世界最強の覚醒は、十五分限定。
そして、覚醒条件は——チームが二点ビハインドで残り十五分。
それ以外の彼は、ただのサボり魔である。
覇黒千歳、十六歳。前世は死にゲー廃人ゲーマー。コントローラーを握ったまま命を落とし、気がつけばサッカーが得意でもないガキの体に転生していた。本人いわく、「理不尽な世界に放り込まれたら、攻略するしかない」。
彼の流儀はひとつ。雑魚戦では本気を出さない。HPもMPも、ラスボスのた
めに温存する。
——だが、覇黒千歳の身体能力は測定不能だった。
反射神経は計測上限を振り切り、軽く蹴ったシュートでターゲットの網は歪む。
本人が「機械の故障」で押し通しても、計測機器は二度三度と壊れていく。
その真の実力は、おそらく世界最強クラス。
だが、本気を出すのは、覚醒条件が揃ったときだけ。
走らない、取らない、防がない、喋らない。
チームメイトからは「やる気のないクズ」と罵られる男。
そんな彼が、くじ運最悪の最下位チーム・チームZに配属され、青い監獄・ブルーロックに放り込まれた。
「——またデスゲームかよ」
「でも、これは悪くねぇな」
絵心甚八の目が、三百人の中の、彼ひとりの上で、ふと止まった——。
キックオフの笛が、鳴る。
(さて、クソゲー、始めるか)
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