転生しても戦争だった  ~数多の転生者が歴史を紡ぎ、あるいは歴史に紡がれてしまう話~   作:ガンスリンガー中年

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という訳で、久しぶりにまともな時間(?)でのアップですw

とりあえず、今回はホーエンツォレルン家から見た”クルスとクリスティアーナの婚約”と、新型機のお披露目会のちょっとしたエピソードなどを。





第431話 ホーエンツォレルン家ラプソディー ~そして、北方軍集団(特にロンメル)の現状と『サンクトペテルブルグ大公国防空軍』への第一歩~

 

 

 さて、前話の話題になった1944年4月某日の”その日”と、その前後の事情について話してみよう。

 作中時間で4か月ほど前、1944年の12月24日の夜(クリスマスイヴ)にサンクトペテルブルグ大公ニンゼブラウ・フォン・クルスとかつてのドイツ皇帝直系の孫娘、クリスティアーナ・フォン・ホーエンツォレルンの婚約が事実上、内定した。

 クリスティアーナにしてみれば……

 

【挿絵表示】

「一目惚れしました♡ 婚約を前提に付き合ってください♪」

 

 ということらしいのだが、まあ傍目から見れば、『”フリードリッヒ・デア・グロッセ以来の傑物”、”イワン雷帝の再来”だのと噂される最新の大物貴族と、ドイツ先帝の孫娘というビッグネーム・ハイソ同士の政略婚約』であろう。

 事情を知らない者からは国の内外を問わずに、「フォン・クルスが血筋という正当性を手に入れる為にホーエンツォレルン家の手を取った」だの、「最も新しく興された貴族であり勢いのあるサンクトペテルブルグ大公と娘を婚姻させる事でホーエンツォレルン家は復権を狙ってる」だのという言葉がまことしやかに囁かれていた。

 

 まあ、クリスティアーナの父であるウィルヘルム・フォン・ホーエンツォレルン(フォン・プロイセン)は史実同様にドイツ陸軍の歩兵大将であり、史実では1940年に戦死しているはずの長兄ヴァルター・フォン・ホーエンツォレルン(1906年生まれ)は機甲将校になったせいか1944年現在、ピンピンしておりドイツ北方軍集団で少将まで昇進して機甲師団長になってるし、次兄のライ・フェルディナント(1907年生まれ)は何故かドイツ海軍、しかも最新のグラーフ・ツェッペリン級空母4番艦”アーツト・ヘンライン”の航空参謀に収まったらしい。

 加えて、三男のフーベルト(1915年生まれ)はドイツ空軍(ルフトバッフェ)のパイロットで、首都(ベルリン)防空隊所属であり人類史上初の実用ジェット戦闘機”He280”を愛機に今日も元気にベルリン上空を駆けてるようだ。史実のように長兄が戦死していないのでヒトラーも”フォン・ホーエンツォレルンあるいはフォン・プロイセンの男の従軍”を止める理由がないらしい。確かに疑いようのない「今でも軍人畑の名家」である。

 ただ、不思議なことに四男、史実の”フリードリッヒ”の名前が”この世界線”のホーエンツォレルン家には名前が無い。もしかしたら、「クリスティアーナが生まれる」という因果にリソース吸収されてしまったのだろうか? そういうわけで、現在のホーエンツォレルン家は上三人が男、下三人が女の年代で綺麗に分かれた3男3女、ウィルヘルムの子供の数は6人と史実と一致しているだ。

 まあ、クルスの内面を知る人間は、「あの漢に血筋だの血統だのは煩わしいだけだろう」と思っていたが、ホーエンツォレルン家は神聖ローマ皇帝時代まで遡ることのできる古い血筋を誇る欧州有数の超名門であり、またクリスティアーナの父も兄三人もドイツ軍の要職についているのだから、まあ、疑われても不思議ではない。

 ちなみに二人の姉、アレクサンドリーナ(1916年生まれ。この娘だけ史実より1歳若い)とツェツェリーナ(1917年生まれ)に関しては……長女はノーコメント、次女はドイツ赤十字で看護師をやってるので、史実と大きな違いはないようだ。

 というか、ツェツェリーナは「元ドイツ皇帝の血を引く直系良家の子女」としては、クリスティアーナとは違う方向性でかっ飛んでる気がする。

 

 ちなみに、上記のようにサンクトペテルブルグと任地が近いドイツ北方軍集団に所属している長兄ヴァルターとは、クリスティアーナはサンクトペテルブルグに来てからも稀ではあるが会っているらしい。

 というか、実は……昨年(1943年)7月に勃発した”ノブゴロド防衛戦(ソ連名称:スチームローラー作戦)の最終局面、追撃戦ステージにて大暴れした、ロンメル直轄の1個増強装甲軍団規模(約兵力10万)の内、1個装甲擲弾兵師団(約兵力3万)を任されていたのが、師団長を務める兄、ヴァルター・フォン・ホーエンツォレルンだった。

