竜戦から四十二年が過ぎ、さらに人に近い知能を有し始めた竜遺児。
食料問題が解決して久しい日本の若い世代は生まれた時から喰種も混血も共に育つことが当然の環境であり、喰種や半喰種であることは先天性のアレルギーや慢性疾患と大差ないと認識されている。

竜管(*竜の体内空間)調査中、三人の第一TSCアカデミー生が行方不明になった。
空間の歪んだ竜の腑を掻き分けた先で落ちたのは、何と四十六年前の東京だった。


「私たちの常識は一切通じないだろうね」


過去の人々が生き死に殺し合い奪い奪われ積み重ねた死体の上に寝そべった新しい秩序で生きてきた少年少女は、タイムパラドックスと今や自分の現実で生きる人々を天秤にかける。


_________地獄は暗いか?否。地獄は赤いか?否。地獄はほの明るく温かく鉄の擦った匂いが立ち込める狭い路だ。外に出た途端泣き叫んで絶望したくなるものが現実だ。だから私は卵を裏返した時、あれほどまでに“成った”という満足感に打ち震えていた。
              高槻泉『黒山羊の卵』




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総合評価:22868/評価:8.77/完結:11話/更新日時:2026年08月19日(水) 19:10 小説情報


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