向江ケンゴは控えめに言って、どうしようもない人間だ。
別に能力が劣るとか、容姿が醜いとか、そういうことじゃない。
ただ、誠実さに欠けていた。

最悪の日に最悪の嘘をついたケンゴは、意図せず災いを呼び寄せてしまう。

「あいつは言ったんだ。宝物でも見つめるような目つきで。俺じゃないとダメだって。それだけで、まるで俺が俺じゃない、もっと価値ある誰かになったような気がしたんだ」

ケンゴは弔辞を捧げる。
亡き母と、彼女が愛した町に。
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