、さっそく」

 常連さんのひとりが言いました。

「待って待って、

 学生ちゃん、来たばっかだよ」

 先輩さんが言ってくれました。

 でも私は、

「先輩さん、大丈夫です。

 じゃあ、お願いします」

 そう言葉にしました。

 先輩さんは私の様子を確認して声にします。

「んじゃ、行ってみよっか」

 その声が合図になりました。

「お前の出番だ」

 常連さんのひとりが隣にいるひとりに声をかけて私の前に押し出しました。

 押し出された方が言います。

「まいったな……、

 俺、ゲーム苦手なんだよ」

 先輩さんと常連さんがどっと笑います。

「なに言ってんだよ」

「それはなしだろ」

「うそはほどほどにしろ」

 そんな言葉が飛びます。

 声が落ち着いて、

「まっ、それは置いといて」

 その人は私に向かって立ち直しました。

「『学生くん』で良いかな?」

 もちろんなので、

「はいっ」

 と答えます。

「『格闘野郎』で通ってる。

 よろしく」

「こちらこそよろしくお願いします」

 ぺこりとおじぎをしました。

「それじゃまずは……」

 格闘野郎さんはズボンのポケットを探ります。

 少し探って、100ダリル玉を取り出しました。

「『カグヤ』、見せてもらって良いかな?」

 100ダリル玉が私の手に来ます。

「ありがとうございます」

 受け取ってお礼を言います。

「気にしないで大丈夫、

 頼んだ方が金出すのがここのルール」

 格闘野郎さんはそう言ってくれたのですが、店長さんの声が飛んできました。

「勝手なローカルルール作るな!

 いいかげんにしろ」

 店長さんの言葉に少し困ってしまいます。

「大丈夫大丈夫、

 気にしなくて良いから」

 常連さんのひとりが言ってくれました。

「ありがとうございます」

 お礼を言ってから『カグヤ』へと向かいます。

 私の後を先輩さんと常連さんが移動します。

 『カグヤ』の筐体、画面に向かって座って、私の後ろに先輩さんと常連さんが立ちます。

 呼吸を整えて、画面に集中して、100ダリル玉を投入口に入れます。

 画面が替わってキャラセレクト、もちろん『みーこ』を選びます。

「お、『みーこ』使いか、良いね」

 格闘野郎さんが言います。

「何が良いんだよ」

「あ? 『みーこ』使いは間違いなく良いヤツだろ?」

 常連さんのひとりと格闘野郎さんの言葉。

 とっても楽しそうです。

 ファーストステージが始まります。

 1戦目、

 開始直後、一気に距離を詰めて攻撃を入れて後はコンボ。

 2戦目も同じように勝てました。

 その後もノーダメージで進みますが少しずつ厳しくなります。

 ファイナルステージまで来て、ファイナルステージのいつものメロディ。

 1戦目、

 少し様子を見てタイミングを合わせて距離を詰めますが、タイミングの合わせ方が失敗でした。

 一瞬早く攻撃されました。

 ガードしてダメージは最小限です。

 でもノーダメージクリアはなくなりました。

 こうなると後はできるだけのことをします。

 もう一度タイミングを合わせて反撃です。

 ひとつ攻撃を入れてそのまま攻撃を続けて、勝てました。

 2戦目、

 心を落ち着かせて、改めて画面に集中。

 今度は一気に突っ込んで、攻撃して、コンボに持ち込んで、勝ちです。

 これでクリアです。

 まわりから『おーっ!』と歓声が上がりました。

「ふう」とひと息をはいて体を後ろに向けました。

「すいません、ノーダメージできませんでした」

 せっかく期待してもらったのに……。

「いや、大したものだよ。

 緊張した?」

 格闘野郎さんに尋ねられました。

「はい、とっても緊張しました」

「だよね」

 私の言葉に格闘野郎さんが笑顔で言ってくれました。

「さて、次は……、

 もちろん対戦、だよね?

