実弥は去った。

 風のように跡形もなく鮮やかに。遺言も骨も、今際の際の涙もない。残されたのは一振りの日輪刀。それだけだった。

 あの日から数日後、風屋敷に現れた三人を宇随は狂喜して迎えた。未曾有の、阿鼻叫喚の火炎地獄の中から人を探すことなど不可能だ。宇随たちは、ただ気を揉んで、焦燥と苦悩と悲嘆に耐えるしかなかった。

「不死川は……あいつ……は」

 宇随は、剥き出しの実弥の日輪刀を見て、全てを悟った。

「最期まで……立派でした……」

 それだけ言うと、彼女は日輪刀を抱えたまま気絶した。

――――――――――――――――――――――★★
 無惨戦後の世界。
 不死川実弥が生き抜いて、子をなし、そして、死ぬまでの物語です。

X(Twitter)  ▲ページの一番上に飛ぶ