義母に「少し眠るだけ」と言われ、謎の研究施設で眠りについた十八歳の少年――梔子刀也。

次に目を覚ました時、研究施設は朽ち果てた遺跡となっていた。

そして彼を待っていたのは、白髪に蒼い瞳を持つ美女、ハクア・シラサギ。

彼女に連れられて外へ出た刀也が知ったのは、とんでもない事実だった。

――あれから、およそ一億年。

文明も、大陸も、生態系も何もかもが変わり果て、かつての地球は魔物や妖魔、怪異が跋扈する、ほとんど異世界と呼んでいい世界になっていた。

しかもハクアは、この世界に十人しか存在しない最高峰の超越者――「十至天」の一角、『剣天』。

そんな彼女が怪物を相手に振るった剣技を見て、刀也は凍りつく。

「……いや待て。それ、俺が昔考えたやつなんだけど?」

その名も――『極星凍剣術』。

中二病真っ盛りだった刀也がノートに書き散らした、思い出すだけで胃が痛くなる黒歴史である。

ところが一億年の時を経て、その黒歴史は伝説の武術として後世に残っていた。

しかも失伝した武芸書から独学で極星凍剣術を修めたハクアに、つい刀也は口を滑らせる。

「あれ、一式の繋ぎは弐式だよな……」

その一言から、世界最強格の剣士に目をつけられてしまい――

「師父。どうか私に、真なる極星凍剣術をご教授ください」

「やめろ! それ以上俺の黒歴史を掘り返すな!」

これは、一億年後の地球で。

自分が昔作った黒歴史の数々が、伝説・神話・秘術として後世に残ってしまった少年が、世界最強クラスの弟子たちに振り回されながら生きていく物語。

本人にとっては、毎日が公開処刑である。