冒険と探検と日常と ~のびのびTRPG~   作:混沌野郎

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 今日もすることがない先輩さん。
 今日もゲーセンに行くことに。
 ゲーセンで出会った女の子、学生ちゃんとまた会えて。
 学生ちゃんの理由と先輩さんの理由。
 やっぱり何かが起こりそうな予感が……、そんなお話。 

 第23話は1日目、2日目、3日目4日目5日目6日目7日目8日目の8回に分けて公開します。
 また本話『仲間ができた日(2日目)』は 第25話『友達ができた日(2日目)』と「並行」しています。
 こちらもご一読いただければ幸い。

 本作は今野隼史(辺境紳士社交場)・アークライトの『のびのびTRPGスチームパンク』の二次創作です。
 ソロプレイのルール「カードをもとに物語を書く」に従って記した世界観を使って記した二次創作です。

 『のびのびTRPGスチームパンク』のプレイヤーキャラクターの「名前」を「キャラクターの名前」にしているので、
PC「機械屋」→「機械屋さん」
PC「少女」→「少女ちゃん」
等々となっています。

先に記しとく設定、
 先輩(主人公)・機械屋・学生、は女性、
 店長、等々は男性、
 作中の「ダリル」は通貨単位、1ダリル=1円くらい、
 と言うことで。

クレジット
ゲーム名:のびのびTRPG
ゲームデザイン:今野隼史
発売元:株式会社アークライト
© 2021 FRONTIERPUB / Arclight, inc.


第23話 仲間ができた日 (2日目) [2/8] (日常回)

 2日目

 

 いつも通りに起きて作業開始。

 30分で私の仕事は終わった……。

 機械屋ちゃんはやっぱり作業に打ち込んでる。

 声をかけられる雰囲気じゃない。

 ……ゲーセン行こう。

 作業着から普段着に着替えて、機械屋ちゃんにひと声かけて工房を出た。

 てろてろと歩いて倉庫街を出てゲーセンを目指す。

 

 ゲーセンに着くと学生ちゃんがいた。

「学生ちゃん、おはよ」

「おはようございます」

 学生ちゃんはぺこりとおじぎをしてくれた。

「おう、おはよう」

「おはよっ」

 カウンターの向こうの店長とも挨拶を交わす。

 そうしてから学生ちゃんに向き直った。

「じゃ、『カグヤ』行ってみよっか」

 ポケットから100ダリル玉を取り出して学生ちゃんに渡す。

「あの、良いんですか?」

 学生ちゃんはちょっと困り顔。

 でも、もちろん良いに決まってる。

 だから、

「もちろん良いよ」

「えと、ありがとう……、ございます」

 『カグヤ』の筐体の前に陣取って、学生ちゃんは画面を向いて座って、私は学生ちゃんの斜め後ろに座る。

 投入口に100ダリル玉を入れて、ゲームスタート!

 学生ちゃんは『みーこ』を上手く動かす。

 相手の動きを見て、とんっ、と近づいて一撃を入れる。

 後はコンボが入ってあっさりとWin。

 その後も勝ち続けて、ファイナルステージ。

 学生ちゃんは画面に集中してる。

 ラスボスの動きを確認して攻撃に入る。

 やっぱり簡単に勝った。

 とは言え、「簡単に」見えるけど、学生ちゃんのスキルだから「簡単に」見える。

 私には絶対にまねできない。

「おー、ノーダメージクリア、

 やっぱ学生ちゃん、すごいね」

 大げさに言えば感動。

「ありがとうございます」

 私の言葉に学生ちゃんはぺこりと頭を下げてくれた。

 『カグヤ』が終わって、学生ちゃんは私を向いた。

 きりっと真面目な表情。

「あの、昨日の話ですが……」

「昨日?

