U.C.0114。

マフティー動乱から九年。
地球圏は、安定を取り戻したことになっていた。

腐敗防止と行政の透明化を掲げて設立された、地球連邦政府監査局〈FAB〉。
その新人監査官補であるハル・イルマは、旧式居住区支援に関する資料の中に、ひとつの不自然な空白を見つける。

支援継続中。
搬入済み。
更新済み。
対応済み。

書類の上では、すべてが正しく処理されていた。
けれど、記録の奥には、誰にも見られないまま消えようとしている人々がいた。

戦争ではなく、記録で。
武器ではなく、制度で。
断罪ではなく、証言と対話で。

戦争でしか語れなかった時代を越えた先で、次の世代は何を選ぶのか。

これは、宇宙世紀のその先へ進むための物語。