CE74 1月、一つの争いが終わり、シン・アスカは敗北した。
憔悴の中意識を落としたシンが再び目を覚ました時、彼は別の宇宙の火星にいた。
そこはネオフロンティア。人が人自身を信じ前進をやめない世界――たとえどんな苦難に直面しようと。


宇宙の彼方へ

CE74 1月 人類の命運をかけたその戦争は、CE73を燃やし尽くすように進行し、そして翌年すぐに終結を迎えた。

灰色の巨大な荒野を背に、宇宙を漂う一機の機械人形があった。その主人たる少年は虚ろな眼で暗いモニターを見つめていた。

―――何がいけなかったんだろう

かつて尊敬した上司だった男と刃を交え、敗北した。どうして道を違えてしまったのか。彼も自分と同じ、平和を望む人間だったはずなのに。
理不尽に押し潰され、己の剣を他者に委ねた少年には、男の心は解らなかった。
如何に崇高な理想の元で動いていたのだとしても、少なくとも今の少年にそれが解るはずも無かった。この時彼は押し寄せる理不尽に心を砕かれていた。

―――もういい、もう疲れた

少年は静かに目を閉じた。彼を乗せた機械人形は遠く、遠く、闇の中へと流されていった。

勝者達が少年―シン・アスカがどこにもいないことを知ったのは随分後の事だという。

巡る銀河の片隅の小さな星で一つの戦いが終わり、宇宙を漂う一人の敗者が姿を消した。それに気付かず、その世界は一つの終わりに歓喜していた。これが後に巻き起こる大きなうねりの始まりであることを知らぬままに。

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