灰の匂いが消えない街で、〈終戦の子〉リオは診療所の助手として静かな日々を送っていた。
だがある朝、街の“風”が止まる。
通術塔の光は沈み、協会代官の光鎖柱さえ沈黙し、空気はどこか欠けたように冷たかった。

同僚のリナは、その異常を指先で確かめ、アリスは胸元の花紋を押さえて北の気配に怯える。
市中では理由も分からぬまま祈りが増え、人々は、言葉にならない“不安の風”を恐れていた。

それは観測すら届かない“沈黙”の始まりだった。
胸奥の魂裂紋が疼くたび、リオの過去の灰が脈を打つ。

風を失いかけた街で、彼はまだ名もない未来へ、最初の一歩を踏み出していく。
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