悪徳の街・ロアナプラで、ロックは一人の少年に声をかけた。

年の頃は十三、十四。怪我をした手で炭酸水の瓶を持ち、迎えを待っている。
放っておけずに声をかけた相手は、三十四歳の元ソ連軍人だった。

名はアレクセイ。
ホテル・モスクワの大幹部、バラライカの実弟であり、かつて彼女と同じ部隊で戦場を生き抜いた古参兵。

戦争のさなか、彼の身体は成長を止めた。
だが、その精神も、判断力も、積み重ねた経験も、紛れもなく大人のものだった。

「姉さん。俺はもう三十を過ぎてる」
「知っている。傷を見せろ」

部下としての腕は信頼している。
それでも弟の怪我と食事と帰宅時間だけは、放っておけない姉。
そんな姉を呆れながら気遣う弟。

しかし、彼をバラライカの弱点と見なす者が現れたとき、二人が戦場に置いてきたはずの過去が動き出す。

銃声と煙草の煙に包まれた街で描く、ある姉弟と、その戦友たちの物語。

※『BLACK LAGOON』の二次創作です。
※バラライカの実弟であるオリジナル主人公を中心に、独自設定・独自展開で描きます。
※姉弟の家族愛と戦友としての絆が中心です。