 うん」

 学生ちゃんと向かい合って私も表情が締まる。

「どうして学校に行かないでゲームセンターに来てるの、変じゃないって思うんですか?」

 ああ、そう言うこと。

「人それぞれ、いろいろあるからね。

 学生ちゃんも理由なく、じゃなくて学校に行かない訳、あるんでしょ?」

 私の言葉に学生ちゃんは答えてくれた。

「はい、行きたい、って思ってるんですけど、行けなくて……」

「……うん」

 学生ちゃんはつらそうな表情で顔を伏せる。

 私の声も少し沈む。

「お父さんも、お母さんも、行きたくなったら行けば良い、って言ってくれてます。

 でも……」

「そっか、

 それって辛いよね」

 その言葉で学生ちゃんは顔を上げた。

「それは……?」

 学生ちゃんに答える。

「だって親御さんは『行きたくなったら』って言ってくれてるけど、

 学生ちゃんは『行きたい』って思ってるから……、

 それってつらいよね、って」

 私の言葉に学生ちゃんはこくりとうなづいた。

 言葉を続ける。

「学生ちゃんはどうして学校、行きたいの?」

「どうして……、ですか?」

 ちょっときょとんとした。

 少し考えて。

「やっぱり勉強したいですし……、

 それに、一般教育学校は出ておいた方が良いかなって思って……」

 うん、良い考えだ。

 でも、

「学生ちゃんが学校に行きたいのは『勉強したいから』と『卒業したいから』だけなのかな?」

「えと……、今はそうだと思います」

 言いすぎたかな? って思ったけど私は言葉を続ける。

「勉強したいから学校に行きたい、ってすっごく良いことだよ。

 でもね、学校に行く理由なんていくらでもある、って私は思ってる」

 学生ちゃんは答えてくれた。

「いくらでも……、ですか?」

「うん、

 そだね、『おべんとが美味しいから』とか、

 『図書室にいっぱい本があるから』とか、

 何だったら『調子に乗ってる男子に蹴り入れたいから』とか、

 そんなのでも良いんじゃないかな?」

 学生ちゃんはきちんと答えてくれた。

「確かに……、そうです」

 話題を少しずらして、次の話を始めた。

「それに『一般教育学校を出ておきたい』ってのも大事なことだけど、

 学校って行かなくてもどうにでもなるよ」

「どうにでも、ですか?」

 学生ちゃんの声は、理解できない、そんな感じ。

「うん」

 ひとつうなずいて、カウンターにいる店長を向いた。

「ね、店長、

 私って『学校に行かなくてもどうにかなる』って言えるかな?」

「ん? 先輩ちゃん?

 先輩ちゃんは苦しいな」

 店長の答え。

「そっか、

 じゃあ、機械屋ちゃんはどうかな?」

「機械屋ちゃん?

 ああ、十分すぎる」

 うん、だよね。

 学生ちゃんに向き直って。

「えっと……、

 どこから話したら良いかな……」

 少し考えてから。

「……うん、

 えっとね、私って工房開いてて」

 ってところで、学生ちゃんは驚いて、

「えっ!? 工房ですか!?

 じゃあ、先輩さんは上級研究学校とかなんですか!?」

 私の答えは、

「じゃなくてね、

 私は上級教育学校2年で中退」

「でも、工房開くって……、

 すごいです」

 学生ちゃんは驚きを隠せない感じ。

 言葉を続ける。

「えっと、私のことは一旦置いといて。

 ウチに機械屋ちゃん、ってエンジニアがいて、

 まあ、ウチは私と機械屋ちゃんだけなんだけど」

 学生ちゃんはこくこくとうなずいてくれる。

「でね、機械屋ちゃんって、基礎教育学校からずっと学校に通ったことがないんよ」

 また驚きを隠せなくなった学生ちゃん。

「でもエンジニアですか……、すごいです。

 学校に行かなかったのは何か深い理由があったとかですか?」

「んーと、深い理由って言うか、

 機械屋ちゃんの実家ってのがとんでもない辺境で、街に学校がなかったんだって」

 学生ちゃんは驚き顔、でも話してくれた。

「じゃあ、エンジニアの勉強とかは……」

「親御さんがエンジニアだから親御さんに修行させてもらった、みたいな感じだって」

 学生ちゃんはまだ驚き顔。

「あと、ウチに来る前は大型飛行機械のメンテナンスの仕事してた、って言ってたっけ」

 驚きながらも私の言葉に返してくれた学生ちゃん。

「だから学校に行かなくても大丈夫なんですか?」

「んと、そうじゃなくて、

 そんなのもいる、って話かな、うん。

 ……まあ、機械屋ちゃんはぜんぜん大丈夫なんだけどね」

 言葉を続ける。

「私は学生ちゃんがつらくなるの、嫌だなって思う。

 だからいろんな話、知って欲しいなって言うのかな」

「先輩さん……」

 学生ちゃんはうるうるしかけてた。

 言いすぎちゃった。

「ごめん、

 私、偉そうだよね、

 言える立場じゃないのに」

 でも学生ちゃんは、

「あの、そうじゃないです。

 先輩さんの話、そうなんだなって」

「そっか、そう言ってもらえると嬉しいね」

 学生ちゃんは笑顔になって、私も笑顔になった。

 その後は昼前まで、学校のこと、学校に通うこと、学校に通わないこと、2人で話した。

 今日も昼前に解散。

 学生ちゃんはおべんと食いに大公園に向かって、私は工房に帰った。

 




 学生ちゃんには学生ちゃんの理由があって、先輩さんには先輩さんの理由があります。
 学生ちゃんが「訳あり」なのは「学校に行ってない」ではありません。
 次回、学生ちゃんの「訳あり」が明らかになります。
 「登場人物」として「絶対に即戦力になってくれる」キャラです。

 次回は『仲間ができた日 (3日目)』です。
 では、次回もご一読のほどよろしくお願い致します。
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