新王国暦530年、英雄王リジャールの治めるオーファン。

賢者の学院分校・特殊学科「魔法戦士科」に、一人の変わり者が入学した。

十四歳の少年アルマニア。

古代語魔法、精霊魔法、神聖魔法を学ぶ彼の望みは、戦士、盗賊、野伏、吟遊詩人の技まで身につけ、あらゆる状況に対応できる魔法戦士になることだった。

能力には恵まれている。選択肢も多い。

だが、経験も精神力も、一度に動ける回数も一人分しかない。

そんな彼は悪意ある細工によって訓練用ダンジョンへ閉じ込められ、古代王国時代の旧区画で三十日間も遭難する。

魔法の泉の最後の一滴から特殊技能「取得経験倍化」を得たものの、それだけで最強になれるわけではなかった。

衰弱した彼を救ったのは、幼馴染の精霊闘士ミレナ、ドワーフの宝石職人グンヒルダ、王家の庶子シャーナシア——それぞれが磨き上げた専門の力だった。

療養を終えたアルマニアは、やがて八つの技能を身につける実地修行へ踏み出す。

しかし、できることが増えるほど、選ぶことは難しくなる。

剣を取るのか。

魔法を使うのか。

傷を癒やすのか。

退路を探すのか。

何でもできても、一度にできることは一つだけ。

目指すのは、誰にも代われない最強ではない。

誰かが倒れたとき、その穴を埋めて仲間全員を生還させる「万能予備役」。

これは「できることを全部やりたい」と願った少年が、「今やるべき一つ」を選べる冒険者になるまでの物語。
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