毒娘(ヴィシュカンニャ)。

毒から生まれ、毒を食み、毒で育った女の子。
甘い香りは毒の証。
けっして触れてはいけません。

――ひとたび触れれば、花も、鳥も、人さえも、死んでしまうのですから。



けれど、そんな警告を鼻で笑い、彼女に触れる男がいる。

西風騎士団の問題児、ローエン。
その相手は、スメールの雨林に棲む妖しい薬売り、ヴィシュカ。

かつて命を救い合った二人は、今では人には言えないゲームに興じている。

彼女が毒を盛れば、彼は喜んで飲み干す。
彼女が身体に仕掛けを隠せば、彼は嬉々として探り当てる。
袖の毒針、髪に忍ばせた刃。しまいには、口づけさえ駆け引きのうち。

恋人でもないくせに、触れていい場所といけない場所だけは、誰よりもよく知っている。
ただし、彼女が決して外さない黒い手袋の意味だけは、まだ知らない。

毒よりも甘く、薬よりも苦い。
不健全な二人の、至って純粋な恋物語。


※ローエン伝説任務完了前提
※pixivにも掲載中