高町なのはには、魔法を持たない幼なじみがいた。

溱 久遠(みなと・くおん)。

魔導師でもなければ、特別な力があるわけでもない。ただ、傷ついた誰かを放っておけない少年だった。

なのはが魔法の世界へ足を踏み入れた後も、久遠は魔法を得なかった。代わりに勉強をして、身体を鍛えて、自分にできるやり方で彼女の隣に立とうとした。

やがて久遠は、図書館で八神はやてと出会う。

共に勉強し、本を読み、言葉を交わす。そんな静かな日々は、闇の書事件が終わった後も続いていくはずだった。

しかし、ある夜。

閉館していた図書館から、久遠は姿を消した。

長い捜索の末に死亡が認定され、葬儀が行われ、墓が建てられた。

それから時は流れ、八神はやてが機動六課を立ち上げた頃。

夜の街で、死んだはずの久遠によく似た少年を見たという目撃談が、再び聞かれるようになる。

幼なじみは、まだどこかで生きているのか。

それとも、あれは久遠に似ているだけの誰かなのか。

これは、魔法を持たなかった一人の少年が、魔法少女たちの世界に遺したものを辿る物語。

※TVアニメ版『魔法少女リリカルなのは』を基準とした二次創作です。独自設定およびオリジナル主人公が登場します。

※本作の「久遠」は、ゲーム版『リリカルなのは』に登場する久遠とは別人のオリジナルキャラクターです。