宇宙世紀0079。ホワイトベースの片隅で、四歳のキッカは耳を塞いでいた。

隣で戦うアムロの「鋭すぎる光」に怯えながら、彼女の頭の中に流れ込んできたのは、正史の記録にさえ残らない「もう二つのガンダム」の鼓動。

東南アジアの泥沼で愛を叫ぶ青年の熱。
雪の降るコロニーで、取り返しのつかない過ちを犯す女性の悲鳴。

「アムロ、あっちのジャングルでもガンダムが走ってるよ」
「アムロ、遠いお空の向こうでお姉さんが泣いてる」

これは、一年戦争の英雄アムロ・レイさえも救えなかった物語を、たった一人で「共有」し続けた幼きレシーバー、キッカ・キタモトの隠された記録。

――キッカには、聴こえていた。