エーデ帝国にその名を知らぬ者はいない青年、フォール・ヴァルトルーデ。

十九歳の警察官にして元軍人。そして、国民から賞賛と尊敬を集める「帝国の英雄」。

二年前の戦いで活躍した彼は若くして英雄の名を欲しいままにしていた。
しかしその栄光とは裏腹に、フォール自身は英雄としての重圧と、決して人には語れない過去の記憶に苛まれ続けていた。

恋人の支えもあり、苦しみながらも辛うじて生きるフォール。
ある日、そんな彼の前にミランと名乗る少女が現れる。
幼い外見に似合わず秘密警察に所属する彼女が持ち込んだのは、帝国に潜伏する敵国のスパイを追う任務だった。

ミランと共に捜査を進めるフォール。
しかし敵の足跡を追うほどに、彼は自らが「英雄」と呼ばれるきっかけとなった戦いでの記憶、そして己の犯した罪と再び向き合うことになる。

やがて、単なるスパイ事件だったはずの捜査は思わぬ方向へ転がり始め、フォールは重大な選択を強いられる。

帝国が讃える英雄の姿は、本当に真実なのか。

これは歪み、汚れながらも、それでも愛する人のために生きようとする、一人の青年の物語。

(カクヨム・小説家になろうでも掲載中)