「我が家の宝石が盗まれた。そこにあるのは偽物だ!」

王立博物館で公開された〈王妃エルシアの青涙〉。展示開始から三時間後、宝石に浮かぶ紋章が伯爵家の鷹から王家の冠へ変わった。

だが、宝石は封印されたケースの中にあり、侵入もすり替えもされた痕跡はない。

休暇を台無しにされた元結界技師フェリクスは、九年来の相棒である女性調査官レオノーラに無茶を押しつけられ、事件を調べることになる。

館長、警備責任者、鑑定士、旧所有者。関係者は全員、別々の理由で嘘をついていた。

誰も宝石を盗んでいない。それでも、この事件を「盗難」にしたい者がいる。
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