 はい、これ」

「おねがいします」

 そう答えて100ダリル玉を受け取りました。

 画面を向いて気持ちを整えます。

 格闘野郎さんは私の向かいの筐体に座ります。

 常連さんの何人かが格闘野郎さんの後ろに陣取って、先輩さんと残りの常連さんが私の後ろです。

 格闘野郎さんが100ダリル玉を入れたみたいで画面が替わります。

 私も100ダリル玉を投入口へ。

 キャラセレクトはもちろん『みーこ』です。

 格闘野郎さんは『カクー』、『カグヤ』のいちばんのネタキャラを選びました。

「お前、本っ当に『カクー』好きだな」

 格闘野郎さんの方でそんな声がします。

「分かってないねー、

 『カグヤ』の真髄は『カクー』だろ?」

 格闘野郎さんが「当たり前」、そんな感じで答えました。

 1戦目スタート。

 まずは様子を見ます。

 距離を測って、先に動きました。

 一気に距離を詰めて攻撃を入れます。

 後はコンボにつなげて、勝てました。

 2戦目スタート。

 今度も先に動きます。

 今度もコンボに入って、1つ、2つ、3つ、攻撃を続けます。

 4つ目を入れようとして……、ガードされました。

 初めての展開です!

 その先はカウンターを入れられて、反撃されて、負けました。

 3戦目スタート。

 始まった瞬間に格闘野郎さんが動きました。

 ガード!

 動こうとして、でもその前に攻撃が入りました。

 後は何もできずに負けです。

「はう」

 大きく息をはいて、力が抜けました。

「どうかな?」

 格闘野郎さんの声です。

 私の方に来て笑顔で尋ねられました。

「すごい……、です」

 驚く、を通りすぎて感動です。

「たね明かし、しよっか?」

 格闘野郎さんが言ってくれました。

「お前、今日はえらく優しいな」

「だよな」

 常連さんの言葉に言い返します。

「俺はいつも優しいだろ」

 言ってから改めて私を向きます。

「対人戦、したことないよね?」

 やっぱり驚きです。その通りです。

「はい、

 ……でも、どうして分かるんですか?」

「うん、簡単なこと」

 格闘野郎さんが説明してくれました。

 私のコンボは最強クラスのひとつでCPU戦だったら間違いなく最強。

 でも4つ目の強攻撃、CPUはどうしてかガードしないけどガードできる。

 だからガードからカウンター入れられる。

 対人戦の経験がないと分からないところ。

 最後に、弱攻撃3回に替えたら本当の最強になる。

 そう教えてくれました。

 格闘野郎さんの言葉に私は何も言えなくて、でもなんとかして、

「……なるほど、

 すごい、……です」

 とだけが声になりました。

「ありがと、

 学生くんならもっと強くなれるよ」

 格闘野郎さんは笑顔でそう言ってくれました。

 その後は皆さんそれぞれで好みのゲームです。

 格闘野郎さんはもちろん格ゲーを続けます。

 ほかの方たちは、シューティングだったり、パズルだったり、アクションだったり、です。

 私は常連の皆さんにいろいろなゲームの攻略法を教えてもらいました。

 先輩さんは……、『カウボーイ・ショット』をしたかったみたいですが店長さんに止められてました。

 日が傾いてきて。

 そろそろ解散、な雰囲気になってきました。

「また今度」

「店長、ありがと」

「次は負けねーからな」

 いろいろな言葉を残して常連さんが出ていきました。

 最後に先輩さんと私が残りました。

「どうだった?」

 先輩さんに尋ねられました。

「楽しかったです!

 とーっても楽しかったです!」

 先輩さんの問いにそう答えました。

 今の私、絶対に笑顔になってる。間違いないって自信が持てます。

 店長さんに挨拶をして先輩さんと私も店を出ました。

 店の前で、お別れです。

「ありがとうございました」

 軽く頭を下げました。

「うん、またね」

 先輩さんが笑顔で言ってくれました。

 先輩さんと別れて、今日はおしまい。

 でも明日がある。

 バス停に向かって歩いていて、

 また何かが動き始めた、

 そんな気がしました。

 




 ゲーセンの常連さんたちは人を否定しない、あるいは、まず人を認める、人たちです。
 自分に正直で、なので学生さんにも正直に接してます。
 だから学生さんには居心地が良いのかもしれません。
 とは言えそんな時間がいつまでも続くわけはもちろんなくて、それは学生さんも分かっています。
 学生さんの中で何が動き始めたのか? 次回の話です。

 最後に、本作『友達ができた日(5日目)』は 第23話『仲間ができた日(5日目)』と「並行」しています。
 こちらもご一読いただければ幸いです。

 次回は『友達ができた日 (6日目)』です。
 では、今後ともご贔屓のほどよろしくお願い致します。
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