日本で生きた記憶を持つ少女は、異世界で一匹の麒麟として生まれ変わった。

生まれた場所は、巧国の蓬山。金色の毛並みを持つ幼い麒麟は、女怪に見守られながら獣の姿で成長していく。やがて自らが巧国の麒麟であり、いつの日か天意によって選ばれた王を見つけ、その王を支える使命を持つことを知る。

しかし、王を探すのはまだ先のことだった。

幼い巧麟は蓬山の獣たちと触れ合い、世界のことを学びながら、少しずつ麒麟としての力を身につけていく。そして森で妖魔と出会ったことをきっかけに、妖魔についても学び始める。

妖魔だからといって、すべてが同じではない。

危険な存在を見極め、必要ならば自らの力で調伏する。力だけに頼らず、相手を知り、考え、判断する――。そんな経験を重ねる中で、巧麟は少しずつ成長していく。

一方、巧国では王を失った年月が長く続いていた。

国が衰えていく中、巧麟は焦りを感じながらも、自分にはまだ王を見つける時が来ていないことを理解していた。

そして、生まれてから十六年。

幼かった麒麟は、ついに成獣となる。

その頃、巧麟の前に一人の人間が現れる。

その瞬間、天意によって知らされる。

――この人こそ、巧国の王。

十六年間待ち続けた王との出会い。

ここから巧国の再興が始まる。

王を支える中で、巧麟は人間、妖魔、妖獣、半獣、そして他国の王や麒麟たちと出会い、王とは何か、麒麟とは何か、自分は何のために生きるのかを知っていく。

これは、蓬山で生まれた一匹の麒麟が、王と出会い、国と共に歩んでいく物語である。