機械屋さんの仕事が終わって。
先輩さんにも日常が戻ってきて。
ゲーセンが気になるけど行けなくて。
だから学生ちゃんが気になるけど……、そんなお話。
第23話は1日目、2日目、3日目、4日目、5日目、6日目、7日目、8日目の8回に分けて公開します。
また本話『仲間ができた日(6日目)』は 第25話『友達ができた日(6日目)』と「並行」しています。
こちらもご一読いただければ幸い。
本作は今野隼史(辺境紳士社交場)・アークライトの『のびのびTRPGスチームパンク』の二次創作です。
ソロプレイのルール「カードをもとに物語を書く」に従って記した世界観を使って記した二次創作です。
『のびのびTRPGスチームパンク』のプレイヤーキャラクターの「名前」を「キャラクターの名前」にしているので、
PC「機械屋」→「機械屋さん」
PC「少女」→「少女ちゃん」
等々となっています。
先に記しとく設定、
先輩(主人公)・機械屋・学生、は女性、
店長、等々は男性、
作中の「ダリル」は通貨単位、1ダリル=1円くらい、
と言うことで。
クレジット
ゲーム名:のびのびTRPG
ゲームデザイン:今野隼史
発売元:株式会社アークライト
© 2021 FRONTIERPUB / Arclight, inc.
6日目:休み明け
いつもの時間に起きて、部屋を出て食堂へ。
機械屋ちゃんは私より早く起きて朝メシ食ってるはず。
なんだけど、食堂に機械屋ちゃんはいなかった。
あんなにがんばったんだからね。
テレビをつけてぼーっと見る。
少しして、慌てた様子で機械屋ちゃんが入ってきた。
「おはよ」
私の声に機械屋ちゃんの声が返ってくる。
「ん、おはよ、
寝すごした!」
パンを焼いて、ヨーグルトとジャムを冷蔵庫から出して、コーヒーを入れる。
急いで食い始めた。
「機械屋ちゃん、
まだ大丈夫だよ」
「いや、
今日の納品、2つ届けて3つ取りに来てもらう。
朝いちばんで持って行く」
機械屋ちゃんの仕事はまだ終わってなかった。
でも、
「持って行く、ってトラックだよね?」
「そうだ」
今の機械屋ちゃんに運転は無理。
疲れがしっかり残ってる。
「私が持って行くから機械屋ちゃんは取りに来てもらう分、待ってて」
「アタイの仕事だ、最後までどうにかしたい」
機械屋ちゃんらしい。
「事故ったらどうするの、
これ以上の無理は危ないよ」
「けど……」
言いたい言葉を考えて、答えてくれた。
「だな、先輩、頼む」
「了解!」
話は決まった。
9時前。
工房を出てトラックを借りに行く。
借りたトラックで工房に戻る。
機械屋ちゃんが仕上げた仕事、
ひとつは蒸気自動車用の融合炉、
もうひとつは蒸気圧縮器、でかい機械、
ふたつをトラックに積んだ。
どっちも倉庫街の仕事。
工房から5分くらい走って、まず融合炉を届ける。
荷台から降ろしてインフォメーション端末に入金してもらう。
次に蒸気圧縮器、
また5分くらいで到着。
これもトラックから降ろしてインフォメーション端末に入金してもらった。
これで配達は終わり。
トラックを返しに行って工房まで歩いた。
工房に戻ると事務室に機械屋ちゃんがいた。
正面の窓が開いてる。
「ただいまー、
届けてきたよ」
「ありがと、
でも悪いことしたな」
申し訳なさそうな言葉。
「気にしない、気にしない、
機械屋ちゃんがんばったんだから最後くらいは手伝わせてよ」
笑顔で言いつつ事務室に入る。
「取りに来てもらうのは?」
「ふたつは来てくれた。
もうひとつも昼までに来てくれるはずだ」
機械屋ちゃん、そわそわしてる。
入金まだかな、って感じ。
「そだ、据え置きに入金されてるの、見た?」
「いや、まだだ。
最後に確認したい。
一気にゴールした方が面白いかなって」
そう言ってから機械屋ちゃんは何かを思い出した様子。
「そうだ、
ゲーセン行かなくて良いのか?」
忘れてた。
機械屋ちゃんの仕事で学生ちゃんのこと考えてなかった。
時計を見る。
「あ、そだね。
でも……、うん、もうちょっとしたら行ってくる」
学生ちゃん気になるけど……、
まだ時間はある。
ちょっと遅くなるけどきっと大丈夫。
そう思った。
ほんの少しの後、若い男の子が工房に来た。
近所の倉庫の子だ。
かなり急いでる感じ。
事務室から声をかける。
「どしたの?」
「あ、先輩さん、
ボイラー壊れたみたいで、圧力上がんなくって」
男の子はあわてた声で言った。
「おけ、すぐ行く」
そう言ったんだけど、ちょっと待って。
