その男、どこか異質な調子者。

「……なんで、私に関わるの」

 百花繚乱の作戦参謀として、人知れず汚れ役を抱え込む桐生キキョウ。彼女が唯一息を抜ける秘密の場所は、寂れた空き家の日当たりの良い縁側だった。

 しかしある日、その特等席に見知らぬ大人が居座っていた。

「何か、大切なものを落としたような顔をしてるね」

 彼の名は『向井陽介』。
 百鬼夜行の片隅で気まぐれに個人の「遺失物預かり所」を営むという陽気な彼は、キキョウの冷たい拒絶を意に介さず、彼女の日常へと上がり込んでくる。

 彼のペースに巻き込まれ、街の「落とし物」を巡る人々のトラブルに関わっていくキキョウ。

 これは、ちぐはぐな二人が出会い、不器用に寄り添う温かな日々の始まり。

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