あ は あくまのあ
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オリジナル現代/ホラー
タグ:AI本文利用 ホラー 孤独 家族
天涯孤独な皐月(さつき)は、唯一の肉親だった祖母を亡くす。葬儀を終え、遺品整理に追われる中、皐月は祖母との思い出――幼い頃、母に去られた自分を抱きしめてくれたこと、縁側で並んでほうじ茶を飲んだ記憶――を反芻しながら、「本当の意味で独りになった」という事実に打ちのめされていく。

遺品整理の最中、皐月は押し入れの奥から表紙だけになった古い絵本の残骸を見つける。『あいうえおの本』というタイトルらしきものが記されたそれに、皐月は既視感と、言いようのない懐かしさを覚える。翌日、納戸の茶封筒から、絵本の一ページ目にあたる紙片――「あ は あくまのあ」という文字と、目だけが異様に精緻な挿絵――を発見する。それを手にした瞬間、皐月の脳裏に、祖母がこれを読み聞かせてくれていたかもしれないという記憶の断片が蘇り、恐怖よりも先に懐かしさが込み上げる。

その夜から、皐月の周囲に"何か"の気配が現れ始める。背後からの視線、視界の端に見える人影のようなもの――直視しようとすると消えてしまうそれは、日を追うごとに存在感を増していく。奇妙なことに、皐月はその気配に恐怖よりも安堵に近い感情を抱いてしまう。祖母を失って以来感じ続けてきた凍りつくような孤独が、「誰かがそこにいる」というだけの事実によって、わずかに緩んでいくのを感じるのだ。

翌朝、皐月は物置の隅で、次のページの在り処を示すもう一つの茶封筒を見つける。表には、掠れた文字で「い」の一文字だけが記されていた。