目を覚ますと、そこには巨大な大穴があった。

街の名はオース。
そして、その大穴の名は――アビス。

湊は、この世界を知っていた。

美しく、未知に満ち、そして決して優しくはない奈落の世界を。

特別な力はない。
強靭な肉体もない。
あるのは、かつてこの物語を読んだ記憶だけ。

それでも彼は、奈落を目指す。

自分が知っている物語とは、少し違う未来を見るために。
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