「熱源、融合炉だよね?」
「はい、融合炉です」
ってことは……。
「機械屋ちゃん、お願いできる?」
「ああ、もちろんOKだ」
融合炉だったら私より機械屋ちゃんの方が早い。
だからお願いした。
機械屋ちゃんもそこは分かってくれてる。
「じゃあ、行ってくる」
そう言ってから、機械屋ちゃんの言葉、ひとつ続いた。
「ゲーセン、どうすんだ?」
うん、ゲーセンは大事。
だけど、
「今はボイラー何とかしなきゃ」
機械屋ちゃんはもう1回「行ってくる」って言って事務室から出た。
一旦工房の奥に行って、工具がたくさんぶら下がってるベルトを腰にまわして、男の子と一緒に工房を出ていった。
少しの後。
「こんちはー」
馴染みの兄ちゃんが来た。
「こんちゃ」
私も挨拶。
「えっと、頼まれてたのだよね?」
「あ、はい」
機械屋ちゃんの仕事の最後のひとつ。
作業スペースに出てドアのすぐ横に置いてある箱を渡す。
「マイクロ融合炉、
上限、1割上げたやつね」
「ありがとです」
私と兄ちゃん、インフォメーション端末を取り出して同期させる。
ピッ、と音がして入金された。
「また何かあったらお願いします」
「うん、こっちこそお願い」
言葉を交わして兄ちゃんは出ていった。
これで機械屋ちゃんの仕事は全部終わり。
まずはほっとした。
そこから10分くらいして。
「まいどー」
「あ、おっちゃん、
こんちは」
今日は人がよく来る。
工業街の町工場のおっちゃん。
おっちゃんの用事は図面3つの依頼。
もちろん請ける。
「じゃあ、頼むよ」
「まかせといて!」
挨拶しておっちゃんは帰っていった。
図面3つ……、
昼から私と機械屋ちゃんでひとつずつ作って、明日ひとつ。
うん、大丈夫。
って余裕なはずだったんだけど……。
昼前、機械屋ちゃんが帰ってくるまでにもうふたつ仕事が入った。
昼メシを食いながら仕事の話をする。
まず機械屋ちゃん。
ボイラー、融合炉のボルトが3つ、ゆるんでたのが原因。
締め直したついでにざっとチェックしてボルト以外に問題はなかった。
とのこと。
次に私。
図面3つとあとふたつ、仕事が入ったのを言った。
仕事の割り当てを考える。
図面は3つとも私、機械屋ちゃんはあとのふたつ、に決まった。
午後。
私は精密作業室で図面作って、機械屋ちゃんは作業スペースで仕事した。
夜。
図面をひとつ終わらせて、いつもより遅く、仕事はお終い、にした。
精密作業室を出て食堂に移動。
私が入ってすぐ、機械屋ちゃんも入ってきた。
機械屋ちゃんを見て、
……何か大事なこと。
そだ、
機械屋ちゃんの金!
「機械屋ちゃん!
据え置き端末の金、見ないと!」
機械屋ちゃんははっとした。
「忘れてた!」
事務室に急ぐ。
据え置き端末の金銭管理ソフトを起動。
ネネットにつないで工房の残高を確認する。
給料分を機械屋ちゃんのインフォメーション端末に送る。
インフォメーション端末の残高を見て、
「え!?
何だ、これ?」
機械屋ちゃんは、信じられない、そんな感じ。
「どう?
買えそう?」
大丈夫だと思うけど……、
不安になる。
「その……、
なんてのかな……、
……十分すぎる!」
嬉しい気持ちが言葉になってる。
良かった、ほっとした。
「じゃあ、予約しなきゃ!」
「だな!」
ネネットで工具メーカーにつなぐ。
記念の限定工具セット、
名前、住所、電話番号を順に入れて、
予約!
機械屋ちゃんの残高から支払いがされて、
予約完了!
「あー、これでよし」
機械屋ちゃんの体から力が抜けて、くたん、となった。
ゆるーい声、でも嬉しさいっぱい。
それに満面の笑みになってる。
工具セットの予約が終わって、食堂に戻った。
晩メシ、いつも通り機械屋ちゃんが作ってくれた。
私が作る、って言ったんだけど、『早く日常に戻りたい』って言って作ってくれた。
メシを食ってる間も機械屋ちゃんはにこにこしてる。
あんなにがんばったんだから当然だよね。
メシを食い終えて、夜が更けて、
ベッドに入ったのはいつもより遅い時間だった。
続
機械屋さんの仕事が終わって、先輩さんに日常が戻ってきました。
「日常」だから先輩さんはゲーセンには行けません。
と言うことで、学生ちゃんは出てきませんでした。
学生ちゃんがどうなってるのかは先々の話になりますが、ウチの進行なんで「めでたしめでたし」は確定してます。
次回は『仲間ができた日 (7日目)』です。
では、次回もご一読のほどよろしくお願い致します。