何をするにも気力が出ない青年オリスの唯一の癒しは、画面をひたすらタップして焼き菓子を増やしていく非常に簡素なゲームだった。

ある日、いつものようにゲームを起動すると、ナビゲーションキャラの老婆メアリーがいないことに気付く。
そのままゲームを進めようとするが、突如輝き出したスマートフォンの光を受けてオリスは気を失ってしまう。
 
オリスが目を覚ますと、そこはゲームの世界だった。
しかも、ゲーム内に存在しない村娘のアバターで転生していた。

「やっと起きたかい、坊や。ほら、さっさと支度しな」

止まっていたオリスの人生は、一人の老婆との出会いで爆発する。
お節介で口うるさいメアリーに導かれ、オリスは一人前の焼き菓子職人として成長していく。

いつかの情熱を取り戻すため、オリスは今日も、ただひたすらに焼き菓子を増やし続ける。
いずれ来る別れの時に向かって、最高の焼き菓子を作り終えるまで。

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