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投稿話順全話感想
ヴュルガー 2025年05月19日(月) 01:18
化け猫ならぬ化け貝が出て来る一風変わった妖怪譚かと思いきや、話が進むにつれて、化け貝よりもずっと恐ろしいものが浮かび上がってくる構成が見事でした。
今は亡き山本弘氏も、何冊めかの「と学会」本の中で、患者の幼少時代の封印されていた記憶を引き出すためにとカウンセラーが回復記憶療法を行った結果、患者が「自分は幼少時に家族から性的虐待を受けていた」という事実とは異なる記憶を「思い出して」しまい、家族を性的虐待の加害者として告発する事態がアメリカで続出した、という話を紹介して、人間の記憶がいかに不確かであやふやなものかを説いておられましたね。
ほいれんで・くー 2025年05月19日(月) 09:17
ご感想ありがとうございます!
記憶と証言に関しては以前別の作品でも書いていたのですが(『ラインの娘』「フォルモサ島への飛行」)、今回はそれのリベンジというような形になりました。人間の記憶というものは思った以上にファジーなんですよね。少なくともビデオで撮影したような映像や音声が脳内に溜め込まれているわけではないのです。しかしそのことを以て「人間の記憶はいい加減なもので劣っている」と言うことはできないだろうとも思います。また記憶に関しては他に作品を書いてみたいですね。
ヴュルガー 2025年05月18日(日) 00:52
「怪蛇」
蛇をもとにした怪物は沢山いますが、この話に出てくる怪蛇は、それらの中でもとりわけ変わったやつですね。
鶏のような足が一本だけ生えているというのも変だし、鼻の穴から脳髄と血を啜り取るという変な食生活をしているのも、蛇型モンスターの中ではコイツくらいでは。
そんな怪蛇が人間の知恵によって倒され、恐怖の対象から金儲けのための素材になってしまったのは、危険な猛獣だった虎や象が、皮や象牙目当てに乱獲されるようになった現実の歴史を見るようです。
「華佗」
やたらと殴られる華佗に思わず吹きましたが、それでも治療を投げ出さずにやり切る華佗はまさに名医です。
あえて現実的に考えれば、華佗が寄生虫を駆除したことに尾鰭が付いてこのような話が出来たのでは。
ほいれんで・くー 2025年05月18日(日) 09:56
ご感想ありがとうございます!
「怪蛇」の方は『子不語』の元ネタ段階でビジュアルが完成していたのでその点では大いに助けられました。一本足っていうのが良いですよねぇ。特に名前等がついていないのもかえって不気味さを増しています。
「華佗」はけっこう楽しんで書くことができました。おっしゃるとおり、おそらく華佗は麻酔薬と切開を用いた手術で寄生虫(=蛇)を退治したのでしょうね。「捜神記」には三国志好きなら知ってる名前が数多く出てくるので面白いです。
次回もどうぞお楽しみに!
ヴュルガー 2025年05月14日(水) 22:02
「壁虎」は設定を変えれば、そのままウルトラシリーズの一編になりそうです。
最初は小さかった壁虎がみるみるうちに巨大化して蛟になるところや、気象を操って大暴れするところは完全にウルトラ怪獣のノリだし、人の手には負えぬ蛟を退治する黄龍の役どころは、まさにウルトラ戦士のそれです。
最後の語り部の台詞も、怪獣を退治してめでたしめでたしでは終わらない話もよくある、ウルトラシリーズのメッセージ性に通じるものがあります。
「生首」は、地震国の日本なら似たような話が語られているかもしれません。
人によって見える顔が違うというところから、この生首は様々な怨霊の集合体のようなものかなと最初は考えたのですが、怨霊だったら、人が死ぬ様を見たら、無表情ではなくもっと嬉しそうな顔をするんじゃないかと思えてきました。
そうすると、生首の正体は禍ツ神の類いだろうか?
ほいれんで・くー 2025年05月14日(水) 22:16
ご感想ありがとうございます!
