羽沢珈琲店の跡取りは色々と謎が多い。

 無愛想で、鋭い眼光は他人を寄せ付けない。話しかけても最低限の受け答えしか返さない。いざ会話が成り立ったと思っても、突き放すような言動ばかり。

 友情を嫌い、馴れ合いを嫌い、対話を嫌い、調理師免許と叩き上げの腕のみで店を切り盛りする。

 この一匹狼の名こそ─────

「盛り上がっているところ悪いが、それは果たして面白いと思っているのか?俺にはそうは到底思えんが」
「変なところで言葉を省かないの、お兄ちゃん。たぶん『自分のようなつまらない人間のことを話題にしても、そう大して面白いと思えないが』って言いたいんだろうけど、今のだと相手がつまらないみたいに聞こえちゃうからね!」
「そうなのか」

 なお、本人としてはそんなつもりは一切ない模様。

 これは、ほんの少しだけ天然で、口下手で、感情表現な苦手なだけのひとりの男、羽沢和那が、その言動で従妹を中心とした少女たちを振り回す物語である。
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