※全16話、完結済みです。
最後までお付き合いいただければ幸いです。

 神聖帝国サルフの帝都。
 白き御座を戴くその都の奴隷市場で、朱の騎士キーツ・ウォルフェルは、金の髪を持つ姉妹を買った。

 姉のレリーエ。
 妹のメイエ。

 読み書き、帳簿、針仕事に優れたレリーエは、妹を守るために多くを隠していた。
 メイエは何も知らない。ただ姉の手を握り、蜂蜜菓子と串焼き肉に目を輝かせる幼い少女だった。

 だが、その血はただの奴隷のものではなかった。

 女帝レヴィが傀儡の糸を切り始めた時、元老院は新たな神輿を求める。
 香薬商会、奴隷市場、帳簿細工、暗殺者、そして白き御座に載せられるはずだった「替えの血」。

 キーツは現代的な善人ではない。
 奪いに来る者があれば折る。
 舐める者があれば潰す。
 子供を値踏みする目には、刃より先に恐怖を返す。

 それでも彼は、二人を守ると決めた。
 同じ卓で飯を食べたから。
 故郷の料理を作ってもらったから。
 メイエと串焼きを食べる約束をしたから。

 これは、朱の騎士が白き御座の子を守り、血と玉座から遠い北の森へ連れていく物語。