――フェイ先輩、許して下さい

 軍事独裁国家アルトベルゼの治安や秩序を守り、現政権を維持するべく作られた極秘組織『セントラルシティ特別市立特殊工作員養成学園』……通称『学園』。
 その生徒会長フェイ・リーは、数々の達成困難な任務を成功に導き、“五大湖の天使”と呼ばれ学園のみならず国内の工作員全てから信奉されていた。
 一年前、彼女が隣国に亡命し、愛した者の手によって暗殺されるまでは。

 アラタ・L・シラミネ。
 恋し、憧れ、慕っていたフェイを自らの手で殺め、その功によって生徒会長の席に座った青年は、その罪の意識と諦観に苛まれる日々を送っていた。
 そんなある日の任務の最中、彼は一人の少年と邂逅する。

「おれの名前はジェームズ・F・リー。フェイ・リーは、おれの姉です」

 かつて焦がれるほどに恋慕し、この手で自ら殺めた人と瓜二つの顔を持つ少年との出会いが、止まったアラタの時間を否応なしに突き動かす。

 出逢いと別れ、信頼と裏切り、愛と絶望――。 
 独裁国家の政争と時流に翻弄された青年は、やがて総統暗殺に追い込まれていく。

「……大好きです。愛しています、フェイ先輩」

 これは、愛する一人の少女の“意志”を成し遂げる為奔走した、ある青年工作員の物語……。
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