そうそう、そうです! この「壁虎」のもとになった「鉄匣壁虎」を読んだ時には「これ大怪獣バトルものにもなるよなぁ」と思ったのでした。それにしても中国はスケールが大きいですね。一般的に黄龍は中国の中央を守護する龍、四神の長ですから、ウルトラマン的な役回りにもぴったりですね。これだけでけっこうラノベ的な題材にもできるでしょう。
「生首」の方は、いずれ関東大震災あたりの証言も拾ってみたいですね。以前吉村昭先生の『関東大震災』を読んだのですが、流石に吉村先生は実証主義的な方でしたので、震災時の怪異・不思議な話についてはお書きになっていませんでしたね。何か書籍を探してみても面白いかもしれません。
次回もお楽しみに!
ヴュルガー 2025年05月12日(月) 23:41
普賢菩薩を偽者だと見破った、猟師の冷静な懐疑精神が光る話でした。
ただ自分としては
・なんで信心の無い猟師や少年にも普賢菩薩様が見えるの?→本物だから、信心の無い者にも見えるぐらいのパワーがあって当然。
(8行省略されています)
ほいれんで・くー 2025年05月13日(火) 01:12
ご感想ありがとうございます!
なるほど、そのように考える人がいてもおかしくはありませんね……ただこの猟師としては自分の生業が仏教的には許されないことを自覚していたがためにあのように考えたのでしょう。現代的に昔の物語をリライトするとなるとこういった当時の社会的な価値観・通念だけでなく、ある種の心性まで検討しなければならない、しかも検討したものをそのまま作品に活かせるのかといえばそうでもない(作品には創作の経済性の原理が働きますからね)ので、今後もここらへんは苦戦しつつ書いていくことになりそうです。
聖人様について猟師は「この人には俺がついてないとダメなんだ!」という気持ちがありますね。どうやら少年もその口であるようです。完全無欠の人間よりも、ちょっとダメなところがある人間の方がよく人を集めるとは言います。おっしゃるとおり、この聖人様も現代ならばさぞかし超アイドルになりそうですね。むしろそういう方面でこの話をリライトしても良いでしょう。誰か書いてくれても……ええんやで。
次回以降もどうぞお楽しみに!
ヴュルガー 2025年05月05日(月) 23:13
「チビで中性的な美少年が力自慢の大男を倒す」という、牛若丸と弁慶の逸話を彷彿とさせる話でしたが、小さい方が技でもスピードでもなく、力そのもので大男を圧倒するというのはかなり珍しいパターンではないでしょうか。
謎の学生の正体らしきものが最後で匂わされますが、本当にそれだけの話なのかというモヤモヤが残ります。
ほいれんで・くー 2025年05月05日(月) 23:51
ご感想ありがとうございます!
今回の話の元ネタにした『宇治拾遺物語』「成村、強力の学士に逢う事」では相撲にかけてはプロだったはずの相撲取りが名も知らぬ小さな学生に完敗を喫するという話で、
「方の将は宣旨申し下して『式部の丞なりとも、その道に堪へたらんはといふ事あれば、まして大学の衆は何条事かあらん』とて、いみじう尋求められけれども、その人とも聞こえずしてやみにけり」
という一文で話が終わっています。
「(近衛府の中将は)宣旨を申請して『式部省の丞=第三等官という役職にある者でも相撲の道に優れているということがあれば召し出すことがあるのだから、まして大学の学生なら何の問題もないだろう』と言ってあちこち探し回られたけれども、誰だともわからずに終わってしまったそうだ」
ということです。
私も原典を読んだ時に「見かけにも弱い方がさんざんに本職をやっつける」という珍しいパターンを見て興味を惹かれたのでこの話を書きました。かかとの肉をちぎり取るほどの怪力の持ち主がただの学生のわけはないのですが、原点の『宇治拾遺物語』でもその点についてはまったく言及がないので、今回は私がいろいろと物語の内容に手を加えた次第です。いったいどんな学生だったのか……バグみたいな存在に遭遇した力士達が片っ端からやっつけられるサイコスプラッタ小説にしても良かったのですが、今作はややミステリーという感じにまとめておきました。
作者としてはおそらく最後の成村のセリフは本当のことを言っていると思います。今後自分でオリジナルの話を書くのだとしたら、小さな学生みたいなキャラを主人公にしてみたいですね。
OVER52694 2025年05月04日(日) 22:32
あとがきの通り最初にカフカを思い浮かべましたね
気持ちの悪い虫というと変身を思い浮かべます。
完璧主義と怠惰は同じという発言から、主人公からちょっとした潔癖とそれを完徹出来ない自嘲を感じられました。
譲ってもらったけど結局中身を解読出来そうにないこと、そのちょっとした罪悪感や無力感が嫌悪感を引き出しているように見えます。
カフカとは違うシチュエーションですが、やっぱり虫を通して自分自身への嫌悪や苦しみをすかして見ている気がします。
勝手に苦しんで勝手に無惨な姿になり勝手に死んで行く様子や、昼飯をコーラで済ます所に日頃から閉塞感や焦燥感を感じていて、それが虫のように増殖したのかもしれないですね…
ほいれんで・くー 2025年05月04日(日) 22:40
ご感想ありがとうございます!