 

 少しドイツの北方軍集団についておさらいしてみよう。

 空陸合計総兵力50万に達するとされるドイツ北方軍集団を束ねるのは、ヴィクトール・フォン・レープ元帥

 敬虔なクリスチャンであり、史実ではナチス・ドイツが犯す蛮行やヒトラーの専横に嫌気がさし、ヒトラーに北方軍集団司令官解任を申し出ており、1942年1月16日に司令官を要望通りに解任されて総統予備(待命)となり、以後軍務に就くことはなかった。

 しかし、”この世界線”のレープ元帥は、ドイツ国防軍上層部の御多分に漏れず、「アウグスト・ヒトラーの実像」を知る人物であり、そうであるが故に1944年4月現在も第一線にて辣腕をふるっている。

 レープ元帥を一言で言い表すなら、「謹厳実直精錬恪勤。ドイツというよりプロイセン的な堅実なバランス型司令官」だ。

 冒険的行動とは対極にある「目が覚めるような大勝への期待値は薄いが、逆にどんな状況でも決して大敗しない」タイプだ。

 実は中央軍集団を束ねるヘルムート・ホト元帥も同じタイプだ。

 ついでに言うとレープ元帥とホト元帥には「ドイツの軍人にしてはディフェンスに定評がある」「地味だが粘り強い」「兵站の重要性を認識している」「苦労人気質」と他にも共通項が多い。

 何気に”この世界線”のドイツに重用されて然るべき軍人だ。

 

 そして、レープ元帥麾下で、戦力11万の遊撃隊(・・・)を率いるのが、エドヴィン・ロンメル上級大将(本人不本意だが出世した)だ。

 正確に言えば、”ロンメル独立(・・)増強装甲擲弾兵軍団”

 前述のノブゴロド防衛戦にロンメルが率いた軍団を叩き台に再編された「小勢であるが故に行動の自由度と自己完結性が高い独立兵力」であり、即ち「北方軍集団管轄領域で増援が必要な場所に即応できる機動装甲化された軍団」だ。

 

 まず、ロンメルの資質が後方の司令部ではなく戦場の空気を肌で感じて判断する「前線装甲指揮官」であり、「攻勢作戦に特化」したものであること。

 また、その資質から彼が装甲指揮官として直接采配を振るえる最大規模が数的にはこのぐらいが丁度良く、代わりに質的な上限を目指した。

 何やら史実の”SS機甲軍団”っぽいが、実際には「緊急展開軍というか”火消し役”」であろう。

 そもそも、この軍団の設立には、「防戦が多くなるだろう大戦後半で、ロンメルの攻勢特化の能力をどう活かすか?」という所から始まっており、先のノブゴロド防衛戦が良いヒントになったというべきだろう。

 

 付け加えると、共に”転生者(サクセサー)”であるロンメルのクルスの縁は比較的古い(ムルマンスク攻略戦前)のだが、実は再編されたばかりの”ロンメル独立増強装甲擲弾兵軍団”もサンクトペテルブルグと縁が深い……というか、軍団の主要兵站補給地にサンクトペテルブルグが指定されている。

 なのでロンメルは、軍団の新規戦車を”VI号戦車(ティーガー)”ではなく、サンクトペテルブルグでもうすぐ全規模生産が始まる新戦車”KSP-44/44(サンクトペテルブルグ44年式44t戦車)”にしようと画策しているらしい。

 

 まそれはともかく……重武装のロンメル軍団の兵站を支えるには確かに生産力の高いサンクトペテルブルグと物流が進んだノブゴロドやその周辺都市が最適であるが、あの戦い以降、「物資補給」の名目でサンクトペテルブルグ、特にマーケットを訪れるロンメル軍団の人間は着実に増えていた。

 そして、ロンメル麾下の師団一つを預かるヴァルターもサンクトペテルブルグに「任務半分で顔を出す」事もでき、結果として兄妹と会う機会もできたのだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 まあ、そんな背景もあり、クリスティアーナの兄、ヴァルター・フォン・ホーエンツォレルンは婚約発表後に、ドイツ本国から動けない父ウィルヘルム・フォン・ホーエンツォレルンの名代としてサンクトペテルブルグ大公フォン・クルスと顔を合わせることと相成ったのだ。

 ちなみに、父ウィルヘルムがドイツ本国から動けなかった理由は歩兵大将として多忙で過労により倒れて自宅療養というのが表向きに発表された理由だが、実際はNSRの長官(ハイドリヒ)が直々に、末娘とサンクトペテルブルグ大公が婚約する旨を『総統閣下(ヒトラー)も歓迎している』という言葉まで添えて報せに来たことで卒倒したことが原因であるらしい。

