彼、三守 遊児はその日何も失わなかった。
彼には復讐心も、正義感も、英雄願望も生まれはしなかった。

その日までも、その日の後も、彼は何も変わらなかった。
面白そうなことをやる。その興味の矛先が『近界民』に『ボーダー』に向いた。ただそれだけだった。
彼にとっては幸いなことに、彼にはボーダーに入るための才能があり、両親に伝えるための大義名分は腐るほどあった。

『近界民』の侵攻から3年。今現在、三守 遊児が『ボーダー』に所属する理由は興味以外の何物でもなかった。

彼がここで誰と、どのように過ごし、その想いに変化が現れるのか、それともこれまでと同じように何も変わらないのか。少なくとも今、彼の興味の対象にそれは含まれていない。
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