愛されながら普通に産まれて、それに愛を返しながら普通に育って、普通に結婚して、普通に子供をつくって……普通に老いて死ぬ。

 そんな人生に一体何の意味がある? 

 人生は劇的であるべきじゃないか? 
 人は苦しむために生まれてきたんだ。
 人は苦しみを乗り越えてこそ輝く。
 だから、君もそうしなさい。

 ──世界は、君にそう語りかけました。

 妖精の子、忌み子、呪われ子。
 そんな君に真っ当な幸福なんて、あまりにも勿体ない。
 もっと輝ける。もっと遠くに、高くに飛べる。

 嫌なのかい? 
 ……でも、君が悪いんだ。普通であるべきじゃない君が。
 だから、全部君の責任だよ。

 ──世界は、君にそんな祝福を与えました。

 君は、どうか殺してくださいと泣いていました。
 ……もちろん、その願いは叶えられません。
 だって、世界が君の苦しみを望んでいるからです。