誰にでも優しくて、いつも笑っている七瀬朔。

頼まれごとは断らず、誰かが困っていれば真っ先に手を差し伸べる。

けれど、その優しさの裏には、過去に救えなかった友人への罪悪感が隠されていた。

自分が苦しいことには目をつぶり、誰かの役に立つことでしか、自分を許せない朔。

そんな彼の異変に気づいたのは、友人の藤崎律だった。

「お前、本当に大丈夫なのか?」

何度尋ねても、朔は笑って答える。

「大丈夫だよ」

踏み込めば拒絶される。放っておけば、いつか本当に壊れてしまうかもしれない。

それでも律は、朔を一人にしたくなかった。

嫌われてもいい。

今度こそ、届いてほしい。

これは、誰かを救えなかった過去に囚われた少年と、そんな彼に手を伸ばす少年の物語。

※本作には、喪失や罪悪感など、重いテーマが含まれます。