だんだんこの3話あたりからエンジンかかってきた印象ですね。作中のアパートの描写などはそのまま私の過去から引っ張ってきているのですが、案外実体験を元にしても書きやすいなと(笑) 私のアパートの隣室は死ぬほど汚い汚部屋で、こっちがいくら綺麗にしててもたびたびゴキブリが侵入したんですよね。部屋でPCで文章書いてると足がむず痒くてなんだと見てみたらゴキブリがまとわりついた……なんてこともしょっちゅうでした。この作品はそんな過去への復讐かもしれません(笑) 次の話もお楽しみに!
OVER52694 2025年05月04日(日) 22:13
しっくりこない、しっくりこないと言いつつ大人数の敵を鏖殺していく騎士怖過ぎる…
この違和感が尽きる時に彼が死ぬのか、槍が折れるのか、其の時騎士はようやく安堵できるのでしょうか。
それともたった槍と同じく普通の人間に見えるのに、何度戦場に立っても死なずに戦い続けられる自分自身と重ねているんでしょうか?
違和感尽きた時が逆にどうなるのか気になりますね
ほいれんで・くー 2025年05月04日(日) 22:17
ご感想ありがとうございます!
この騎士、なんだかんだ言って最後まで生き残るんじゃないかという気もしています。どうもあそこで死ぬことはないような気がするんですよね。しかし一方でOVERさんのおっしゃるとおり違和感が尽きた時にはあっさり死にそうな気がしてなりません。この話はポーランドの有翼騎兵を書けるようにしておこうという意図がありました(今後別の話で書くことがある場合に備えての練習です)。最初は「折れない槍」というアイテムを思いつかずけっこう書くのに苦戦した覚えがありますね。
次話以降もどうぞお楽しみください!
OVER52694 2025年05月04日(日) 21:57
誰しも今の状況に苛立ちを覚えているなら、それを変えたいと思うものです
巨人は変化の代償の事をよく考えていて、それでも焦りを促されてより悪い、能動的な行動すら出来ない絶望的な状況になりました
誰を恨めば良いかすら分からないのがより怖いですね…
ほいれんで・くー 2025年05月04日(日) 22:08
ご感想ありがとうございます!
この「穴」という作品、「3000字か4000字でさっと書けるファンタジーはないか?」という課題を研究してみようと思って書いた作品です。巨人の置かれた閉塞的で絶望的な世界を表現できたところ、穴の謎、穴の向こうの世界の謎、蓄音機、目のない巨人など、いろいろと謎なままで話が終わってしまいましたが、OVERさんおっしゃるとおり「絶望的な状況でしかも誰を怨めば良いのか分からない」オチにすることができたのは満足しています。深夜のテンションでだいぶ変な作品を書いた自覚はありますが……
「穴」以外にも面白い作品を取り揃えております。今後もごゆるりとお楽しみいただければ幸いです! できれば毎日更新できるように頑張っていきますね!