白銀の峰、大地の恵み、そしてあやかしの悪意を払う守り人。
東松原に住む者はこの三つの自慢を胸に暮らしている。
あやかしを斬り、人を守る。笠間陣衛は当代最高の剣士、水守の司である。だが、鍛え抜かれた肉体とは裏腹に、どうにも気遣いのできない食道楽でもあった。

そんな堅物男は、ひょんなことから食堂の看板娘へ特大の失礼をぶちかましてしまう。
誤解を解くべく頭を捻る陣衛。だがそれが二人のつたない交流の始まりでもあった。

この街を狙う竜人の魔の手を切り払い、陣衛は自分が目指すべき守人が何かを自らに問う。
周囲の助けを借りながら、陣衛はゆっくりと恋を知る。

生真面目で偏屈な剣士は、一つの約束のために剣を抜く。
これは東松原の城、その片隅で静かに芽生える恋の話である。



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