 何やらミットフォード男爵(ドロシーちゃんのパパ)を彷彿させるエピソードだ。

 だが……

 

 

【挿絵表示】

「はじめまして、ヴァルター・フォン・ホーエンツォレルン少将。サンクトペテルブルグへようこそ。歓迎しよう」

 

 ちなみにヴァルターお兄ちゃん、妹のクリスティアーナから見てもビビり散らしていたらしい。

 どうにもロンメルから「クルスの魔王っぷり」を色々聞かされていたようだ。

 とまあ、多少のアクシデント(?)はあったが、紆余曲折もなくクルスとクリスティアーナの婚約は1944年3月に正式に決定した。

 

 

 

 そんな中、言ってしまえば”婚約者(クリス)のお披露目の場”と目されたのが、前話のFt356”ツェントール”とRe525”シェッツァ”の完成発表会とデモンストレーション、そしてその後の関係者を集めたパーティーだった。

 

 本来はカズヒトとマリアンナのように政治ショーとしての公式な婚約発表の場を設けることがハイソの嗜みという物であろうが、クルスが「戦時下につき」という建前で、クリスティアーナも「えっ? 私、芸能人でも芸人でもないし」と2人そろって乗り気では無かったため、こういう形で妥協となった。

 同時に国内外の王侯貴族や名士名門を集めてのパーティーは戦後改めてという形に落ち着いたようだ。

 

 またしても、大島博駐独特使が荒ぶりそうな展開である。

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

 さて、昼間はその天才性を見せ始めた”フリードリヒ・ハルトマン”を始め、何やらハルトマンとスモレンスク以来の腐れ縁になりつつある”カーツハインツ・シュミット”、他にも”ヴォルフラム=ディートリッヒ・ヴィルケ”やこちらもハルトマンとやけに縁がある”グスタフ・ラル”、更には今やサンクトペテルブルグ市民軍(ミリシャ)航空隊の教官であり市民軍最強のエースである”エドバーグ・ロスマン”などサンクトペテルブルグに縁がある綺羅星がごとくエースパイロットが集まり、サンクトペテルブルグ郊外上空での同種・異種の空中模擬戦を含めたド派手なデモンストレーションが行われたのだ。

 

 また、ドイツ空軍から出向という形で、ヴィルケ、ラル、ハルトマン、シュミットの四人はサンクトペテルブルグ市民軍航空隊へ参加することが発表された。その契約には「新型機のテストパイロット」も含まれていた。

 どうやら、ドイツ国防空軍(ルフトバッフェ)もサンクトペテルブルグの新型機や開発中の機体に興味津々らしい。

 更に元々市民軍所属という扱いになっていたロスマンを含め、特例的措置でヴィルケは大佐、ラルとロスマンは少佐、ハルトマンとシュミットは大尉へとそれぞれ昇進していた。

 

 これは単純なサンクトペテルブルグ大公領の航空戦力の強化という話にはとどまらず、サンクトペテルブルグ市民軍航空隊がやがて”サンクトペテルブルグ大公国防空軍”へと至る道筋が開けたのかもしれない。

 そして、

 

 

【挿絵表示】

「大公様! 行きましょう”私達の戦場”へっ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




という訳で、初登場のホーエンツォレルン家の面々でした(挨拶
お労しや(ヴァルター)兄上と父上w

ちなみに多忙で倒れて実家療養中という名目で一時的に軍務から離れているパパ・ウィルヘルムの元へはあちこちの王侯貴族名家名門名士より問い合わせが殺到してる模様……
またしても増える「クルス被害者の会」w

そして、ロンメルさんがKSP-44/44をそこはかとなく狙ってるのは、史実の「ロンメル将軍と38(t)戦車のエピソード」のオマージュだったりします。

そしてそして、ロスマンに続きヴィルケにラル、ハルトマン&シュミットの若手コンビらサンクトペテルブルグに縁があるエースパイロットが出向扱いで市民軍航空隊に参加する事に……
まあ、国防軍もルフトバッフェも戦後まで考えて売れる恩は売れるうち(ドイツの保護領であるうちに)に売っておきたいという感じでしょうか?
あと新型装備に色目をw

さて、次回はとりあえずは”新型機完成パーティー”は出るかな?

ご感想、高評価、お気に入り登録してくださると大変嬉しいです。
次回もどうかよろしくお願いいたします。




※追記
フォン・ホーエンツォレルン(プロイセン)家の三男と四男の記載を入れ忘れていたので追記しました。
”この世界線”のホーエンツォレルン家は、四男がおらず「三男三女」で、上三人が男で下三人が女、末っ子がクリスティアーナです。




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