『ソードアート・オンライン』

 略して "SAO" と呼ばれるソレは、世界で初めてVR(バーチャルリアリティ)技術を用いた大規模多人数同時参加型のオンラインRPGだった。
 『ナーヴギア』という専用のハードウェアで仮想空間へとダイブする事で、実際に自分がゲームの世界に入り込んだ気分になれる。

 ――ログインを果たした誰もが、 "そんな夢の様な体験" に胸を踊らせていたのだ。

 突如鳴り響いた鐘の音。消えたログアウトボタン。全プレイヤーが強制転送された先に現れた自らを『茅場晶彦』と名乗る存在によって、夢は悪夢に姿を変える。

  "この世界における死は、現実での死を意味している。脱出方法はただ一つ――百層ある浮遊城、アインクラッドの踏破"

 後に黒の英雄と呼ばれる少年と出会い一年、ようやく始まった階層攻略でつけられた『味方殺し』の二つ名。噂が徐々に広がる中を××は変わらず歩いていく。
 手配書まで貼られ、懸賞金目当てに狙われる日々の先で訪れた第五十層。噂の根源がなくなっても背鰭に尾鰭も使って独り歩きし始めたソレは止まらない、そんな××の元に飛び込んできたのは保護を目的とした血盟騎士団への勧誘だった。
 それを蹴って尚、××は歩く事を止めようとはしなかった。

 しかし七十四層にて××はとうとう歩みを止め、英雄の手により七十五層で全ての決着がつく。

 これは、そんな理不尽から始まった命がけのゲームへと巻き込まれる世界で有り得たかも知れない可能性の一つ。

 病院服を着た彼は、戦友との再会を願って開けたくもない目を開いた。

X(Twitter)  ▲ページの一番上に飛ぶ