――百鬼夜行に、幽霊が棲んでいる。
数百年前の価値観を国是と嘯く陰陽部と百花繚乱。その形骸を「幽霊」と呼んだ怪芸家・土生アザミは、雪山の封印を撃ち抜いた。
目覚めたのは、預言者クズノハをもってしても殺し得なかった大妖怪――九尾の狐。
時を同じくして、百鬼夜行にひとりの少女が帰還する。
二年前に死んだはずの、元・百花繚乱作戦参謀。
目を包帯で覆い、首に爛れを刻んだその少女の名を――武者小路ツツジといった。
三つ編みの約束。果たされなかった感謝。
躑躅が枯れる五月に、菖蒲は咲きはじめる。
これは、与えられた役割を最後まで演じきろうとした少女と、
彼女に未来を託された後輩たちの物語。
※オリジナルキャラクターが主役の長編です。軍事・政治描写を多く含みます。