アスクレイは、一人だ。

五才で母を亡くしてから、ずっと貧困と犯罪の統べるスラム街を生き残ってきた。

心に秘めた密かな願いは、ささやかな幸せ。

きちんとした家に暮らして、暖かなベッドで休み、できれば美味しいものを食べること。

そんなアスクレイが手にした力は、目にしたものを食らいつくす、竜の瞳だった。

幸か不幸か、人生を逆転させるに足る力。

アスクレイは、その好機を逃しはしない。

巨大ダンジョン、巨竜の亡骸。

その秘奥に潜る目標はただひとつ。

ただ、まともに生きること。

―――アスクレイは今日も、一人でコツコツと金を稼ぐ。