学園都市。

 最先端の科学技術が集まり、人口の約八割を学生が占める巨大な都市。その一角にあるビルの屋上に、一人の男が立っていた。

 赤いコートに、銀色の髪。背中には、ギターケースにも似た大きなケースを背負っている。

 男は眼下に広がる街並みを眺め、口元を緩めた。

「へえ……ここが学園都市か。思ってたより綺麗な街だな」

 整然と並ぶビル群。行き交う学生たち。道路を走る車両も、街の設備も、どこか洗練された印象を受ける。

 もっとも、男にとっては、どんなに綺麗な街だろうと、そこに悪魔がいるかどうかの方が重要だった。

「さて、と。ちょっと早く着きすぎたか? トリッシュも連れてくればよかったかな」

 そう呟いた男は、ふと思い出したように鼻を鳴らした。

「……ん?」

 何かの気配を感じ取ったのか、男の表情に薄い笑みが浮かぶ。

「腹ごなしには、ちょうどいいかもな」

 男は十階以上はあるビルの屋上から、ためらいもなく飛び降りた。

 その姿は、あっという間に街の喧騒へと紛れていった。