当初の建設予定地には、別の大規模開発計画が持ち上がっていた。地元議員はその開発から多額の利益を得るため、銀行に別の土地を斡旋する。紹介された土地は立地こそ優れていたが、深刻な軟弱地盤を抱えていた。
地権者、議員、銀行はその事実を承知していた。地権者は自ら地盤調査会社に働きかけ、実際より良好に見える調査資料を作らせる。銀行は偽装を知りながら、その資料を設計事務所へ渡した。
建設工事では、裏で入札結果が調整され、大手や地元有力業者は高い金額を提示。何も知らない小さな建設会社が通常の積算額で入札し、工事を落札する。
建築、電気、給排水、ガス、土木。それぞれの会社から集められた五人の職人は、設計図通りに完璧な仕事をした。
しかし完成後、銀行は建物の瑕疵を指摘。「施工会社が費用を削るため必要な施工を勝手に省いた」として、工事代金の支払いを拒み、さらに損害賠償まで請求する。
設計事務所も自社を守るため施工側に責任を押し付け、五人の会社は裁判と資金難に追い込まれる。やがて給与や手当まで滞り、五人の生活は崩壊していく。
そして彼らは決意する。
「俺たちが建てた銀行から、俺たちの失った金を取り戻す」
目標額、一億七千万円。
金庫も警備も知らない五人の職人による、人生を懸けた銀行強盗が始まる。
- 第一話俺たちが建てた銀行
- 第二話それぞれの仕事 (改)
- 第三話ガス会社 (改)
- 第四話花火の夜 (改)
- 第五話1年間
- 第六話花火の夜
- 第七話 金庫の中身 (改)
- 第八話後始末
- 第九話朝の電話
- 第十話消えた痕跡 (改)
- 第十一話施工写真 (改)
- 第十二話 疑われない男
- 第十三話疑いの矛先 (改)
- 第十四話 もう一つの保険
- 第十五話違う数字
- 第十六話残された記録
- 第十七話 偽装工作 (改)
- 第十八話 設備点検
- 第十九話話 捜査 (改)
- 第二十話 証拠隠滅 (改)
- 第二十二話 突き合わせ (改)
- 第二十三話 視点
- 第二十四話 武器
- 第二十五話 帰ってきた金
- 第二十六話 金の使い道 (改)
- 第二十七話 買い物
- 第二十八話 夜の街
- 第二十九話 聞き込み調査 (改)
- 第三十話 ニアミス