高度育成高等学校を、Aクラスで卒業することはできなかった。
一年生の秋、ある男が卓の座り方を教えて、何も言わずに去っていった。最後まで座ると決めたはずの私は、気がつけば、どの卓にも自分の席を持たないまま三年間を終えていた。
逃げたわけではないと思いたかった。誰も自分を知らない場所を選んだら、京都だっただけだ。
私立鹿鳴館大学。新入生たちが連絡先を交換し合う春の教室で、堀北鈴音は今日も窓際のいちばん後ろに座る。両隣と前の二列は、誰に言われるでもなく空いていく。
ノートのいちばん後ろには、十一桁の番号を書いた紙が一枚。かけられるようになって、ひと月。まだ、かけていない。
その日、男が一人入ってきた。
細くて、目立たなくて、誰にでも似ている顔の男は、教室を見回して、彼女の隣に一つ空けて座った。
空いた席が一つ、そこに残った。
人を見て、知った気になって、近づかない――人見知り。それを臆病と呼ぶか、傲慢と呼ぶか。
これは、〈戯言遣い〉と呼ばれる男に出会ってしまった、凡庸な才媛の物語である。
――『アカギ〜実力至上主義の教室に舞い降りた天才〜』続編。西尾維新〈戯言シリーズ〉とのクロスオーバー。
https://syosetu.org/novel/423025/
一年生の秋、ある男が卓の座り方を教えて、何も言わずに去っていった。最後まで座ると決めたはずの私は、気がつけば、どの卓にも自分の席を持たないまま三年間を終えていた。
逃げたわけではないと思いたかった。誰も自分を知らない場所を選んだら、京都だっただけだ。
私立鹿鳴館大学。新入生たちが連絡先を交換し合う春の教室で、堀北鈴音は今日も窓際のいちばん後ろに座る。両隣と前の二列は、誰に言われるでもなく空いていく。
ノートのいちばん後ろには、十一桁の番号を書いた紙が一枚。かけられるようになって、ひと月。まだ、かけていない。
その日、男が一人入ってきた。
細くて、目立たなくて、誰にでも似ている顔の男は、教室を見回して、彼女の隣に一つ空けて座った。
空いた席が一つ、そこに残った。
人を見て、知った気になって、近づかない――人見知り。それを臆病と呼ぶか、傲慢と呼ぶか。
これは、〈戯言遣い〉と呼ばれる男に出会ってしまった、凡庸な才媛の物語である。
――『アカギ〜実力至上主義の教室に舞い降りた天才〜』続編。西尾維新〈戯言シリーズ〉とのクロスオーバー。
https://syosetu.org/novel/423025/
- 第1話 孤高(孤行) (改)
- 第2話 帰還(奇観) (改)
- 第3話 目撃(黙劇) (改)
- 第4話 欠陥(血管) (改)
- 第5話 絞殺(考察) (改)
- 第6話 告白(酷薄) (改)
- 第7話 家族(加速) (改)
- 第8話 最強(最狂) (改)
- 第9話 潜入(先入) (改)
- 第10話 策師(錯視) (改)
- 第11話 師匠(死傷) (改)
- 第12話 アカギ(赫き) (改)
- 第13話 侵入(深入) (改)
- 第14話 博士(白紙) (改)
- 第15話 天才(天災) (改)
- 第16話 磔(張付) (改)
- 第17話 監禁(換金) (改)
- 第18話 疾走(失踪) (改)
- 第19話 解放(介抱) (改)
- 第20話 十全(充全) (改)
- 第21話 夏期(火気) (改)
- 第22話 依頼(異例)
- 第23話 不死(節)
- 第24話 震え(奮え)
- 第25話 八百年(八百念)
- 第26話 予測(余足)