魔力こそが全てとされる世界。

魔法を持つ者は栄え、持たぬ者は蔑まれる。人々は魔法を神秘として崇め、危険な魔物を忌み嫌い戦いながら生きていた。

そんな時代、一人の魔力を持たない少年がいた。

魔力を持つ両親に捨てられ、生き延びた少年は、人々が当たり前だと思っている常識を疑い続ける。

やがて得た知識は、魔力を持たない者たちに生きる術を与え、魔力を持つ者たちには魔法の新たな可能性を示した。

後に彼は「近代魔導学の祖」「文明の父」と称されることになる。

だが、彼を知る不死の魔女だけは語ろうとしなかった。

歴史が神格化した英雄の正体が、誰よりも泥臭く、誰よりも必死に生きた、ただの一人の男だったことを。

これは、世界を変えた男と、その男を愛した魔女がいた時代の物語。